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『LoL』N高が夏冬2冠を達成! “第2回 全国高校eスポーツ選手権”『リーグ・オブ・レジェンド』決勝大会リポート

 高校生らしいというか何というか、荒々しくもあり力強くもある試合展開だった。

 2109年に観た試合の中でも1、2を争うほどの凄みがあった。

 プロ選手による試合にはない、何ともいいようのない熱気が試合の節々から感じられ、ゲーム終了後はしばらく鳥肌が収まらなかった。

 そんな名試合が、高校生たちによってくり広げられた。

試合後も声援が鳴り止まない。会場内はとてつもない熱気に包まれていた。

 これは2019年12月29日に開催された“全国高校eスポーツ選手権”の決勝戦を観た筆者の感想だ。この日は『リーグ・オブ・レジェンド』(以下、LoL)部門のオフライン決勝大会が実施された。

 全国高校eスポーツ選手権は全国の高校生を対象にしたeスポーツ大会で、主催は毎日新聞社とサードウェーブ。2019年3月に第1回大会が行われ、今回で2度目の開催となる。

 競技タイトルは『ロケットリーグ』と『LoL』のふたつ。28日に『ロケットリーグ』部門、29日に『LoL』部門のオフライン決勝大会が開催された。

 オフライン決勝大会には、11月に行われた全116校によるオンライン予選を勝ち抜いた下記の4チームが出場した。

  • N高等学校(沖縄)“KDG N1”
  • 横浜市立南高等学校(神奈川)“The Grateful Feed”
  • クラーク記念国際高等学校 秋葉原ITキャンパス(東京)“Yuki飯食べ隊”
  • 豊田工業高等学校(愛知)“愛工LOL組”

 中でもN高“KDG N1”は注目チームだ。第1回 全国高校eスポーツ選手権では準優勝校である岡山共生高等学校をあと一歩のところまで追い詰め、2019年8月に行われた高校生eスポーツ大会“STAGE:0 2019”では初代王者に輝いた。その実績から、優勝候補の最有力候補だと囁かれていた。

会場となったのは東京・恵比寿のEBiS303。出場選手の家族が応援する姿も多く見受けられた。

イベントのMCはOooDa氏が担当。

試合の解説などは『LoL』の元プロ選手のiSeNN氏(右)が担当。

応援サポーターとして22/7 (ナナブンノニジュウニ)の白沢かなえさん(左)と帆風千春さん(右)も会場に駆けつけた。

第1回大会に続き、スペシャルサポーターを務めるケイン・コスギ氏も登場。

 試合の模様をまとめたダイジェストムービーはこちら。

eスポーツニュース「第2回全国高校eスポーツ選手権 リーグ・オブ・レジェンド部門」

準決勝戦

 準決勝第1試合では、アマチュア日本代表プレイヤーにも選ばれたmarimo選手率いる優勝候補筆頭のN高“KDG N1”と、予選で前大会王者を下した横浜市立南“The Grateful Feed”が激突。

 準決勝戦は一発勝負(決勝戦は2本先取)ということもあってか、序盤はお互いに慎重な滑り出しを見せた。試合が動いたのは、ドラゴンを巡る中盤の戦いだ。

 『LoL』は5対5の対戦ゲームだが、マップ上には中立モンスターが出現。このモンスターにトドメを指すとキャラ強化などの恩恵を得られる。ドラゴンの効果はチーム全体に及ぶほど強力なので、試合展開を左右するポイントのひとつだ。

 N高はドラゴンをすばやく倒し、様子を伺いにきた横浜市立南に襲い掛かり、一方的にキルを獲得。ここで大きな有利を手にしたN高は、つかんだペースを離すことなくジワジワと差を広げていった。

 そのまま横浜市立南を圧倒する形でN高が勝利。優勝候補の名にふさわしい戦いぶりで、決勝へと駒を進めた。

 準決勝第2試合のカードはクラーク記念国際“Yuki飯食べ隊” VS 豊田工業“愛工LOL組”。クラーク記念国際は『LoL』の国内プロリーグ“LJL”で活躍した元プロ選手のYuki氏がコーチを務めており、こちらも注目校。一方の豊田工業“愛工LOL組”は今大会が初出場となる新鋭チームだ。

 序盤からクラーク記念国際のリーダー・Funahwi選手がアグレッシブな攻めを見せ、順調にキルを獲得していく。一度ペースを握ったクラーク記念国際は、以降もFunahwi選手を中心に大暴れ。中盤には敵チームを全滅させるなど、圧倒的な力を見せるクラーク記念国際が、終始ゲームを支配する流れとなった。

 最後まで豊田工業の反撃を許すことなく試合を制したクラーク記念国際が、決勝戦へと進出した。

決勝戦

 決勝では、互いに圧倒的な力を見せたN高とクラーク記念国際が対決。元プロのYuki氏がコーチを務めるクラーク記念国際に対して、N高のコーチは同じく元プロのLillebelt氏。

 両チームともにLJLで活躍した元プロ選手がコーチを務めているだけあり、ハイレベルな試合が予想された。

 注目の決勝戦第1試合。N高は準決勝戦からメンバーを入れ換え、紅一点のshakespeare選手を投入した。

 キルが大量に発生するハイスピードな試合展開となり、一方がリードを奪うと、もう一方が取り返すというシーソーゲームがくり広げられた。中盤の集団戦を制したN高が有利を奪ったかと思いきや、クラーク記念国際もこれに対抗。序盤から長期戦の様相を呈した。

 全体を通してややN高優勢で進み、戦いは終盤へ。ここで集団戦を制したのはクラーク記念国際だった。N高のプレイヤーをまとめて倒し、チーム全体のゴールド差(※)を覆すことに成功。主導権を握ったかと思われたが、N高がその勢いに飲まれることはなかった。逆にクラーク記念国際の本拠地を強襲し、逆転に次ぐ逆転という激戦を制す形となった。

※ゴールド差:『LoL』は試合ごとに自分が操作するチャンピオン(キャラクター)を育成して戦うゲーム。敵を倒すなどしてお金を貯めると強力なアイテムを買えるため、ゴールドの獲得量はチーム戦力の目安となる。

インターバル中に1戦目の反省点と2戦目に向けての戦術を話し合うクラーク記念国際。

 続く2戦目、N高は再びメンバーを変更した。準決勝戦と同じ布陣に戻して優勝を狙う。

 この試合では、クラーク記念国際が順調にキルを獲得していき、試合のペースを握った。しかし、N高も意地を見せて中盤で発生した集団戦を制圧。逆にリードを奪い返す。

 これに対抗するように、クラーク記念国際のFunahwi選手によるスーパープレイが炸裂して、試合を決めるドラゴンのバフを獲得した。どちらが優勢とも言えない状況が続いたが、最後は人数の差を押しのけてのN高のmarimo選手が見事なプレイで相手を壊滅させて2戦目も勝利。最終的に、2連勝という形でN高が優勝。2019年8月開催のSTAGE:0から引き続き、夏冬の2冠を手にした。

 marimo選手のスーパープレイによって幕を下ろした最終戦。その圧倒的なプレイを目にした観客からは、しばらく「まりもー!」という声援が鳴りやまなかった。それほど最後のシーンは衝撃的だった。

 最後のシーンは、クラーク記念国際5人、N高3人という人数状況だった。冷静に振り返ると、人数的な差があったため、ふつうであればN高が下がるべき場面だったように思える。おそらくプロの試合であれば、リスクを考慮して激突を避けるのが定石だろう。

 しかし、N高は果敢に勝負を挑み、人数差の不利をはねのけて試合を制した。貪欲に勝利を拾いにいく、高校生ならではの熱い展開だったように思う。そういった勢いのあるプレイが観客を引き付けたのかもしれない。

 激戦の熱が冷めやらぬまま、第2回全国高校eスポーツ選手権は終了した。イベントの最後には、第3回 全国高校eスポーツ選手権の開催も発表。『ロケットリーグ』部門、『LoL』部門ともに、名試合がくり広げられた本大会。またさらなる熱戦がくり広げられることに大いに期待したい。

インタビュー

 大会終了後には、準優勝校のクラーク記念国際と、優勝校のN高へのインタビューも行われた。

準優勝のクラーク記念国際。

 準優勝のクラーク記念国際には、オフラインでの大会経験者が3人在籍。それでも「決勝という舞台で、こんなに多くの観客の前でプレイするのは初めて」とのことで、緊張していつも通りにプレイできなかったという。

 さらに、N高にアマチュア日本代表に選ばれたmarimo選手がいたことが精神的な壁となったようだ。そんな彼らを支えていたのは、チームのコーチ。「技術面でも、精神面でも大きな支えになった。本当に感謝しかない」と、改めてコーチ陣への感謝を述べていた。

 「次回大会への出場は?」との問いには、全員が参加に意欲的な模様。

 「個人技を伸ばして、チーム力を底上げしたい」、「打倒N高」と次回大会に向けての抱負を語ってくれたクラーク記念国際。次回大会では、さらにレベルアップした彼らの活躍が見られそうだ。

 優勝したN高は、優勝候補という前評判からプレッシャーを感じていたようで、「試合をする前は負けるんじゃないかと不安だった」という。その重圧を押しのけて優勝できたことに「肩の荷が下りた」とホッとした様子。

 勝因について尋ねると、「以前はmarimo選手を中心に勝つ戦法ばかりだったが、メンバーが成長していろいろな選択肢ができるようになった」と語ってくれた。リーダーであり、チームの核となるmarimo選手は「以前は自分がなんとかしなきゃと焦ることが多かった。今大会では、仲間を信用できたからこそ着実に勝ちにいけるプレイができた」と今大会を振り返る。

 その思いが形となったのが、決勝戦の1試合目だ。メンバーを入れ替えることで相手の意表をつき、さらにはmarimo選手が囮になるように動いて、チーム全体で有利を勝ち取りに行く。チーム全員を信用していたからこそ生まれた戦法がうまくハマったのだ。

 最後の相手の裏をつくように本拠地を攻めた攻撃は、marimo選手の発案とのこと。「リスキーな指示だったけど、みんなが僕を信じてくれた」と、marimo選手は胸をなでおろす。

 2試合目ラストのスーパープレイに関しては、中国のプロリーグで活躍し続けるスタープレイヤー・Uzi選手の存在が大きかったという。Uzi選手のように「避けるのが難しいスキルを避けて、生き残って反撃して」という超人的なプレイがイメージとしてあり、それを決勝戦という大きな舞台で実現させたのだ。

 チームの紅一点であるshakespeare選手は、「女性プレイヤーというだけで風当たりが強かったりする。それが悔しかったからがんばってきたところもある。結果が残せたからよかった」とコメント。marimo選手いわく、彼女は「我が強い」選手。そんなshakespeare選手は「marimoばっかりが活躍して悔しいので、つぎは自分が活躍したい」と、彼女らしい次回大会への抱負を語ってくれた。

 王者となったことで、つぎからは追われる立場となったN高。次回大会では、440選手が卒業によって脱退するが、ほかのメンバーは活動を継続するそうだ。

 メンバー脱退による不安は大きいものの、N高の独特な学習スタイルのおかげで、「ほかの通信制の高校に比べて5倍、6倍練習できる」と語るメンバーたち。彼らが第3回大会でも大暴れすることに期待したい。

 第2回 全国高校eスポーツ選手権は、本当にいいイベントだった。“青春”というと大げさかもしれないが、胸を熱くさせる“熱”を帯びたイベントだと感じられた。

 会場には出場校の生徒や先生、選手の家族が応援に駆けつけていたのも大きいだろう。試合が始まる前には「いけるいける! 絶対勝てるよ!」と、選手に対して声をかけ、試合中にも大きな声援を送る。そんな会場全体の雰囲気は非常に心地がよかった。

 もちろん、選手たちのすばらしいプレイが主役だったのは間違いない。プロの試合と比べると、まだまだ粗削りかもしれない。それでも高校生ならではの試合展開が見られ、“意地と意地のぶつかり合い”のようなものを感じられた。大会を重ねるごとに、さらに試合のレベルも上がっていくだろう。これからの高校生プレイヤーの成長が楽しみだ。

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