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将来を真剣に考えなくなったらまずい――『サドンアタック』最強クランはなぜプロにならなかったのか。

こんにちは。ミス・ユースケと申します。ネクソンさんにお邪魔しています。

「esportsの発展にはスーパースターが必要だ」

 こういう声をよく聞く。野球で言えばイチロー選手、サッカーならキング・カズ。スターに憧れて競技人口が増える、みたいな発想だろうか。

 言いたいことはわかるのだけど、スターはすでにいると思うのだ。たとえば、

◆梅原大吾さん
おそらく日本でいちばん有名な格闘ゲーマー。“世界で最も長く賞金を稼いでいるプロゲーマー”としてギネス認定されたこともある。

◆ときどさん
東大卒の格闘ゲーマー。世界最大規模の格闘ゲーム大会“Evolution 2017”の『ストリートファイターV』部門で優勝を果たした。

◆noppoさん
オンラインFPS『カウンターストライク』で活躍した元プロゲーマー。10年以上前に強豪国スウェーデンに単身で渡り(当時はまだ10代)、現地のプロチームに参加した。現在はNVIDIAに勤務している。

 ギネス認定、世界チャンピオン、単身での本場への挑戦。3人とも、ゲームを知らなくてもすごさが伝わるレベルの偉人だ。まだ足りないと言うのか。

 スターはいる。いるのだが、彼らを目指して、あるいは彼らを真似てゲームをプレイする若者はどれくらいいるのだろう。

 僕だったら目指せない。だって、すごすぎるから。FPSのプロになるためにひとりでスウェーデンに行けるか? いや、むりだ。

 そう、たいていのスターはすごすぎるのだ。環境が、考えかたが、行動力が。「自分とあの人は違うから」で片付けてしまう。

 そこで、この説を提唱したい。

 憧れや夢に至る前に、現実的な目標も大切だ。階段みたいなものである。いまの僕らに必要なのは、ふつうの青年の適度な出世物語ではないか。

 行動力は人並みで、育ってきた環境もふつうなのだけど、ゲームで結果を残し、それなりの立場にいる人。そういう人生は、ゲーマーにとってわかりやすい目標になると思う。

 誰かに話を聞きたいなーと思ったら、いた。

竹本涼平氏、通称・Matchaくんだ。グラビアっぽく撮った。

 MatchaくんはPC用オンラインFPS『サドンアタック』の強豪クラン・NabDのリーダーとして頂点を経験した後、ネクソンの『サドンアタック』運用チームでばりばり働いている(インタビュー当時。会社員なので所属が変更となることもあります)。

 彼とはプレイヤー時代からの付き合いだ。来歴を教えてよと頼んだら、いい話がぽろぽろ出てきた。

【聞いた話の例】
・ライバルを追いかけて――ドラマティックな『サドンアタック』との出会い。
・無責任にプロを名乗ることはしなかった。
・つまらなさそうにゲームする人って何なんだろう。
・プロチームに入ったのに、すぐに「自分と合わないから辞めます」みたいな話を聞くと、そういうのは違うんじゃないかと感じる。
・プロになるのは目的を達成するための手段だと思う。ゴールではない。

 インタビューにはマーケティング担当の坂下智久さんも同席し、ほぼ雑談状態。ふだんのノリで話を聞いたので、全体的に馴れ馴れしい言葉づかいになっている。

 わりと長い記事なのでコーヒーでも入れてじっくり読んでください。

プロフィール

Matcha(まっちゃ)

PC用オンラインFPS『サドンアタック』強豪クラン“NabD”の元リーダーで、本名は竹本涼平。現在はネクソン勤務。

坂下智久(さかしたともひさ)

『サドンアタック』マーケティング担当。Matchaくんがいちプレイヤーだった頃からの付き合いで、彼のことをよく知っている。文中では坂下。

ミス・ユースケ(みす・ゆーすけ)

ファミ通.comのPCオンラインゲーム担当で、本記事の執筆者。Matchaくんとはそこそこ付き合いが長く、ビジネスの関係になったいまでも、当時と同じように馴れ馴れしく接している。文中ではユースケ。

クランに誘われなかったから頼み込んで入隊

ユースケMatchaくんは世間で言うところの“esportsプレイヤーのセカンドキャリア”に近い形でネクソンさんに入ってると思うんだ。

Matchaまあ、そうかもしれないですね。

ユースケプレイヤーとして何回も日本一になっているような人が、つぎは運営する側に回りました、と。何でそうなったか教えてほしいと思って。まじめなインタビューか雑談っぽくするか、どっちがいいかな。

Matcha雑談でお願いします。

ユースケわかった。それでは対戦ゲームの世界に入ったきっかけや、『サドンアタック』の出会いから、きみの来歴を教えておくれ。

Matcha北海道出身でして、オンラインゲームに初めて出会ったのが中学生くらいのときです。友だちの家に遊びに行ったとき、PCで『メイプルストーリー』をやってたんですよ。何だろうこのゲームと思って、そいつの家でやらせてもらったのが初めてです。
 そこから『メイプルストーリー』にはまって。家にもPCはあったので家でもやって。で、いつだったか、そいつが『Gunz』(※)をやってたんですよ。
 家のPCでは動かなかったので、 そいつの家に『Gunz』をやりに遊びに行くようになりました。

(※『Gunz』:正式名称は『Gunz Online』。2005年頃にサービスが実施されていたオンラインTPS。対戦ゲーム好きの支持を集めた傑作で、ここから出てきた有名プレイヤーは多い)

ユースケちょっと待った。

Matcha何ですか?

ユースケこの話、長い?

Matchaいきなり飽きないでください。かいつまんで話しますから。

ユースケ想定よりしっかり話してくれるもんだからびっくりした。ところで、展開が急じゃない?

Matchaさすがに担任と親に説得されました。急にやめるんじゃなくて編入しろと言われて通信制の高校に行ったんですよ。いま思うと、説得してもらえて助かりました。

(※紙投げ:多くのFPSや対戦ゲームで活躍するプレイヤー。『サドンアタック』ではMatchaくんのライバル的に扱われることも多かった)

ユースケへー、そこでか。もう。

MatchaGunz』を始めた当初から紙投げくんは有名でした。yukishiroくん(※)とかといっしょのチームでやっていて、僕は指をくわえて見ていました。最初はPCのスペックも低かったし、全然うまくもなくて。
 PCがよくなったら「おれこんなに強いんだ」って思うくらい強くなってました。気付いたら紙投げくんは(『Gunz』を)やめていたんですけど、まあいいや、おれ強いしみたいな感じで、友だちと続けていて。

(※yukishiro:プレイヤーとしてだけでなく、試合の実況担当としても活躍。同世代のゲームキャスター・岸大河くんにも影響を与えた)

ユースケその友だちっていうのは?

MatchaVader(※)とかその辺です。で、2007年の夏ぐらいですかね、そろそろ違うゲームもやってみたいなと思ったんです 。

(※Vader:NabD時代のチームメイト。現在はプロゲーミングチームのUnsold Stuff Gamingに所属している)

Matcha紙投げくんとはちゃんと戦えてなかったんですよ。僕が弱かったので一方的にボコボコにされてました。そのまま彼はどっかに行っちゃってて。
 つぎ何やるかなーって思ってたら、仲間内のボイスチャットで紙投げくんが『サドンアタック』やってるらしいと聞いて。

ユースケドラマティックな話。一応、確認するけど、盛ってないよね?

Matcha事実です。あいつがやってるんだったら、おれもやるわって感じですね。(勝手にライバル視していた)紙投げがいなかったら『サドンアタック』にも出会ってないと思います。

oMaE:3)s(おまえさんず)も『Gunz』出身者が作ったクラン。

Matcha2007年の12月にSACTL2007っていう大会があって、そのときは2軍の補欠でした。大会には7人登録できるんですよ。5人がスタメン、ふたりが補欠ですね。

ユースケザ・下積み時代って感じ。

Matchaそれで大会に出て、予選のどこかで負けちゃったんですね。しかも相手が紙投げのチームだった気がする。紙投げは(『サドンアタック』の)最初のオフライン大会で準優勝……違ったかな。まぁ、そんな感じで。
 oMaE:3)sの1軍もオフラインに出てましたね。「いいなー」って見てましたよ、北海道の実家で。その少し後、2008年の1月頃かな、oMaE:3)sがあんまりやる気がないなって時期があったんです。

ユースケクラン全体にそういう空気を感じたわけだ。

Matchaふたをあけたら、クランマスターがoMaE:3)sを発展させるためにWebサイトを作ってたってだけなんですけどね。勝手に僕らが勘違いしていた。
 NabDを作った人はoMaE:3)sのオフラインのメンバーでした。その人がoMaE:3)sの人に「大会で上位を目指せるクランを作ろう」って声をかけていたんです。それがNabDです。

ユースケ留学ってまた急な話だな。その頃のNabDって、『サドンアタック』全体からするとどれくらいの立ち位置だったの?

Matcha最初から上のほうだったと思います。当時はRustyEggsっていうKeNNyくん(※)がいたクランがトップだったんですけど、それを超えるんじゃないかくらいに言われていました。
 そこからですね、NabDは。おれがいちばん下手でいちばん下っ端だったはずなんですけど、マスターになっちゃって。

(※KeNNy:『カウンターストライク1.6』など、さまざまなゲームで活躍した元プロゲーマー。10年以上前から韓国で短期合宿を行うなど、精力的に活動していた)

ユースケいちばんやる気があったからマスターになった感じなのね。そのときは学生? 働いてた?

Matcha高校生です。高2の冬ですかね。学校は通信で実家暮らしで、ゲームばかり。たまにバイトしたり、家の仕事を手伝ったりもしてましたけど、まともに働いてはいませんね。

ユースケその後はふつうにプレイして、上位に入賞したり、だよね。NabDに加わって変化はあったのかな。

Matcha2008年に(e-stars Seoulという世界大会の)日本代表になったんですけど、韓国に行って思ったのは、「何かすげえな」って。
 ゲームの大会をオフラインのでかい会場でやる、っていうか海外に行くのもすごいなって思いましたし。韓国でプロゲーマーがリムジンから降りてきて、女の子からきゃーきゃー言われてるんですよ。

ユースケそっか。10年くらい前ってちょうどそういう時代だ。韓国とか台湾では、そういう雰囲気がすでにできていたんだよね。

Matcha当時は『スタークラフト』が人気でしたね。あれ何? アイドル? って通訳さんに聞いたら、「えっ知らないんですか? 国民的アイドル級のプロゲーマーですよ」と教えてもらって。
 すげえ世界があるんだなって思いましたよ。僕が最初にプロゲーマーとかesportsって単語を聞いたのがそのときです。

ユースケ20代半ばから後半くらいのプレイヤーは、だいたいそこで衝撃を受けてるんだよね。
 いまの子たちは“esportsが世界で人気”っていう前知識があるけど、当時は知らない人が大半だから、カルチャーショックに真正面からぶん殴られる。

Matchaくんが通っていた通信制高校は4年制。単位を落として留年すると5年通うことになる。

Matchaさすがに焦りました。高校でまともに勉強していないのに進学とか就職なんてできんのかなとか。ゲームばっかりやってて大丈夫かなとか。
 そこで何かしたかと言えば、してないです。そのまま実家にいて、家のことを手伝いつつ、ゲームやりつつ、どうするかなって。

ユースケうわ、精神的につらそう。でも、そうだよね。ここでさ、「必死に勉強して取り戻しました」みたいなサクセスストーリーはよく聞くけど、簡単にはいかないよ。たぶん僕もそういう状況にあったら何もできないと思う。

この記事で出てくる最大の決断。わりとふつう。

Matchaずっとゲームやって、このまま家の仕事を手伝って生きていくのか、それとも別の道で何かやるのか。最終的に行きついたのが、ゲームを続けること。それでご飯を食べたいという考えが芽生えて。
 うちの家業は父親がやりだしたことなんです。おれはおれでやりたいことを貫き通したくなったんですよね。父さんを見ちゃってるんで、やりたいことを貫き通している人を。

ユースケゲームで生きていくために東京に出る。いちばんゲーム会社が集まってるのが東京だからねえ。

Matcha親からは猛反対されました。ゲームのためだけに東京に行くなんて納得できないですよね。

ユースケそりゃそうでしょ。

Matchaじゃあ勉強する、専門学校に行くわって。お金の面も親と話し合って、専門学校に行くことになりました。2009年の12月に決まって、願書を出して、合格通知もらって。1月末に東京に来て部屋を決めて、2月中旬から東京生活。
 2年間は専門学校に通ったんですけど、まぁー学校には行かなかったですね。ゲームばっかり。

ユースケだろうなって気はしてた。

Matcha(笑)。学校の先生にも何で学校に来ないのかって説教はされました。こういうの(『サドンアタック』)やってて、夜遅くまで練習があるから起きられませんって説明したりして。
 テストの3日前くらいになったら「学校にあまり来てないし、勉強してないでしょ」って友だちの家に呼ばれて、勉強を教えてもらって、何とか試験は通るという。

ユースケ何だかんだで会う人に恵まれてるよね。両親も送り出してくれてるわけだし。

Matchaそうなんです。運がいいと思います。周りにいい人が多い。プレイヤーを続けながら学校に行って、何とか卒業はできました。

ユースケいまは就職して両親も安心してると思うけど、当時はハラハラしただろうね。さすがにさ、ちょっとくらい勉強する姿勢を見せてあげてもいいと思うよ。

Matchaその辺は、はい、反省してます……。

家族や仲間は大切にしよう!

プロゲーマーになろうと思わなかった理由

ユースケ当時、プロゲーマーとしてやっていこうとは思わなかった?

Matchaもともとの考えが“ゲームで(自分の人生を)どうにかしたい”で、プロゲーマーになりたいっていう強い意志はなかったんです。
 というか、当時は将来が見えてなかったし、ゲームばかりしていたので、“選手”以外のことをわかってなかった。その辺は周りの人に聞きながら勉強すればいいかなと思ってました。
 いろんな人と話したり、イベントに出たり、大会スタッフをやったり。何があるのか、(ゲームに携わる人たちが)どういう仕事をしているのか、自分で経験しないとわかんないんですよ。

「おれにはゲームしかない」とゲームに打ち込む子は少なくないと思うが、視線の向け先が少し違う。

Matchaたとえば、デバイスメーカーがどうやって製品を作っているのか、とか。その頃はちょうどDHARMAPOINTさんがすごいよくしてくれていたので興味はありました。
 作る現場を見るんだったら日本のブランドのDHARMAPOINTさん。steelseriesさんとかRazerさんとかは、海外の会社が作った製品を日本の流通に乗せるのが仕事って感じですよね。

ユースケだいたいそんな感じだね。

Matchaそれ以外だとイベント。松井さん(※)の会社とか。長縄さん(※)もですね。そういったゲームに携わる人たちが日常的にどういう仕事をしているのか、見聞きしないとわかりませんよね。

(※松井さん:株式会社グルーブシンク代表取締役・松井悠さんのこと。デザイン会社ではあるが、Red Bull系ゲームイベントのプロデュースなど、イベント運営業務も行っている)

(※長縄さん:E5 esports Works代表取締役・長縄実さんのこと。当時から株式会社成の代表取締役として数々のイベントを手がけてきた)

ユースケなるほど。具体的に知りたかったんだ。

Matchaどういうのがあるんだろ。ゲームはどういう風に成り立っているんだろ。それが知りたくて。
 もともと、ものを作るのが好きなんですよ。技術があるわけじゃないですけど。そういうのも含めてDHARMAPOINTさんはいいなって思ってました。どっちかというとプロゲーマーは厳しいだろうなって。

ユースケ実力的に? 将来的に?

Matcha(当時の状況では)よくわからなかったんですよ。プロって言っても、どうするの? どうやってお金を稼ぐの? って。

ユースケチーム5人がプロになるとして、ゲームだけで食べていくためには、そうだなあ。年収ひとり400万円として5人で2000万円。超ざっくり見積もって、最低限それだけ稼がないと。
 いまだったら“メーカーの製品を配信で宣伝したりして報酬をもらう”とか考え付くだろうけど、当時はそんなのほとんど聞かなかったもんね。メーカーからデバイスを提供してもらうくらい。
 それでも、デバイスもらって「いえーいプロです!」って人は当時からいただろうし、たぶんいまでもいると思う。MatchaくんもNabDもそうはならなかった。

Matchaくんは全国大会“SACTL2013”ではMVPに輝いている。実力、実績、知名度は申し分なかったはずだが、それでもプロとしてプレイヤーを続ける道を選ばなかった。

Matchaうーん、そうですね。そうなろうとは思わなかった。いろいろ見聞きしているうちに、僕が(メーカーの)中に入って、ゲーマーといっしょに仕事をしたいと思うようになりました。協力してマウスを作ったりとか。
 DHARMAPOINTさんは(ブランド自体が)なくなったこともあります。いまは復活してますけど、2度なくなりましたよね。2回目になくなったのは2013年の秋頃なんですけど、何だかんだで待ってました。

ユースケ復活するのを? 「いっしょにやろう」って誘われるのを?

Matcha両方ですかね。なくなったタイミングで、海外のデバイスメーカーさんから声がかかったんですよ。でも、やっぱりものを作る側でいたいっていう意地があってお流れになっちゃったんですけど。

ユースケ意地ってどういうこと?

Matcha(流通メインだと)こっちの意見が通らないでしょって。

ユースケたしかに意見が通りにくいイメージはあるね。“プレイヤーと協力してデバイスを作る”という目的に合わせて動きたかったということかな。就職は目的ではなく手段。

Matchaその後で人生どうするかなってまた考えて、でもやっぱりゲームなんですよ。デバイスメーカーは厳しかった。いまからゲーム会社に入ってやっていけるかなと考えているときにネクソンと縁があって。
 せっかくもらったチャンスだし、(『サドンアタック』で)お世話にもなっているので、何かできることがあるんであればやりたい。あと、僕も僕で今後の人生につなげるためにいろいろ勉強したいと思って入社した恰好です。

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プロになって将来を真剣に考えなくなったらまずい

 ここからマーケティング担当の坂下さんにも会話に加わってもらった。坂下さんはMatchaくんがプレイヤーの頃から見てきている。兄貴分的な側面もあると思う。

ユースケ坂下さんから見て、Matchaくんのやりかたってどう思います?

坂下サドンアタック』の全盛期、大会に参加したくて応募してくるチームが1300以上もあって、仕方なく抽選していた頃。NabDってスポンサーも取れたのにそれをやらなかったんですよ。
 理由を聞いたら「うちのメンバーは責任を持てません。企業さんのデバイスを使って、きっちりやんないといけないとか管理できないし、自分の好きなデバイスを使ってもらいたい」って。
 当時からちゃんとしてたんですよ。無責任に協賛を集めて、ここがダメだったら別のところを探そうとか、そういうチームではなかった。

Matchaあの当時は、スポンサーをつけたから何なの? 僕らに何ができるの? って思ってました。メンバーが「プロゲーマーです」って調子に乗って将来を考えなくなったら嫌だったし。僕自身も若かったし。
 責任を取れない。取りたくないですもん。個人的な都合です。おまえら(メンバー)の人生まで背負いたくないよって。

自分の短期的な利益を優先する人なんていくらでもいる。調子に乗ってもおかしくないのに、この判断ができるのは重要だと思う。

坂下この記事を読んでドキっとしたチームの代表もいるんじゃないかな。

Matchaいやー、無理ですよ。だって僕と同い年くらいの連中ですよ。プロチーム化しました。『サドンアタック』10年やってます。で、どうやって稼ぐの? 自分の生活だって心配なのに、人は巻き込めませんって。

ユースケそういう臆病な部分は社会人に必要だよね。臆病だから、声をかけてくれた相手方に迷惑をかけない。
 それと、“プロを名乗るからにはそれで食っていくべき”みたいな考えがあったってことかな。バイト程度のお金を稼いで「おれたちプロです」ではなく。

坂下賞金だけならどのチームよりも稼いできた。そのNabDリーダーがこういうこと言うわけですよ。

ユースケ重みがある。

Matchaだったらストリーマー(配信者)やろうよって話ですよ。それならまぁわかるかな。世界中にプロゲーマーはたくさんいますけど、賞金やスポンサー収入だけで食ってる人ってそんなに多くないんじゃないかなあ。

ユースケたしかに。ストリーマーとしての収入もセットになってるイメージはある。

MatchaYouTuberみたいなタイプのプロゲーマーってわりといると思うんですよ。僕ひとりだけなら(配信しておしゃべりするのは好きだから)できたかもしれないですけど、チームの5人全員が生計を立てられるのかというと、成り立たないと思う。(配信は)向き不向きがあるし、無理にやってもいいものは生まれないと思います。
 僕は人前に立ってかちっとした状態で話すのは苦手です。ただ、ラフな状態で話すのはすごく好き。もちろん無闇に暴言を吐くのはよくないですけど、言葉を選ばなくていいときもある……のかな。

ユースケ暴言っていうとイメージが悪いな。“かしこまらない喋りかた”くらいにしておこう。

Matchaじゃあ、それで(笑)。(当時)ちゃんとした社会経験があれば(プロゲーマー+ストリーマーに)挑戦したかもしれないけど。
 まぁ、でも、それで失敗して借金なんかしたら、家族にも迷惑かけちゃいますよね。そのときはリスクを取れなかった。そのリスクを取るだけの価値が、esportsという世界にあったのかと考えると、その当時の考えではなかったっていう判断です。
 「リスクを取ってでもやるべきでしょ」みたいな人もいるでしょうけど、自分はそれでよかった。

何となく撮った写真。妙に味がある。

Matchaくんはびびる能力が高い

坂下Matchaが採用されるとき、採用を考えていた部署から相談されたんですよ。僕が社内でいちばんMatchaを知っていたので。ですので、彼がどういう経緯で採用されたかは知ってますけど、本当にレアケースですよね。
 いまは専門学校もあったりして、プレイヤーからゲーム会社に就職したいなんて人も多いじゃないですか。でも、メーカー側はそういう人を避けることもあるから、プレイヤーであることが、場合によっては不利には働くこともあったりします。
 会社の採用の方向性も、そのときどきで変わっていくものだから、(Matchaが入社したときは)すごいタイミングだったと思います。

ユースケファンの採用を躊躇する業界ってありますよね。アイドルの追っかけは、一般的にはアイドルのマネージャーにはなりにくいわけで。

Matcha本当に、たまたま縁があっただけという気はします。

坂下実際、いろんな子から相談されましたよ。ネクソンに入れませんかって。
 ほかにも(有名プレイヤーは)いっぱいいたのに、なぜMatchaだったのかと言うとですね、冷静な目があるのが大きいと思うんですよ。自己愛が強過ぎるとか、目立ちたがり屋ではなく、Matchaは自分を可愛がり過ぎない。
 変に期待し過ぎないって言うんですかね。こんなにゲームやったんだから働くならゲーム会社がいいっていう子は多いけど、当時から働いて生活していくことが大事だという感じでいた。

ユースケ冷静ですよね。

坂下だから、ちゃんとしてるかなって。

Matcha(笑)。

ユースケSANCC(ネットカフェ大会)の空き時間に雑談してるときに、「配信とか出るのもいいんだけど、おれ審判がいいです」ってMatchaくんが言ったのすごい覚えてる。前に出ればちやほやされる立場なのに、裏方側が好きなのかーって。
 だから、Matchaくんがネクソンさんに入ったと聞いて合点がいったんです。

Matcha裏方の方が向いてる気がするんですよね。スタッフやってると、ちょっとしたときに参加者とも絡めますし。実際にお客さんの顔を見て話すのって楽しいんですよ。
 配信に出ちゃうと(視聴者と来場者が)見てるかどうかもわからないのに話さないといけない。

坂下調子に乗らないって言うんですかね。いや、乗るときもあるんですけど。
 (Matchaが優れているのは)びびる能力かな。問題が起きたらやめればいいやじゃなくて、怒ったらちゃんと響く。ちゃんと落ち込んで反省する能力ですね。これ社会人にとって大事ですよ。

考えなしに「この会社は合わない」とか言う子は会社としては雇いにくい。当然である。

ユースケそれゲームをするうえでも大切ですよね。「何かあったら別のチームに行けばいいや」って思う人はちょっとなあ。応援しにくい。

坂下よく羨ましがられてるよね。ゲームがうまくてネクソンに入って、いいコースを歩んでるなぁって。
 でも、そういうイレギュラーは入りかたをすると、逆に辛いと思うんですよ。注目されますから。それに、いちばん下からのスタートになりますしね。プレイヤーとしてちやほやされてきたのに。

ユースケゲーマーとしてはエリートコースみたいなもんですし、やっかみもあるでしょうから。

坂下変な目で見られて。これまで友だちとして接してよかった人がお客さんになるわけでしょ。

ユースケ僕だったらちょっと嫌かもなー。いっしょに遊んでた仲間との関係性って何か変化あった?

Matcha最初はありました。僕、横柄な態度を取ってるわりに、ちっちゃいことを気にしちゃうんですよ。

坂下そう。それが大事なんだよね。自分が特殊な環境にいることを自覚していて、悪いなあみたいな遠慮した気持ちもちゃんとある。

Matcha前は精神的に参ることもありました。いちばん心に来たのは、日曜日の10時半くらいに(Twitterに)「ビール美味しい」って書いたら「仕事しろ」ってリプライが何件も来て。すいませんみたいな。いまは何を言われても大丈夫ですけど。

ユースケそれ覚えてるー。ナイーブな時期あったよね。リプライ送ってるほうは冗談なんだろうけど。

Matcha最初はやっぱ気になりましたね。ゲーム仲間と接するときにも「こいつらにもそう思われてるのかな」っていう不安はありました。どういう温度感で接すればいいんだろうって戸惑って。
 「ネクソンに入ったから偉そうになった」って言う人もいて。おれ、もとからこんなんだったじゃんって言いたいけど言えないみたいな。
 いまはもう大丈夫なので、仕事のことじゃない限りはいくらでも絡んでほしいと思ってます(仕事関連は答えられないことも多い)。昔に比べてみんな反応してくれなくなったなーって。さみしい。

坂下家族とか友だちをがっかりさせたくない気持ちってあるじゃないですか。Matchaにも「何だよこのクソ運営」と友だちに言われたくない気持ちって絶対あると思う。
 友だち(でもあるプレイヤー)に「こういうことしたらがっかりさせちゃうかな」って考えが働く。(会社のことを)自分のこととして捉えられるのっていいと思いますよ。

グラビア風写真を撮られるMatchaくん。

ユースケMatchaくんはさ、いま(インタビュー時点)はどういう仕事をしているの?

Matchaアップデートのタイミングでしたらテストがメインです。開発会社とのスケジュール調整なんかも。今後のアップデートの話し合いもしますね。
 基本は(『サドンアタック』を運営するうえでの)スケジュール管理です。坂下さんたちとイベントごとの調整もします。イベントやるときにWebの担当さんに「こういうページを作ってもらえませんか」ってお願いしたり、できあがったもののチェックとかも。

ユースケプレイヤーとしての技術、感覚、感性は役に立ってる?

Matchaどうなんでしょうね。そこまでは大きくないと思うんですけど。ただ、ゲームに対する知識は活かせてるかな。
 いまは『サドンアタック』の担当ですけど、社内テストに参加することはあるんですよ。スマホゲームとか、ほかのPCゲームとか。ユーザーが気にしそうなところはわりとわかりますね。

ユースケ何となく察知できるんだ。ゲーマーとしての勘もあるのかな。

Matchaかもですね。あと、Twitterでの情報収集能力はかなり高い思います。ずっと(ユーザーとして各種の動向を)見てきているので、使い慣れているというか。実際の業務に活かされているかと言われたら微妙ですけど、ゲームの情報を収集するのは得意かなあ。
 あとはなんですかね。『サドンアタック』だけで言えば、(運用チームが)細かい不具合を見つけるのは早くなってるとは思います。

ユースケそれは自分のおかげということ?

Matchaちょっと自信はあります。

ユースケサドンアタック』をどういうゲームにしていきたい、みたいな意思ってあるものかな。「オンラインゲーム全般がこうだったらいいな」みたいな話でもいいんだけど。

Matcha僕個人の意見ってことでいいんですよね。いまは『サドンアタック』担当で、ユーザー数が多い少ないに関わらず、少しでもゲームを楽しんでくれる人がいるんだったら、その楽しさを継続させられるように、もっと広まるようには考えています。
 会社員なんでいつか異動するかもしれないですし、売上とかも気にしないといけないんですけど。

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つまらなさそうにゲームする人って何なんだろう

ユースケもとプレイヤーのMatchくんが、ゲーム業界で食っていくうえで何を考えている? どういうことを考えてきた?

Matchaひと言ではいいにくいですけど……。そうだなあ。DHARMAPOINTさんがいいなと思った理由がですね、(プレイヤーに)お給料を払いやすいかもなと思ったんですよ。お金を払うって言っても、やりかたはいろいろあるじゃないですか。
 当時の(仕事の仕組みを知らない)僕が単純に考えたのは、その子たちの使いやすいデバイスを作って販売して、売り上げの何パーセントかを渡したりできないかな、みたいな。
 僕は機械設計ができるわけではないので、営業を学びつつ、開発さんと話して「こういうのやらない?」って。そういう感じを思い描いてました。

ユースケほうほう。プレイヤーもそうだし、メーカーの人もそうだけど、インタビューすると、きれいなことを言おうとするのね。「日本のesportsを盛り上げたい」的な。たいてい優等生。
 Matchaくんからはそれを感じないね。夢を見過ぎることもなく、正しく現実的だなって思う。

Matcha(笑)。

ユースケいや、それすごくいいと思ってるのよ。たぶんね、きみがやりたいことを実現したらプレイヤーにもいい影響があると思う。自分が食っていくためにやっている仕事が、回り回ってプレイヤーのためになるってすごくいいんじゃないかな。

Matcha正直に話してます。もちろんesportsが盛り上がってほしいとも思っていますよ。対戦ゲームの大会を通して楽しんでくれる人が増えるのはいいことなんで。
 ただ、「わざわざそれをesportsと括る必要はないんじゃないの?」というのは、いまも昔も思ってます。

ゲームが楽しいことが何もよりも大切。ピュアな考えである。

ユースケプレイヤーを喜ばせたい気持ちは強い?

Matchaんー……、あります。ありますね。

ユースケそれ本心? 僕はね、自分を例に挙げると、ゲームが盛り上がるのはすごくうれしくて、理由は「それを見るのが好きだから」。人が盛り上がっているのを見て「すごいな楽しいな」と思いたいから。究極的には自分のため。

Matcha(笑)。

ユースケ自分が将来もずっとおもしろがるにはどうすればいいか。それを考えると、僕としていちばん効率的なのが“ファンが楽しく読める記事を書くこと”なんだよね。
 愉快で前向きな空気を振りまいておけば、いい試合をしてくれる。それを見たファンがうわーって盛り上がってくれる。で、僕はその空気に浸りながらいい気分でお酒を飲む、みたいな。

Matchaおれを楽しませてくれ、みたいな。

ユースケそう。そういう闘技場で剣闘を見ながらご飯食べる貴族みたいな気持ちはめちゃくちゃある。Matchaくんは何のために?

Matcha僕がご飯を食べるってのも大事ですけど、僕自身もプレイヤーだったので、プレイヤーに楽しんでほしいのかなあ。
 プレイヤーの頃に何をやっていたかというと、過激な発言をしたりして、僕のことを嫌いな子もいるとは思います。
 僕は、なんだろうな。見てる人が楽しんでくれるように(振る舞いたい)。大会に出てるときも意識はしていました。誰よりも声がでかいとか少しふざけたこと言うとか。で、それでもちゃんと勝つ。
 それが正解かどうかはわからないです。それでも応援してくれる人は多かった。わざわざ自分の性格を隠してまで応援されたくない。だから嫌われることも多かった。

ユースケさっきのプロになるならないの話に戻るけど、どこかに“自分にはそういう部分があるからプロには向いてない”みたいな自覚があったのかな?

Matchaうーん、そうかもしれないですね。

ユースケなるほど。じゃあ、いまの話を踏まえたうえで教えてほしい。何のために、何を思ってゲームに携わっているのか。

Matchaんー……、人が楽しんでいるのを見るのが好き、なんですかね。
 大会の観客が多かろうが少なかろうが、いいところでちゃんと盛り上がってくれたとか、めっちゃ笑ってたりするのを見ると、あーよかったなと思います。
 (大会に出る選手として)それを提供したことによって、おもしろかったと思う人がひとりでもいるんだったらそれでいい。 僕は僕でそれを見るのが楽しい。

ユースケさっき僕が言ったことに似てるのかな。究極的には自分のため。

Matchaそうかもしれないです。自分が楽しくないと、自信を持って人に提供しにくいですよね。
 試合に出ていた選手のときは、何だかんだで勝つと楽しい、応援されるとうれしい、見ている人も楽しい、(僕が)嫌われて別のチームを応援されても、盛り上がってくれたらそれはそれで楽しい。
 ゲームを楽しむ人が好きなんですよ。つまんなさそうにやってる人は好きじゃない。批判になっちゃうかもですけど、プロゲーマーの中にもつまらなそうにする人っていますよね。何で(ゲーム)やってんだろうって思うんですよね。

ユースケん? その辺の考えかた、詳しく聞かせてほしいんだけど。

Matchaお金をもらってるんだからそういう態度は辞めろって言うつもりはないんですよ。そもそも、お金をもらっているもらってない関係なしに、本当に楽しいの? って疑問を抱くときがあります。
 誰かの配信を見ているときにもありますし、オフライン大会の壇上に上っている姿を見てるときもそうですし。この人は本当に楽しいのかなーって。

ユースケ根底に“ゲームはおもしろいもの”っていうシンプルな考えがあるからなのかな。おもしろいものをすごくいい環境でやってるのに、何でつまんなそうなんだろうと疑問に感じるってことか。

批判したいわけではなく、つまらなそうにゲームやる人がよくわからないらしい。

Matchaそうですそうです。僕の意見を押し付けることになるので、ふだんはあまりそういう話はしないんですけど。
 自分のプレイヤー時代を思い出してみると、口は悪いながらも楽しそうにやってたという自信はありますよ。すごく自信あります。おれがいちばん楽しくゲームやってたんじゃないかというくらいには。

いい言葉。

Matcha配信やったらみんなコメントしてくれるし。暴言もいっぱい吐かれますけど、そんなの言い返せばいい。端から見たら調子に乗ってると思われるんでしょうけど、わりと素の性格なので仕方ないかなーと。それで嫌な気分にさせちゃったら、ごめんねとしか。

ユースケごめんねと思うんだ。

Matcha思いますね。「お前に嫌なこと言われた」なんて言われたら、ほんと申し訳なく思ってました。当時から。
 やっぱり(自分を見てくれる人が)楽しんでくれたらいいかなとは思いますし、それ以上にみんなには楽しくやってほしいと、心の中にありますね。
 気になるんですよ、楽しんでくれたかどうかが。イベントのお客さんが帰っていくときに「あの人たち本当に楽しかったかな」とすごく心配になったりもしてますし。みんなが楽しんでくれれば、おれも楽しくなるので、最終的には自分のためかもしれませんね。

自分なりの意思と目的を持ってほしい

 続けて、Matchaくんがいまの若いプレイヤーたちをどう思っているか聞いてみた。これまでの話から、自分が楽しくゲームをして生活をする方法を模索してきたことが伝わってきた。彼のやりかたは若者へのヒントになると思ったのだ。

 Matchaくんは「上から目線になっちゃったら申し訳ないんですけど」と前置きしたうえで話してくれた。

ユースケもともとプレイヤーだった身として、いまのプレイヤーを見てどう思う? 何か変化はあるものなのかな。

Matchaうーん、なんでしょうね。昔に比べたら閉鎖的になってる気はします。情報発信が少なくなっちゃったなーって。

ユースケそういう雰囲気はあるかもね。仲間内の結束は強まってるかもしれないけど。

Matchaたびたび思うのはですね、自分がプレイヤーの頃に、下の世代にそういうのを教えておけばよかったなって。NabDというチームはいまも継続していて、その子たちにどうしろとか言うつもりはないですけど。

ユースケプレイヤーたちが責任に感じることはないけど、自分でそういうのやるのもおもしろいよってことだよね。『サドンアタック』が盛り上がったら自分にメリットもあるわけだし。

Matchaサドンアタック』で有名になりたい人って、少なからずいると思うんですよ。表立って言えないだけで。
 配信やったり情報発信したりして、すごい目立ってるのって、DustelBoxさん(DetonatioN Gaming所属)、YamatoNさん(DeToNator所属)、stylishnoobさん(DeToNator所属)あたりですかね。『サドンアタック』の人ではないですけど。
 ああいう人の配信って、ゲームの配信を通してどういう人かけっこう見えてくるんですよ。

ユースケ人柄が楽しいよね。

Matchaそれです。人柄。人柄が見えるのはすごく大事だと思っていて。
 たぶん僕とか紙投げくんとかが、名前が売れすぎたというのもあったので(いまの子は言い出しにくいんだと思う)。自分で言うのもあれですけど、そういうのも少しはあるかなあ。
 恥ずかしいという考えはいらないんで、目立ちたいなら目立ちたいなりに情報発信をしていくべきだと思うし、自分自身もいろんな情報を収集する。努力は必要だと思うんですよね。

ユースケたとえば何をやったらいいと思う?

Matchaサドンアタック』で言うと、たとえば韓国『サドンアタック』の情報とか、いまの日本の『サドンアタック』の情報もですけど、それ以外にもほかのゲームの情報を集めて、自分の配信で発信したり。
 そういうことをやれば応援してくれる人は出てくるんじゃないかなあと。

ユースケじゃあさ、プロゲーマーになりたいと思っている子がいるとするよね。そういう子には何を期待する? 『サドンアタック』以外でも。

Matchaうーん、esportsでがんばりたい人たちも同じですかね。情報収集をちゃんとしてほしい。(プロの実体を)あんまり知らずに、お金稼げるからプロゲーマーを目指そうって人は増えていると思うんですよ。
 そうじゃなくて、自分で情報を集める。たとえば、いろいろなチームを調べて、いいなと思えるチームを探し出して、そこに入るために何をすればいいのか考えて行動するとか? 努力をしてプロになってがんばる人を応援したくなるタイプなんですよ、僕は。
 いまって「プロチームに入りました」、「自分と合わないから辞めます」みたいなのを見かけますよね。それはちょっと違うんじゃないかなって思います。

少し強い言葉になってしまったが、“プロ”という言葉の重みを考え直してもいい時期に来ているとは思う。この辺は僕も同感。試合観戦好きとしては、すぐにチームを抜けるような人は応援しにくいよなーと思う。

Matchaなんでしょうね。自分の意見を持っていたほうがいいとは思います。自分はこう思う。こうしたいから、プロになります。自分の考えと合うチームと出会えたら、そこに入るためにがんばる。入れたらもっとがんばっていく。
 プロになることはスタートのはずなのに、プロが終着点みたいな人が多くなってませんかね。

ユースケ“ゲームで有名になりたい”、“ゲームで食っていきたい”、“ナンバーワンになりたい”っていう目的があるとして、プロになるのはそのための手段なんじゃないの? ということかな。

Matchaそうっすね。結局、プロゲーマーになったからといって生活できるわけじゃないし、その人の努力しだいです。生活が厳しいんだったら、やりかたを考え直さないと。
 いまはいろんな道があると思います。昔とは環境が変わってますよね。僕が仕事を探そうとした当時は、しっかり運営されてるチームは少なかった。いまも続いているチームというと、SunSister、DetonatioN Gaming、DeToNatorとか。

ユースケたしかに、昔は(きっちりした)チームが少なかった。いまは選択肢が増えているよね。

Matchaいまは取り巻く企業も増えているので、そういうところに就職してがんばるのもいいと思いますし、プレイヤーとしてがんばるのもいい。
 自分なりの目的や意思を持って、実現するための道を探して、その道を歩むために努力をする。自分で考えないと。自分の中で「これだ!」っていうのを見つけてやってくれたらいいなと思います。

「グラビアっぽく!」と指示を出したものの、ただ葉っぱが気になる人みたいになった。

 全体的にMatchaくんを持ち上げすぎた気もするが、概ねいい話が聞けたと思う。

 東京に出る。Matchaくんが下した決断はそれだけだった。両親が費用を出してくれているので、恵まれた環境にあったことは間違いない。とはいえ、一般的な支援の範疇だとは思う。

 楽しくゲームを遊び、真剣に試合に取り組み、自分のやりたいことを冷静に分析すれば、結果はついてくる。ここには、ゲーマーのセカンドキャリア問題解決のヒントも隠されている。

 こういうゲームとの接しかたも尊いものである。

記念写真。

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