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プロ選手参加不可!アマチュアプレイヤー限定の『クラロワ』世界大会“Red Bull M.E.O. by ESL World Final”現地リポート

数多くのドラマがドルトムントでも生まれた

“クラロワリーグ”の世界大会が2018年12月に開催されてから早3ヵ月。あの時、幕張メッセで感じた観客の熱狂する姿・空気は確かなesportsの存在を感じさせた。

クラロワリーグでは“プロ選手たち”が舞台の主役を担った。継続的なリーグ戦の中で生まれた、歓声、賞賛、友情、涙。脚光を浴びるプロ選手たち。

その側面、そんなプロ選手たちの活躍を羨ましく思い、“自分”もそういった場に立ちたいと願ったプレイヤーたちも多いことだろう。

今回、筆者が現地取材に赴いた“Red Bull M.E.O. by ESL World Final”は、そういった“アマチュアプレイヤー”限定*の『クラロワ』世界大会だ。本記事ではその模様をお届けする。

*2018年に行われた“クラロワリーグ”へ参加していないプレイヤーのこと。

Red Bull M.E.O. by ESL  World Final概要

ドイツ・ドルトムントに設けられた試合会場は、工場跡地を利用した情緒溢れる景観が特徴的。会場近くには『ブロスタ』ラッピングを施されたバスが停留していたりと、会場外からも楽しめる演出がなされていた。

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本大会は、2018年~2019年にかけて世界35ヵ国で予選が開催され、各国の代表が選出された。日本からは熊本県出身の18歳kota選手が予選を勝ち上がり、今回出場することとなった。

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▲左からフチ選手、Lewis選手、kota選手。予選開始前にkota選手にエールを贈るフチ選手とLewis選手。

試合が行われる大会スペースのほかにも、ミニゲームが行えるエリア、飲食品を取り扱うエリアなどが設けられていた。飲料はもちろん、すべてRed Bull。

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▲ハンマーでギミックを叩き、その反動でメーターのテッペン目指すフィジカルアトラクション。会場には終日、ハンマーの衝撃音が響いていた(笑)。

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▲『ブロスタ』デザインの給電ブース。

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▲精巧に作られたエリクサーポンプ模型の中には“Red Bull”が冷やされていた。

2019年2月2日、3日の二日間に渡って開催され、Day1では総勢34名の各国代表選手による予選が行われた。

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▲試合会場内は大画面のモニターが散りばめられ、観客席のどの位置からでも試合の模様が窺える親切設計。

Day1(予選日)

初日は34名からなるプレイヤーをA~Dブロックに振り分け、各ブロック内で総当たりのBO5(3本先取)を行っていく。1試合3分ほどで終わる『クラロワ』とは言え、これはかなりの長丁場な戦いである。どれだけ集中力を持続させることができるか? その一点が選手たちの命運を分けた。

【予選フォーマット】

・A~Dブロックに分かれた総当たり戦

・各試合BO5(3本先取)

・BANピックルールなし

・各ブロックの上位4名がDay2に行われる決勝リーグへと駒を進める

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▲予選開始前のkota選手。

予選開始前、にこやかな笑顔を見せるkota選手。「やれるだけのことはやってきた」と語る彼の口からは確かな自信が窺えた。メディア陣、応援に駆け付けたプロ選手たちもここからは祈るばかりの状況となった。

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▲予選開始の合図とともに、一斉に試合を始める選手たち。kota選手も顔を引き締め試合に臨み始めた。

日本代表のkota選手は序盤3試合を落としてしまう手痛い立ち上がりとなってしまった。

初めての異国の地での戦い、オフライン試合経験の浅さ、緊張感。さまざまな要因があったことは事実だろう。

しかし、4試合目からは本来の調子を取り戻したのか怒涛の4連勝見せた!

最後の選手を相手に勝ちをもぎ取ることができれば決勝リーグ進出確定というところまで漕ぎつけたものの、惜しくもここで敗れてしまう。

最終結果は予選ブロック6位。後一歩というところだけに悔やまれる展開となった。

また、2017年『クラロワ』世界王者のSergioRamos選手も本大会にメキシコ代表として出場していた。

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▲配信席での予選勝利後インタビューを受けるSergioRamos選手。

彼の結果は8勝0敗とさすがの一言。これまでのオフライン試合での経験値、長丁場の連続試合をものともしない集中力には脱帽だ。

Day1を終え、34名の選手から16名の選手へと絞られた。日本代表のkota選手がDay2へ進めなかったのは残念ではあるが、最後まで諦めずに挑戦を続けた姿に拍手を送りたい。今後の『クラロワ』シーンでも、きっと活躍を魅せてくれることだろう。

Day2(決勝リーグ)

Day2では16名の選手によるトーナメント形式での試合が行われた。試合フォーマットは決勝までは予選と同じくBO5(3本先取)、決勝はBO7(4本先取)が採用された。

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▲プロリーグほど知名度のある選手は少ない印象だが、予選の試合を鑑みるにプロとそん色のないスキルを持つプレイヤー16名が残った。

こうして、頂点に立つ選手を決めるべく最後のトーナメント戦の火ぶたが切って落とされた。

筆者の最注目株は2017年度世界王者のSergioRamos選手であったが、デッキ選択の甘さが見られBEST8で敗れてしまう。最終的に残った4名は以下の通り。

SCHWARZEN選手(ドイツ):Aブロック

THUNDERSTRUCK選手(UK):Aブロック

YYYY選手(オーストリア):Bブロック

DANOBOSS選手(スロバキア):Bブロック

ふたを開けてみると、AブロックとBブロックでの選手でBEST4は埋め尽くされていた。kota選手はAブロックでの参加だったので、かなりの激戦区だったということが窺える。

中でも、SergioRamos選手を倒したTHUNDERSTRUCK選手の胆力には驚かされた。相手が世界王者であろうが関係ないと言わんばかりの強気なプレイは会場を大いに沸かせた。ベスト4以降の試合結果については以下の通り。

準決勝

SCHWARZEN(ドイツ) vs THUNDERSTRUCK(UK)

セットカウント2対2まで縺れる接戦。制したのは2017年世界王者SergioRamosを倒したTHUNDERSTRUCK選手。

YYYY(オーストリア) vs DANOBOSS(スロバキア)

YYYY選手が先にセットカウント2本を取る優勢な展開を見せ、DANOBOSS選手も意地で1本取り返すも最終試合はペッカ攻城デッキを巧みに操ったYYYY選手に軍配が上がった。

決勝戦

THUNDERSTRUCK(UK) vs YYYY(オーストリア)

■1試合目

THUNDERSTRUCK選手はゴブジャイスパーキー、YYYY選手はババ小屋ゴレデッキ。

1試合目

スパーキーをリセットできるスペル、ユニットがいないYYYY選手は終始苦しい展開を強いられ、勝者はTHUNDERSTRUCK選手。

■2試合目

THUNDERSTRUCK選手はペッカ攻城デッキ、YYYY選手はメガナイト枯渇ホグデッキ。

2試合目

試合序盤THUNDERSTRUCK選手の攻城ババがタワーに刺さり圧倒的ダメージリードを得る。

試合終盤、YYYY選手隠し種のフリーズを見事にいなすTHUNDERSTRUCK選手。ラストはファイヤーボール圏内まで追い詰めたTHUNDERSTRUCK選手とホグライダーの一発を狙うYYYY選手の差し合いとなったが、コンマの差でTHUNDERSTRUCKが勝利をもぎ取った。

■3試合目

THUNDERSTRUCK選手は枯渇デッキ、YYYY選手はロイジャイデッキ。

3試合目

ローリングバーバリアンの採用率の高さが起因してのことか、本大会を通して純粋な枯渇デッキを使用する選手はいなかったが、ここにきての採用は2セットを先取している心理的有利も大きいだろう。

YYYY選手のデッキにはローリングバーバリアンとファイヤーボールのスペル採用ながら、相手の攻めのタイミングに被せてのゴブリンバレルや、相手の手札・エリクサーを把握した針の穴を通すような攻めを魅せたTHUNDERSTRUCK選手が勝利。

■4試合目

THUNDERSTRUCK選手は三銃士デッキ、YYYY選手はババ小屋三銃士デッキ。

4試合目

▲橋前ババ小屋を受けての芝フリーズのシーン。

この試合最大の注目ポイントは、YYYY選手のプレイミス(バーバリアンの小屋を橋前に置いてしまった)ことを受けてのTHUNDERSTRUCK選手の芝フリーズ(何もないところにフリーズを打つこと)。

相手のプレイングミスを受けて、エリクサーをムダに消費してイーブンの状況を作りにいった。

この行動には賛否両論出てくるだろう。ミスも実力のうちだからだ。

しかし、私はこのTHUNDERSTRUCK選手の行動に賛辞を贈りたい。自分であれば、これぞラッキーとばかりに怒涛の攻めをしていたに違いない。国外にジャパニーズソウルを持った侍はいた。

だが、試合はYYYY選手の勝利。この行動が結果にどう結び付くか……。

■5試合目

THUNDERSTRUCK選手は迫撃ディガーデッキ、YYYY選手はラムライダーディガーデッキ。

 5試合目

お互い一歩も譲らぬ攻防をくり広げ、最後の最後までどちらが勝つのか予断を許さぬ状況。互いのディガーをどれだけ防げるかが試合のターニングポイントとなった。最後はディガーとスペルで削り切ったYYYY選手に軍配が上がった。

■6試合目

THUNDERSTRUCK選手は三銃士デッキ、YYYY選手は迫撃ホグデッキ。

6試合目

YYYY選手はデッキに大型スペルを採用しておらず、THUNDERSTRUCK選手のエリクサーポンプを破壊することができない。

ポンプ設置後のYYYY選手の攻めを見事なフリーズ防衛で防ぎきり、2個目のポンプまで設置したTHUNDERSTRUCK選手。

圧倒的なエリクサーアドバンテージを得たTHUNDERSTRUCK選手の勝利かと思われたが、試合終盤までフリーズを隠しもっていたYYYY選手のホグライダーが牙をむく。ワンチャンスを物にしたYYYY選手が勝利。これでセットカウント3-3のフルセットを迎えた。

通常、テンプレートのホグ迫撃デッキにフリーズは採用されていない。柔軟なデッキ選択を行ったYYYY選手が一枚上手だった。

■7試合目

THUNDERSTRUCK選手はペッカ攻城デッキ、YYYY選手はロイジャイデッキ。

7試合目

エリクサー2倍タイムまではお互い丁寧な攻防が続き、タワーへのダメージはほぼゼロの状況。

2倍タイム以降、最初に攻めの姿勢を見せたのはYYYY選手。キング裏からのロイジャイ展開で形を作る。

それに合わせるように落ち着いてペッカを展開したTHUNDERSTRUCK選手。

YYYY選手もそこまでは予定通りと言わんばかりの、ロイジャイを処理した後のカウンターペッカを2週目のロイジャイで逆サイドへ誘導。

しかし、THUNDERSTRUCKはこのタイミングでエリクサーすべてを攻めに投入。逆サイド釣りを狙ったロイジャイを瞬間で溶かし切り、タワーへペッカの強烈な一撃が届いた。

このペッカの処理に多大なエリクサーアドバンテージを奪われたYYYY選手はなす術なく、このままの流れでゲームセット。

好機を見逃さなかったTHUNDERSTRUCK選手に勝利の女神は微笑んだ。

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▲喜びを全身で表現するTHUNDERSTRUCK選手。

今回優勝を果たしたTHUNDERSTRUCK選手もそうだが、トップ16に残った選手は現役プロ選手とそん色ないプレイングスキルを保有していた。

プレイングスキルだけではなく、こういった大舞台でふだん通りの実力を発揮できるのか? という点でも優れた選手が多い印象だった。

しかし、彼らは本大会がなければ日の目を浴びることがなかったプレイヤーたちだ。今回行われた“Red Bull M.E.O. by ESL”では現役プロ選手の予選参加が認められなかった。

初めにこの話を聞いたときには、“なぜなんだろう?”という気持ちが強かったのが正直なところ。有名な選手が勝ち進めばオンライン視聴者数、試合会場へ応援へ来る来場者も多く見込めるだろう。だが、無名な選手であればその恩恵に与るのは難しい。

その“なぜなんだろう?”という気持ちは、THUNDERSTRUCK選手が優勝を決めたときにはどこかへ消し飛んでいた。

試合観戦を通じて、こんなにもすばらしいプレイングを見せてくれる選手たちが野に埋もれるのはもったいないと感じたからだ。実利を顧みず、アマチュアに絞った大会運営を行ったRed Bullに敬意を示すとともに、今後の継続的な発展を願いたい。

けんつめし選手インタビュー

Red Bullアスリートとして現地に駆け付けたけんつめし選手へ、本大会を観て何を想ったのかインタビューを行った。

――今回のRed Bull M.E.O.by ESLを観て何を感じましたか?

けんつめし どの選手もアマチュアな人が多いので、緊張と戦っている人が多いと感じましたね。ふだん通りのプレイをできるように自分をコントロールするのがプロと比べて劣っているのかなと思いました。

ですが、本領を発揮し始めた選手たちはプロにもひけをとらない実力を兼ね備えていて、世界は広いと感じました。

――CRLにも参加していて本大会に出場していたSergioRamos選手についてはどう思いますか?

けんつめし 2017年度の世界王者ということもあり、極度のプレッシャーを感じて決勝リーグでは、かなりミスが散見されました。しかし、予選ではその貫禄を発揮し、無敗で予選ブロックを通過しており流石だなと感じました。

――自分が出場していたらどこまで進めていたと思いますか?

けんつめし 予選は通過できていたと思います。Best8からはその日のコンディションによるところが大きいかなと思います。

――2017年に行われた世界大会に次ぐ、個人戦での世界大会でしたが日本選手がトロフィーを勝ち取ることはまたしても叶いませんでした。日本人選手に足りないものは?

けんつめし 場慣れですかね。

――大会出場経験ということですか?

けんつめし 海外は、さまざまなオフライン大会が多く、そこに出場しているアマチュア選手も多いので、オフライン大会が少ない日本選手の経験不足によるところが大きいのかなと思います。

――けんつめし選手、ありがとうございました!

kota選手インタビュー

予選突破まで後一歩、終了後には悔しさを殺しきれなかったkota選手へ終了後の気持ちを伺った。

――試合おつかれさまでした。終わってからの率直な感想をお伺いできますか。

kota BO5の8本勝負というのはこれまでに経験がなく、出だしの試合で連敗してしまい本来の調子が戻るまでに時間が掛かって……後悔してしまった部分が大きいですね。

――確かに相当な試合数と時間でしたね。大会まではどういった練習を行っていましたか?

kota 自分の知り合いの日本・海外のプロ選手にフレンドバトルをお願いしたり、自分が使う予定のデッキをグラチャレでくり返し練習していました。

――予選を振り返ってどうでしたか?

kota 予選が総当たりになるというのはわりと直前にお知らせいただいたこともあり、それまでの練習ではひとりひとりの選手を相手にじっくりと戦略を練り、戦っていくものを想定していました。

ですが、総当たり戦という仕様上、蓋を開けてみると同じデッキを使って戦うことが多く、また、自分のデッキ熟練度が低かったデッキを使用せざるを得ない状況もあり、それが結果に結びついたところが大きいと感じています。

――海外に行くのは初めてだと伺いました。初の海外でのオフライン試合はどうでしたか?

kota フチ・ロイス選手が付き添ってくれていたので安心できた部分もあったのですが、ルール説明などがすべて英語だったりしたので不明瞭に感じた部分もありました。日本でもオフライン大会が滅多にないこともあり、緊張感でふだんのプレイができなかったのが悔しいです。

――日本とドイツでは時差8時間もありましたが、体調面ではいかがでしたか?

kota 飛行機の時間に自分はよく寝れたので、時差についてはそこまで影響を受けませんでしたね。BO5を8選手相手にこなすというのが予想以上に体力を使ってしまい、最後のほうは集中力が切れかかっていたのは感じました。

――昨年のCRLを除くと、日本人選手が世界に挑むのは2017年に行われたクラロワ世界大会inロンドンでのフチ選手、アマテラス選手、2018年に行われたアジア競技大会のけんつめし選手以来かと思います。いずれも辛酸を舐めさせられる結果となっておりますが、思うところはありましたか?

kota 日本人がほかの国の選手に劣っているということはないと思います。日本では、海外よりもオフライン大会が少なく、海外選手に比べて“場慣れ”していないのが大きいポイントだと感じています。

――kota選手が感じる『クラロワ』の魅力とは?

kota 人それぞれ使うデッキも自由で、同じデッキでも戦略に幅があり、誰でも練習を積み重ねれば上を目指せるということがいちばんの魅力だと感じています。

――kota選手ありがとうございました!

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