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ヤクルトに指名されなかったヤクルトファン、AOの“恩返し”、マエピーは涙……。パワプロ・プロリーグ第3節を振り返る

 筆が進まない。

 “ヤクルトファンの編集者が、ファンに近い目線でeBASEBALL パワプロ・プロリーグ観戦手記を書く”というコンセプトで始めた取材だったが、3回目にしてすでに、キーボードの前で頭を抱えている。

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 書きづらいのには理由がある。僕が応援している東京ヤクルトスワローズの成績は、第1節、1勝2敗。第2節、1勝2敗。そして第3節、1勝2敗……。

 それも、えぞひぐま選手は3連勝し、TKD選手と、パワプロチャンピオンシップ2017優勝という鳴り物入りで入団したマエピー選手は、ふたり揃って3連敗だ。同じ展開をなぞっているようで、記事を作るのが難しい。

 おかしいな……当初の予定ではいまごろは【東京ヤクルトスワローズ首位独走! 神宮の杜は、季節外れの傘の花が満開です!!】という記事を書いているはずだったのだが……。
 
 ……ハッ。いやいや、チームが不調なときにファンが陥りがちな夢想状態から脱して、現実を見つめ直そう。

 先週、2018年11月24日は、ヤクルトスワローズは横浜DeNAベイスターズを相手に3連戦を戦った。

 1試合目は、ここまで連勝のえぞひぐま選手を立てた。その期待に応え、えぞひぐま選手は、スワローズの村上宗隆でライトポール直撃のソロホームランを放ち、1対0というヒリヒリする展開の試合をみごとに制する。

村上が放った打球は、神宮球場のライトポールを直撃! これが決勝点となった。

 これで勢いに乗れるかと思った2試合目。TKD選手は0対2で惜敗。嫌なムードが漂う。

DeNAベイスターズが勝つと、タオルを掲げて「アイラブ、ヨコハマー」のパフォーマンス。

 そして迎えた第3戦。チームのキャプテン、マエピー選手が対峙するのは、先々週、「戦いたい」と指名を受けた、AO(あお)選手だ。このAO選手、じつはヤクルトファンで、昨年にはパワプロチャンピオンシップ2017にヤクルト代表として出場している。

 12球団が所属選手を選ぶeドラフト会議が終わった後、「スワローズから指名されなかったのは残念ですが、スワローズから横浜に移籍し活躍した田中浩康選手のように輝いてみせます!」と、AO選手は語っていた。

 胸に期するものがあったのだ。

 もしかすると、勝敗を分けたのはその思いの差だったかもしれない。

 ヤクルトが誇る強打者・山田哲人の第1打席、AOは内角高めにストレートを投げ込む。

 ボールとストライクゾーンギリギリに投げ分け、どんどん押し込んで来る。“二度押し”で投げている以上、少しでも投球のタイミングがずれれば、致命的な失投になりかねない強気の投球だ。執拗なまでに内角高めに投げ込み、力技で山田を抑え込んだ。

 さらに0対0で試合が進行した3回表、横浜の攻撃。ランナーをひとり置いて打者筒香、ここでスワローズを操るマエピーは、サウスポーの村中をリリーフに送る。その初球。内角やや高めのボールを、AOが振り抜いた。

 打球はあっという間に右中間スタンドへ飛んでいく。AOは思わず立ち上がりガッツポーズ。マエピーは天を仰いだ。

「よっしゃあ!」。AOが叫ぶ。

 さらに5回表、横浜の攻撃で打者・筒香。

 ヤクルトの投手は今季54登板とブレークした、中尾輝(なかお・ひかる)。僕はヒカルという名前に一方的に縁を感じて応援している。その中尾が投じた高めのフォークをAOは見逃さなかった。

雄叫びとともに立ち上がるAO、うなだれるマエピー。

 2打席連続となるホームラン。スコアは4対0となり、差が開く。

 それでも、最終回となる6回裏の攻撃、マエピーは見せ場を作る。2死満塁の場面を作り、バッターは畠山。

 満塁男、逆境○、プルヒッターという特殊能力が発動し、これ以上ないほどにホームランが出やすくなっている。落ち着いて仕留めれば……。

 2ボール2ストライクからの5球目、マエピーは内角高めの球を強振で振り抜く。強い打球は投手の前でワンバウンド。投手の三上はグラブに当てるも取り切れずに後逸する。

 すわ、タイムリーになるか、と思われたが、セカンド石川がカバー。ファーストにボールが送られ、ゲームセットとなった。

 ステージのビジョンには、ベイスターズの勝利を伝える“WIN”という文字が煌々と輝いている。マエピーは立ち上がれない。顔を覆ったまま身じろぎできないマエピーの背に、TKDがそっと手を添えた。

 試合後、マエピーにインタビューを行った。

――悪夢の3連敗となってしまいました。

マエピー いやもう……、僕が、弱いだけですね。もう……(しばらく言いよどむ)、申し訳ないですね。

――試合前、AO選手から指名を受けていました。かなり研究されていたのでは?

マエピー 研究されているというのも自分ではわかっていて……その上で……いま出せるものを、出せた試合でもあったので……。ちょっと、なんて言っていいか、わからないです。すいません。

――最終回、満塁で畠山といういい形を作りました。

マエピー 正直、いい形でのヒットではなかったので(エラー絡み)……実力通りです。

 マエピーの口は重く、目は潤んでいる。敗戦後、ショックも覚めやらないまま、言葉を探し、ときに言いあぐねながら、質問に答えていく。

――次週(2018年12月1日)、第4節があります。

マエピー ……正直、気持ちの問題以上の壁にいまぶち当たっているので……(しばらく絶句)、なんとか、前を向いて試合に望めるように、がんばります。

 精一杯、言葉を絞り出した。

 えぞひぐまは「もう失うものはない」と言った。TKDは「自分でも力んでしまっていたのが今日はわかった」と言った。eペナントレース、残りは第4節と第5節を残すのみだ。

 「やっぱり気負いやプレッシャーがあったのだと思う、連敗中だという重圧も。マエピーさんやTKDさんの実力はこんなものではない。僕は知っていますから」と、対戦相手だったAO選手が気遣うように語っていた。

 重圧もあるだろう。研究されているという難しさもあるだろう。でも、僕が見たいのは、前年度パワプロチャンピオンシップ王者マエピーが、その重圧を跳ね返すシーンだ。逆境を覆す心の強さだ。ピンチを切り抜けた後に待つ、大逆転のときだ。

 スワローズのユニフォームに袖を通している選手は、きっとそれができるはずだ。僕はそう信じている。

 明日、第4節。スワローズは、ジャイアンツと戦う。意地を懸けた雪辱を期待したい。

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