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“選手の自立”を目指す『PUBG』国内プロリーグの設立――その真意をDMMGAMES代表に聞く

 DMMGAMESがPUBG Corp.と協業してサービス中のPC用バトルロイヤルシューター『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS(プレイヤーアンノウンズ・バトルグラウンズ)』(以下、『PUBG』)。DMMGAMESは、“PUBGプロリーグ設立”を目指して行われる公式大会“PUBG JAPAN SERIES(PJS)”のαリーグを現在開催している。DMMGAMESが考えるプロリーグとはどのようなものなのか? 同社の代表である片岸憲一氏に話を伺った。

DMMGAMES代表の片岸憲一氏。

●『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』とは?

 孤島に放たれた100人のプレイヤーが、最後のひとりになるまで戦い抜くPC用バトルロイヤルシューター。活動可能なエリアが狭まっていく中で、現地調達した武器や装備と自身の知恵を使って最後のひとりとなるまで生き残りをかけて戦う。やられてしまうと即ゲームオーバーという緊張感と、ときには運に左右され、誰でも勝利(ドン勝)できる可能性を秘めたゲーム性で人気を博している。全世界3100万を超えるセールスを樹立し、同時接続数が310万人を突破するなど大きな注目を集める。日本国内では、DMMGAMESがチャネリングサービスを行っている。

<『PUBG』DMMGAMES公式サイト>

●“PUBG JAPAN SERIES(PJS)”とは?

 PUBG JAPAN SERIESは日本国内における“PUBGプロリーグ設立”を目指して開催するリーグ形式の大会。国内の『PUBG』プレイヤーに世界大会への切符が掴める公式大会の場を提供しつつ、プロリーグ設立へ向けての準備段階として、まずは“αリーグ”が開催中。大会を通して、DMMGAMESはプレイヤーとともにコミュニティを盛り上げ、最終的に『PUBG』でのesports大会を実施し、“選手が自立できる”ようになることを目標として掲げている。

<PJS公式サイト>

●PJSαリーグとは?

 オンライン予選を勝ち抜いた上位20チームが参加する公式大会で、2018年2月10日~3月31日にかけて全18回の試合(4人1組のSQUAD形式)が行われる。αリーグ期間中に海外大会が開催され、日本代表チームを選出しなければならない場合は、本リーグの上位チームが優先的に出場権を得る。

αリーグフェイズ1は、2月10日に行われた闘会議2018にて開幕。全9ラウンドを戦い抜いて、フェイズ1の勝者となったプロゲーミングチーム“SunSister Suicider’s”は、3月22日~25日にルーマニアで開催される“PGL PUBG Spring Invitational”に招待されることが決定している。

「プロがプロとしてやっていける“環境作り”を、我々が行っていく」

――国内リーグ設立を企画した経緯をお聞かせください。

片岸 もともと私はFPS好きでして、『PUBG』も早期アクセス開始すぐからプレイしていました。PCゲームも家庭用ゲームも遊ぶのですが、そんな中でゲームを“esports”としての競技と考えたときに、家庭用ゲーム機ではプロとアマチュアの差は出にくいのかな、と思いました。PCゲームは複雑な操作もできますし、戦略性が必要なゲームも多いですし。かといって、『CS:GO』のように、エイム一発で決まってしまうようなプロレベルの人が相手だと、アマチュアのユーザーは心が折れてしまったりもしますよね。

 その点では、『PUBG』は物資の質や競技エリアのランダム性など、“運”の要素もあってアマチュアの人でも勝てることがあり、ドラマ性も生まれやすい。チームでのプレイも可能で、なにより観戦していておもしろい。esportsを“興行”として行うときに、『PUBG』はそのためのパーツが揃っていると感じました。幸いなことに、弊社で国内チャネリングサービスを行う運びになり、プロリーグ設立のお話をPUBG.Corpさんと進めることになりました。

――『PUBG』だからこそ、プロリーグ設立=興行化を実現しようと考えた、と。

片岸 そうですね。“観ていて楽しい”という部分が『PUBG』では大きいかなと思います。一般の人でもゲーム内で何が行われているかがわかりやすいし、プロの技術を見て「すごい」と実感できますよね。また、PCでTwitchやYoutubeなどを視聴している層とユーザー層がマッチしている点も大きいです。

 一方で、プレイヤーにとっては――この例えが合っているかはわかりませんが、『CS:GO』や『LoL』のようにガチガチに腕が必要な将棋、囲碁のようなゲームとは異なり、『PUBG』は麻雀のようなカジュアルさがあります。そんなプレイヤー層の広さも『PUBG』の魅力のひとつで、“パーツが揃っている”と感じる要因ですね。

――PUBG Corp.とはどういった協力体制になっているのでしょうか?

片岸 いちばん大きなところでは、ルール作りですね。彼らは世界各地で大会を行っており、選手にとってどんなルールや大会が好ましいのかといったフィードバックを私たちと共有しています。世界共通のルールがあり、そこに日本地域に合わせたもの=土台や環境作りをDMMGAMESが行っていくといった形ですね。

――なるほど。国内リーグの運営およびオペレーション業務は、DMMGAMESが行うのでしょうか?

片岸 ゆくゆくは、そうしたいです。現在開催中のαリーグでは、我々が主催となって、色々な企業さんと協力しながらオペレーションを行っています。

――DMMGAMESが考える“プロ”の定義を教えてください。

片岸 プロチームが選手に報酬を支払い、選手が安定した生活を送れるというところですね。そのための経済環境を我々が整えていこうと考えています。野球やサッカーと比べると、当然ですが、現状のプロゲーミングチームの環境は程遠いです。野球やサッカーは、歴史も長く地盤が固まっていますし、興行を行ううえでのサポートや支援なども厚いです。そしてファンが競技を楽しむ環境も整っているんですね。『PUBG』のリーグでは、そういったレベルまで引き上げたいと考えています。

――“選手が自立できる”ことを『PUBG』のリーグ設立の目標のひとつに掲げていらっしゃいますが、そのためにまず“環境作り”を行う、と。

片岸 そうです。じつは、esportsでよく取り挙げられる、大会の賞金総額が何億ドルだとか、その部分には興味を感じていないんですよ。本質はそこではないと考えています。プロチームがプロチームとしてやっていける経済環境――たとえば、プロ野球選手の年俸が何億円です、移籍金が何億円ですとか、そういった環境まで持っていかないと、産業としては成立しません。

――プロチームの運営・経営が成り立つような環境を作ることが、ひいては選手が活躍・自立できることに繋がるということですよね。

片岸 はい、チーム経営という部分に主軸を置いています。チームが法人化し、選手に報酬や遠征費を支払ったり、生活の保証を与えたりできることが理想ですよね。そういった環境の中で選手の質が上がってスター選手が生まれ、海外のトップチームに移籍して高額なギャラをもらえる、そんな状況にならないといけないと考えています。そのために、放送権を販売できるような興行として経済的にしっかりと成立させることが目標です。まずは小さい規模でもいいので、選手が“飯を食っていけること”が大事ですね。

――選手についてもそうですが、チームの育成を促す意味合いが強いのでしょうか?

片岸 チームの経営を目指す人や、選手のマネージメントを専門に行う人、そういった方たちが参入してもらえるといいですよね。そのための魅力を感じてもらえるような興行を行えるよう、我々が外側の大枠を整備していきたいです。

――“興行”としてそういったレベルまで高められる魅力や可能性を『PUBG』に感じたということですね。

片岸 そうですね。『PUBG』に関しては興行が成り立つと思います。すでに人気のストリーマーも多数いますし、スター選手が生まれそうです。女性ファンも多く、タイトルそのものやシーンに華がある印象ですね。ゲームを実際にプレイせずに配信だけを楽しんでいる層が多いことからも、視聴者がチケットを買って観戦したいと思わせる魅力があると思います。ほかのesportsタイトルに比べてルールがシンプルなので、観ていて何が起こっているかわかりやすいことも受けているポイントですね。

 『PUBG』以外のタイトルで……いわゆるesportsというと、賞金のついた“競技大会”のようなイメージがあります。我々は“競技大会”や“甲子園”――それはそれでいいものですが――をやりたいわけではなく、“プロ野球”を目指しているということです。また、今後は『PUBG』のリーグはすべてオフラインで行いたいと考えています。チケットを販売してイベントとして開催できるようにしたいですね。

――国内リーグの最終的な目標はどこに置いていますか? また、どれくらいのスパンでの達成を想定しているのでしょうか?

片岸 先ほども述べましたが、まずはリーグを興行として成立させることが、短期的な目標です。その後、2~3年をかけて、プロチームやスポンサーの新規参入などを目指し、リーグを成熟させていきたいですね。商業的なゴールはあまり見ていなくて、みんなが損をしないくらいでいいかなと(笑)。それよりは、リーグの盛り上がりが重要です。私は格闘技が大好きなのですが、20年前に“UFC(総合格闘技)”がこんなにも盛り上がるとは誰も思っていなかったじゃないですか。そんな盛り上がりを、『PUBG』の国内リーグで形にできれば、それが何よりですね。

――その先の未来はどのように見据えていらっしゃいますか?

片岸 ビッグチームが誕生し、ゆくゆくは移籍金などのルール作りも考えなければいけないでしょうね。そうすれば、野球やサッカーのように、プロゲーミングチームの経営やビジネスが活性化します。また、実況者や解説者の育成も大事だと考えています。αリーグ予選のときには、公式配信とは別に視聴者が自由に実況解説ができる音声クリーンフィード配信を行いました。素晴らしい実況解説をされた方には、こちらかお声がけさせていただこうと考えています。

――プロのアナウンサーを起用するのもひとつの手段ですよね。

片岸 そうですね。地上波やネットのテレビ番組も制作したいです。オフラインイベント会場で選手に対してメリットのある、いわゆる“投げ銭”のようなものも企画したいとは考えているのですが、さまざまなテストケースを用意して、いろいろと試行錯誤していきます。

――楽しみにしています。

片岸 まずは、3月31日まで行うαリーグの成功が第一ですね。くり返しになりますが、『PUBG』国内リーグを興行として成立させ、プロチームや選手を取り巻く環境を整備していくことが目標です。ほかのタイトルでは実現できない『PUBG』らしいリーグを立ち上げたいと思います。

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