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テレビ局のアナウンサーがesportsキャスターへ転向。“ゲーム愛”が強すぎたことがその理由!?

 6月15日に朝日放送を退社したアナウンサー・平岩康佑氏が、esports実況業務に特化した会社ODYSSEY(オデッセイ)を設立し、esportsキャスターへ転身したことは大きな話題となった。平岩氏はesportsキャスターとして、“パワプロチャンピオンシップ2017”や“RAGE2018 Summer”内の『シャドウバース』部門、専門番組“シャドバ道場”にて、実況を務めた実績を持つ。そんな平岩氏に、局アナウンサーからesportsキャスターに転向した理由や経緯、そしてゲームに対する思いなど、さまざまな事柄について聞いた。

平岩康佑氏

洋ゲー好きの平岩氏がアナウンサーになった経緯

 平岩氏はインタビュー開始直後から、とにかくゲームが好きだと熱く語った。幼少期よりファミコンに親しみ、中学時代からはFPSを中心とした、海外のゲーム(いわゆる、洋ゲー)にのめり込む。とくに好きなのは『グランド・セフト・オート』シリーズで、交通ルールを守るという本作らしからぬマニアックな縛りプレイを楽しんでいたことも。まわりが『ポケットモンスター』に熱中しているときに『レインボーシックス』にハマったせいで、話題についていけなかったエピソードには、笑ってしまった。

 そして、平岩氏は大学卒業後に朝日放送にアナウンサーとして入社する……のだが、任天堂からも内定を受けており、就職は「人生でいちばんの究極の選択」だったという。「人前で話すことが大好きだったので、昔からアナウンサーをやってみたいと思っていました。ただ、ゲームも好きだったので、ゲームを仕事にしたいとも……」と当時の葛藤を赤裸々に語る平岩氏。朝日放送入社後は、実況アナウンサーとしてプロ野球やJリーグなどの実況を担当して活躍する。その後もゲーム熱は冷めることなく、より加熱していくことになる。

大型大会“RAGE”を機にesportsキャスターの道へ

 そんな平岩氏に、大型esports大会“RAGE”への出演という転機が訪れた。“RAGE”の開催をSNSで知ると、すぐさま運営会社CyberZの知り合いに連絡を取り、「ゲーム(esports)の実況をプロでやっている人は少ない。ぜひやらせてほしい」と熱弁。そして朝日放送社内にも話を通し、局アナとして“RAGE”の実況担当を実現してしまうあたり、ゲームへの熱い思いはどれほどか。単にesportsに興味があったというぬるい感じではない。「esportsが盛り上がっていく中に、自分がいないのは我慢ならない」との言葉に思いの強さがうかがえる。

 その後「“RAGE”での経験が本当に楽しすぎて、頭から離れなくなってしまった」平岩氏は、朝日放送を退社。そしていま、「大好きなゲームを仕事にできたことや、周囲の人とゲームの話をする機会、すべてが楽しい」と、まるで少年のように語る。こうして平岩氏は“人前で話す仕事”と“ゲームの仕事”のふたつの夢を同時に実現した。思うに、esportsキャスターへの転身は、至極当然の流れだったのだろう。

実況のプロから見たゲーム実況の現状

 「実況を担当するゲームのことはみっちり勉強します」と平岩氏は語る。実際に『シャドウバース』は2ヵ月間遊び込んだとのことだ。「視聴者と同じ場面で驚くことができ、視聴者が感動する場面は自分も同じ思いであるべき」だという。実況ではしっかりと情報を伝えて盛り上げることを心掛けており、選手の背景やドラマも織り込んでいく。そういった局アナ時代に培ったノウハウは、大いに役に立っているそうだ。

 一方で平岩氏は、一般的なesportsの配信では実況と解説の区別がはっきりしていない点を指摘。実況者は目の前の出来事を伝え、観客を盛り上げることが仕事であり、ルールや技術面の詳細は解説者に話を振ればいい。「実況者はホームランを“打てない人”でよく、隣に解説者という“打てる人”がいる」との弁は、とても明快に「なるほど」と感じた。続けて平岩氏は、実況者が全体的に“喋りすぎ”の傾向にあることにも触れる。スポーツ中継のように、黙ることで緊張感のあるシーンを見守る“演出”も必要だという。そもそも日本では、esportsの配信技術はまだ発展途上にある。テレビ局やテレビ番組制作会社などが深く関わることで、“スポーツ中継的なノウハウ”を持ち込めば、よりよい配信が行えるだろう。平岩氏はそういった部分を含めた、番組・イベントコンサルティング業にも意欲を見せる。さらには、実況の技術を言語化し、見える形で伝えて後進の育成にも力を入れたいと、今後の目標を掲げた。

 そして、esportsがオリンピック競技として採用されるかもしれない将来を見据え、「そのときはプロフェッショナルな番組や実況という、最高の状態でゲームや大会を楽しんでほしい」と平岩氏は結んだ。現在の野球やサッカーの中継と同じ感覚でesportsの番組を楽しめる時代の到来は、そう遠い未来ではないかもしれない。

2018年 記者が気になったesportsトピック

■日本テレビが番組制作やチーム運営などesports事業に取り組む

 6月29日、日本テレビ放送網は子会社“アックスエンターテインメント”を設立。esportsチーム“AXIZ”を発足し『シャドウバース』部門を立ち上げた。また、esports専門番組“eGG(エッグ)”の放送が開始。

■吉本興業や浅井企画などの芸能事務所がesportsの活動を開始

 大手芸能事務所の吉本興業が“よしもとゲーミング”を、浅井企画が“浅井企画ゲーム部”をそれぞれ発足した。イベントや配信などのesports事業を行い、プロチームとの活動にも注力していくという。

■Jリーグや日本野球機構がesportsリーグを設立

 Jリーグが『EA SPORTS FIFA 18』を用いた“明治安田生命eJ.LEAGUE”を開催。日本野球機構(NPB)は“eBASEBALL パワプロ・プロリーグ”を開催するほか、『スプラトゥーン2』の大会実施を発表。

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