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CYCLOPS athlete gamingインタビュー。世界と戦って見えたもの

 2021年5月11日~24日にかけてフランス・パリで開催されたPC版『レインボーシックス シージ』の世界大会“Six Invitational 2021”。

 本大会は、2020年に行われたプロリーグやSix Majorの結果によって獲得できるグローバルポイントの世界上位16チームと、2020年12月に行われた各地域でのオープン予選から4チームの計20チームで競われる『レインボーシックス シージ』最大の世界大会。

 日本からはAPAC予選を見事勝ち抜いたCYCLOPS athlete gamingが参戦した。CAGは残念ながらグループリーグで敗退してしまった。よい結果はのこせなかったものの、今大会の準優勝チームであるTeam Liquidに勝利し、EUの強豪チームであるTeam Empire、BDS Esportに善戦するなど、前回出場したSix Major Raleighと比べると前進した結果となった。

 ファミ通.comでは、帰国後のCAGにインタビューを敢行。Six Invitationalの率直な感想から、世界と戦うことの難しさや、世界と日本の差などについて、話していただいた。

――Ayagator選手は今大会が世界大会は初挑戦でしたよね。Six Invitationalを終えての感想はいかがですか?

Ayagator選手
 勝てなかったものの、自分自身は成長できたなって思います。

――緊張はされましたか?

Ayagator選手
 イメージトレーニングしていたので緊張はしなかったです。と言いたいところですが、正直緊張しましたね……。とくに試合が始まる前はしました。でも、試合が始まったら集中できたのでプレイには支障はなかったです。緊張とかではないんですけど、世界大会で練習通りの力を発揮することが難しかったですね。

――Anitun選手、BlackRay選手はいかがだったでしょうか?

Anitun選手
 Six Invitationalに出場しているチームとAPAC地域との戦術のレベルの差を感じました。たとえば、ピークで解決しようとしても戦ってもらえなかったり、別のところから攻略されたりしました。とにかく僕たちが狙っていることはさせてもらえず、逆に想定していないことをしてきたので、そういったところから戦術のレベルに差があるなと思いました。

BlackRay選手
 僕も世界のチームはAPAC地域と比べて戦術の組み立てがうまいと感じました。ただ、自分がキルしていれば勝てた試合もあったので、そんなに大差で負けたとは思っていないです。

――戦術の組み立てのうまさというのはどういったところから感じましたか?

BlackRay選手
 たとえば攻撃の終盤は、焦ったりして隙が生まれやすいと思います。でも、ヨーロッパのチームは終盤であってもごちゃごちゃせずに、焦っている感じがしません。そのため、均衡した場面でも抜け目がなかったです。僕らが終盤に刺さるだろうと隙を狙ったプレイをしても警戒されていたので。そういう抜け目ない部分がうまいですね。

――なるほど。gatorada選手はどうでしたか?

gatorada選手
 APAC地域で通用していた攻めが世界のチーム相手だと通用せず、守りかたがうまいと思いました。とくにAPACだとキル拾いのような感じでパパっと1キル、2キルを簡単に取れたりするのですが、Six Invitationalに出場しているチームではそういった隙がなく、キルを拾わせてもらえず、やりにくかったです。

――どちらかというと防衛のほうがやりやすかったですか?

gatorada選手
 そうですね。攻撃と比べると防衛のほうが僕らからアクションを起こせたのかなと。ファーストブラッドを取る動きは、攻撃時よりはできていたと思います。

――SuzuC選手はいかがだったでしょうか?

SuzuC選手
 僕は出場前までは世界大会で優勝は無理だろうと考えていました。でも、相性のいいチームと対戦できれば、僕たちにも可能性はあるんじゃないかと思えるようになりました。

――今回の大会で手ごたえを感じたということですか?

SuzuC選手
 「意外といけちゃうな」みたいな。

BlackRay選手
 それ、優勝したチームが言うことだよ(笑)。

SuzuC選手
 そうだね(笑)。でも、相性次第では(優勝も)いけそうだな、と。グループで上位だったTeam LiquidとTeam Oneを倒して、BDSとTeam Empireに対しても善戦できていたというところから、もしかしたら可能性がありそうだと思えるようになりました。

© Ubisoft | Photo Credit: João Ferreira

© Ubisoft | Photo Credit: Kirill Bashkirov

――なるほど。今大会ではDay1と比べてDay3、Day5と進むにつれて、国内でも見せてきたCAGらしい試合ができていたように感じました。Day1が終わった後にどのような話をチームでしましたか?

SuzuC選手
 Day1でもいろいろと試したり考えたりしましたが、何もうまくいきませんでした。Day5からは開き直って、「自分たちがもともとやってきたスタイルを貫き通そう」と話をしました。

Anitun選手
 うん。Day5からは「負けてもいいからやりたいことをやろう」とチャレンジしていきましたね。それがけっこう刺さりました。

――Day1では決めごと通りにやろうという意識があったのでしょうか?

Anitun選手
 そうですね。Day1はかなりガッチガチにやっていました。

Fuji3コーチ
 コーチ目線でお話すると、Day3ではカバーを増やしたり、集団行動を意識するように変更しました。これは部分的には成功しましたが、あくまで付け焼き刃でしたね。Day5では原点回帰し、いままで自分たちのやってきたことをやりました。

――CAGは国内のチームに対しては1年近く負けておらず、国内では1強といっても過言ではない状況です。一方で、練習する相手はAPAC地域に限られてしまうため、世界と戦ううえで難しい環境とも言えますが、どのようにお考えでしょうか?

BlackRay選手
 そもそも、自分たちはSix Invitationalに出場するまでは、そこまで世界との差について正直意識していなかったです。ただ、今回Invitationalに出場して改めてAPACとヨーロッパの差を感じました。

 国内だととくに撃ち合いで試合を勝ててしまうことが多いので、攻めの組み立てがどうこうの話にはあまりならないです。ですので、戦略の密度の部分を成長させることが難しく、ヨーロッパのチームと比べると僕らの戦略の密度は低いと思いました。

 たとえば、日本のチームとの試合だと簡単にキルを拾えてしまうことが多いです。そのため5vs5の状態で残り30秒のような場面は絶対になくて、基本的には人数が削れています。今後、世界と戦うためにも、練習内容をこれから考えないといけないですね。

Fuji3コーチ
 あと、ヨーロッパはスクリムで得られるものが多かったですね。今回、スクリムした相手にはヨーロッパでほぼ無名のチームもいたのですが、自分たちのスタイルに対して的確に通りやすい戦略を選択してきていて、こういった部分はAPACでのスクリムではあまり見られないと思いました。

BlackRay選手
 スクリムの内容がめちゃくちゃ充実していて、正直こちら(EU)の環境はいいなと思いました。

――練習の環境からEUのほうが整っているのですね。ちなみに出場前は今回のSix Invitationalに出場しているチームに対してどのくらいやり合えると考えていましたか?

SuzuC選手
 ボコボコにするつもりでいきました。

Ayagator選手
 同じ人間だから勝てると思っていましたね。

BlackRay選手
 僕も同じく勝てると思っていました。ただ、BDSは撃ち合いが強い印象があったので、さすがにきびしいかな、と。でも実際に試合をしてみると、もちろん強かったのですが、それ以上にやりあえるなという実感のほうが強かったです。

© Ubisoft | Photo Credit: Kirill Bashkirov

――今回はグループステージで残念ながら敗退してしまいましたが、世界大会で初勝利を獲得したり、EUの強豪チームであるBDSやEmpireに対して善戦することができました。Six Invitationalで通用したことやできたことを教えてください。

BlackRay選手
 撃ち合いは通用していたのではないかと思います。ただ、戦術や攻めの最終的な組み立てがうまくいきませんでした。

Anitun
基本的にどのチームも守りの最終の耐えが固かったよね。最終の詰めに対する個人の撃ち合いも強かったですし。

――本来であれば人数有利のほうが順当に勝てることが多いはずですが、ひっくり返されてしまうことが多かったように感じました。

Fuji3コーチ
けっきょく、人数は有利であっても、その前の段階で時間やドローンといった別のリソースが削られてしまっていて、総合的に見ると相手のほうが有利という状況を作られてしまうことが多かったです。海外チームはリソースの管理が上手ですよね。

――今回の世界大会で得られたことや学んだことについて教えてください。

BlackRay選手
 これまでの世界大会では、世界のチームとの戦いかたに気づけていなかったと思いました。まあ、正直前回は自分たちの力を発揮する前に終わってしまったということもありますが……。今回のDay1では気づいていない状態で負けてしまって、Day3は迷走中という感じでした。Day5でやっと世界のチームとの戦いかたに気づけたんだと思います。

――世界のチームとの戦いかたとは具体的にどういったことでしょうか?

Fuji3コーチ
 相手の得意としている戦術的な土台で戦わず、自分たちの得意な土台で戦うというところですかね。今回のようなSix Invitationalに出場しているチームは戦術のぶつかり合いを得意としているチームが多いのですが、APAC地域では戦術のぶつかり合いとなることが少ないため、練習できていませんでした。

 とくに最終局面での5対5の戦術のぶつかり合いはAPAC地域では基本的に発生しないので、戦術的な土台ではかなわないから別の土台で戦おうという話になりました。

 ですので、防衛では開幕からリスキルを狙ったりしたわけです。相手は練習していないけど、僕らが得意とするところで戦うということが、Day5ではできたというところでしょうか。

――世界のチームとAPACのチームでは戦術面で差があるということですが、具体的にどのような違いとかありましたか?

gatorada選手
 世界のチームは5人で戦ってくるスタイルが多いように感じました。APACでは4-1といった形で、単独で動くプレイヤーが絶対にいますが、Six Invitationalに出ているチームにそういった動きをすると1で動いている人が絶対に倒されてしまいます。APACだと4-1が刺さるので、その戦法を取りがちですが、世界大会でやると勝てないんですよね。

BlackRay選手
 APACは個人技で解決できてしまう場面が多いので、4-1のような形が多いのかなと思います。ヨーロッパのチームは『シージ』の基礎をちゃんとしたうえで撃ち合いも強いです。APACでは、そういった基礎が固くて撃ち合いも強いチームはCloud9くらいしかいないですね。

――なるほど。ちなみに本作の競技シーンにおける基礎とは何でしょうか?

BlackRay選手
 そうですね。言ってしまえば撃ち合いも基礎になるとは思いますが、ドローンの使いかたや戦術のある程度の理解が、基礎になるのではないでしょうか。

Fuji3コーチ
 僕はラウンドの中で情報を集めて、相手の弱い部分やここはいけるという部分を見極める能力も、『シージ』の基礎かなと思います。さっきgatoradaが話していた、4-1の1が海外チームを相手にしたときは絶対つぶされる話もありましたが、試合の中で全体の盤面を見て、「こいつは単独で動いているから潰せる」といったふうに、チームで意思疎通ができていますよね。

――日本のチームと、世界大会に出場するチームの違いはどういったところにありましたか?

BlackRay選手
 個人技、戦術、全部違いますね。

Anitun
 日本のチームは僕らにビビっている気がします。

BlackRay選手
 日本のチームで世界と戦いたいなら、まず僕らに対して何とかしないとどうしようもないと思います。僕らが世界に出てもこの結果だったので。

――CAGは公式大会でおよそ1年間日本のチームに対して負けていませんが、日本のチームはCAGに対して的確な対策を取れていないからでしょうか?

BlackRay選手
 相性などもあるので、対策をとっても勝てない相手はいると思うんですよ。そこにどう勝つのかとなったときに大事になるのは個人技です。ただ、個人技でも僕らはどのチームにも負けていないから、勝ち続けられているのではないかと思います。

Fuji3コーチ
もちろん、僕らに対して対策をとっているチームがないわけではないです。ただ、CAGの選手たちは、試合中に相手の用意した作戦に対してどのように対処すればいいのかという答えを導き出す能力が高いです。「(相手が)こういうことをしようとしているから、こうしよう」という話が、ラウンド中にポンポンと出てきます。

 相手の作戦に対して攻めや守りを変化させることができるので、相手としては対策として用意した作戦が試合の途中から通じない形になっていくのではないでしょうか。

――たしかに、CAGは序盤のラウンドを取られたとしても、後半から相手のやってきていることに対応した動きができていますよね。この点について今回のSix Invitationalではどうでしたか?

gatorada選手
 今回は事前に自分たちのやることを決めていて、それをやろうとしすぎました。それがよくなかったです。

BlackRay選手
 それもそうだし、そもそも狙いがわかりにくいチームが多かったですね。APAC地域との試合だと、大体どういうふうにやってくるのかってわかるのですが、それが今回はわからないことが多かったです。単独行動している選手の位置を把握できていなかったり、最終盤面でどうしてくるのかを読めなかったり。

Fuji3コーチ
 海外チームを相手にしたときに普段通り戦えなかったのは、いくつか原因があると思います。ただ、シンプルにドローン壊しがうまくて、攻めでは必要な情報を集めることできていなかったように思います。そういった、相手に狙いをわからなくさせる動きが海外チームはできていますね。

――Six Invitationalを終えて、地域の差を感じましたか?

BlackRay選手
 正直、ヨーロッパの環境はいいなと思いました。すべてを兼ねそろえたチームがたくさんいるじゃないですか。そういったチームどうしのスクリムは、お互いが成長できるので羨ましいです。僕らが日本のチームとやったとしても、気づけるものが少ないと思います。地域のせいにするのもどうなのかなとは思いますが、Six Invitationalを終えてみると、そういう部分での地域の差は感じます。

Ayagator選手
 1強のチームがさまざまな練習をできない環境は、日本のFPS全体が抱える問題なのかとも思いますね。

――今後、CAGが世界大会で活躍することや、Six Invitationalの優勝を見たいファンは大勢いると思います。つぎのSix MajorやSix Invitationalに向けての対策や目標はありますか?

BlackRay選手
 Majorも世界大会も、出場するチームは今回と近い形になると思います。そのチームへの対策というよりは、今回足りなかった部分をなんとかAPAC内で練習していきたいと思います。絞った練習をしないと意味がないと感じているので、自分たちに足りていない部分を補強できるようにしていければ。

Anitun選手
 今回のことを忘れずに、自分たちのスタイルを磨いていきたいです。そして、より柔軟な対応もできるようになっていきます。

――最後にファンにメッセージをお願いします。

Anitun選手
 ここはSuzuCさんですね。

SuzuC選手
 僕らの試合がいちばんおもしろいのでぜひ見てください。これからも引き続き、がんばります。

© Ubisoft | Photo Credit: João Ferreira

© Ubisoft | Photo Credit: Kirill Bashkirov

© Ubisoft | Photo Credit: Kirill Bashkirov

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