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ウメハラ主催イベント“獣道III”リポート 獣たちの戦いは国籍やジャンルを超えた感動を与えてくれた

2020年3月、東京・豊島区の「池袋Livehouse mono」にてプロゲーマーのウメハラ氏が主催するゲームイベント“獣道 Ⅲ”が開催された。

”獣道”とはさまざまなゲームタイトルにおけるトッププレイヤー(=獣)たちの中からウメハラ氏自身が注目するマッチアップを企画。プレイヤーである獣たちは賞金や賞品などが無い中で、そのゲームへの互いのプライドのみを掛けて戦い勝ち負けを決めるというコンセプトのイベントである。

3回目を迎える今回は『スーパーストリートファイターII X』や『ストリートファイターV チャンピオンエディション』といった名作格闘ゲームに加え、本イベント初のジャンルとしてシューティングゲーム『バトルガレッガ』を試合種目に採用。

本項ではイベントリポートに加え、『バトルガレッガ』に参戦したT3-神威と『ストリートファイターV チャンピオンエディション」にて激突したinfexious、Punk、そして主催のウメハラのイベント後インタビューをお届けする。

獣道

獣道Ⅲ / Kemonomichi 3 概要

■開催日:2020年3月1日

■開催地:東京 池袋Livehouse mono

■配信アーカイブ:DaigoTheBeasTV(Twitch)

■開催タイトル

第一試合『スーパーストリートファイターII X』

第二試合『バトルガレッガ』

第三試合『ストリートファイターV チャンピオンエディション』

獣たちが戦う相手はゲームか人か、それとも自分自身か

昨今取り沙汰されるe-Sportsが持つ「競技」という側面に対し、あくまで「勝負」の部分を前面に押し出した“獣道”はいずれの戦いも目を離すことのできない熾烈でシビアな戦いとなった。

「ストIIに全てを捧げた男」が世の中に二人いたらどちらが勝つのか?

まず第一試合として行われたのは1994年に発売された名作『スーパーストリートファイターII X』。誰もが知る「ストII」に獣として参戦したのが現役最強ガイルと称され、過去2回の“獣道”でも圧倒的な勝利を収めてきた「こたか商店。」(ガイル)と漫画『ウメハラ FIGHTING GAMERS!』に登場する「ナラケン」のモデルとなったレジェンドプレイヤーの「クラハシ」(リュウ)が15試合先取というルールで激突。

獣道Ⅲ ストIIX PV クラハシVSこたか商店。 Daigo Presents Kemonomichi 3 SSF2X Players!

試合アーカイブ(00:19:50〜)

試合はガイルの前ジャンプとリュウの「竜巻旋風脚」から始まるというお互いの「勝利への欲求」がぶつかり合うところから始まった。ガイル対リュウは若干ながらリュウが優勢という下馬評であったが、始まってみれば試合を優勢に進めたのはガイル側であった。

初戦こそ強気な前ジャンプや中段攻撃の「鎖骨割り」が功を奏しリュウが取るものの、リュウの飛び込みを絶妙な対空技の使い分けでガイルが捌いたのをきっかけに、続く地上戦でも的確な牽制と確定反撃によりしだいにガイルがペースを握った。

ポイント数で大きく差を離されたリュウも負けじと「昇竜拳」での切り返しや「ソニックブーム」に合わせた「真空波動拳」で試合を取り返すも、細かくペースを変えながらその場その場で適切な行動を取り続けるガイルに対し、リュウはリスクを含んだ読み合いを仕掛けざるを得ない状況となってしまう。

15試合先取という長期戦ながら、ガイルはその集中力を全く切らすことなく終始相手の行動と意識に対応し、その上を行く対策で圧倒。最終的に「15ー4」という結果で「こたか商店。」のガイルが勝利した。

 

試合結果 こたか商店。(ガイル)15 – 4 クラハシ(リュウ)

獣道 こたか

IMG_2090

獣道 こたか インタビュー

試合後のインタビューでこたか商店。は「負けられない試合だった。まだ出来ないことがたくさんあるからこれからもやり続けていく。」とさらなる高みを目指す意気込みを見せた。

獣道 クラハシ インタビュー

一方のクラハシは「練習に付き合ってくれたり応援してくれた人たちに良いところが見せられなくて申し訳なかった。」と悔しさがにじむ表情でコメントを語った。

戦う相手は自分自身。魂を賭けてチャレンジする「道」を示すことが伝道師の戦い。

続く第二試合は“獣道”初の格闘ジャンル外の戦い。しかもそれはシューティングゲーム『バトルガレッガ』という一人用ゲームでのハイスコアチャレンジだ。ルールは持ち時間を1時間とし、最初の20分間はやり直しが可能。開始から20分が経ったらその時点のプレイをラストプレイとして再チャレンジは不可というもの。

この戦いに参戦したのは24年間をバトルガレッガに費やし、ハイスコア全国一位の記録を持ちながらさらなる高みを目指し続け自らを「伝道師」と称するT3-神威。最後にスコアを更新したのは2019年9月とのことだ。

この異色とも言える戦いだが、T3-神威が登場から纏う雰囲気はまさにこれから強大な相手と戦わんとする「獣」。一挙手一投足に集中が見られ、自身がルーティーンとしているコイン投入を行うところから試合がスタート。普段であればどれだけハイレベルなプレイなのか、緻密な戦略なのかをお伝えしたいところだが、今回に限っては語るに及ばない。その試合の模様ははぜひ動画で確認してその凄さを体感して欲しい。

試合アーカイブ(1:08:05〜)

結果としてハイスコア更新とはならなかったが、試合中の視聴者数は最大で約24,000人にも上り、「獣」として、「伝道師」として我々に「挑戦することの素晴らしさ」を教えてくれた。

神威 集中

              己との戦いを前に集中力を最大まで研ぎ澄ませるT3-神威。

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ストイックなプレイの一方でプレイ中安地に入ると連射ボタンをレッドブルに任せ、実況席に移動するエンターテイメントに溢れた一面も。

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試合直後のインタビューでは、当日を迎えるにあたって葛藤もあったがその上で試合が実現できて嬉しかった。“獣道”に呼んでくれたことや周りの人が自分を信じてくれたことに感謝したいとコメント。

 

T3-神威 後日インタビュー

ーー獣道を終えて今のお気持ちはいかがですか?

T3-神威

今までの実演プレイの中で1番緊張しました。対戦格闘ゲームコミュニティの中でのアウェー参戦でありながらもSTGやらない層の人たちにも私のガレッガ魂が伝わったとしたら嬉しいです。少し解放された気持ちですね。

 

ーー“獣道”では初の格闘ゲーム以外のジャンルとなりました。それを採用したウメハラさんへのお気持ちを聞かせてください。

T3-神威

私を信じてくれてありがとうございます!現場で直に私のガレッガを観てほしい気持ちがあるので無観客ガレッガのリベンジをいつかさせてください。ジャンルは違えど、ゲームとゲーム文化を愛する者同志、未来へ繋げていこう。

 

ーー「ガレッガ伝道師」として活動をされていますが、今後のビジョンや展望があれば聞かせてください。

T3-神威

私のガレッガがSTGに興味を持ってくれるきっかけになってくれたら幸いです。ガレッガ伝道師だからガレッガの事だけではなく、STGコミュニティにどんな人間ドラマがあるのかなども伝えていければと思っております。

「こんな風にゲームに取り組んでいる人もいるんだ。」って事を知ってもらいたいし、e-Sportsのような発展がシューティングゲーム界にも起きたらと願っています。

 

ーー試合中は現地だけでなく多くの配信視聴者が固唾を飲みながらプレイを見届けていました。最後にみなさんへのメッセージを聞かせてください。

T3-神威

たくさんの応援ありがとうございました。一時的な盛り上がりやブームで終わらせるのではなく私自身が継続してガレッガをプレイし続け、生涯現役プレイヤーとして世界中の人たちを感動させていきたいと思っています。自分との勝負、一生続いていきます!

海外版「最強の矛」と「最強の盾」の戦いはプレイヤーの信念がキャラクターコンセプトを覆した。

最後の試合は主催のウメハラ氏も参戦中の『ストリートファイターV チャンピオンエディション』。ここに参戦するはヒット確認能力を始めとしたオフェンス面が際立つ「全てを破壊する攻撃力」を持つ北米最強プレイヤーのPunk(ポイズン)と何事にも動じずどんな苦境でもスタイルを崩さない「陥落不能な防御力」を持つヨーロッパ最強プレイヤーのInfexious(是空)の二人。

“CAPCOM Pro tour”では常に上位にいる二人だが意外なことに過去にマッチアップした経験は無し。初顔合わせとなる上にPunkが今までメインとしていたかりんではなくポイズンを起用したこともあり結果の予想が全くつかない戦いとなった。

獣道Ⅲ ストV PV パンクVSインフェクシャス Daigo Presents Kemonomichi 3 SFV PUNK VS INFEXIOUS!

試合アーカイブ(2:21:43〜)

蓋を開けてみれば初戦こそポイズンがその火力とPunkらしい鋭い攻めで先取するものの、その攻めに動揺せず徹底して守りを固めながら相手の意識を誘導し、大ぶりな技を振ったり踏み込みが深くなったところを的確な飛び込みや置きで対処したInfexiousの是空が試合を圧倒。Punkに対して前代未聞の8連勝をするなど現場が騒然となる試合展開に。

苦しい状況の中であっても長期戦であることを活かしポイズンは是空の一つ一つの動きに対応しようとするが、一度出来上がったペースとポイント差は覆せずセットカウント「10-3」でinfexiousが劇的な勝利を収めた。

試合結果:Infexious(是空)10 – 3 Punk(ポイズン)

インフェクシャス

獣道 パンク

            両者ともにアーケードコントローラーではなくゲームパッドを使用。

獣道 インフェクシャス 試合後

    勝利直後の様子。強大な相手に勝利したことであのInfexiousでも隠しきれない喜びの表情が垣間見えた。

infexious 試合後インタビュー

ーー見事な勝利おめでとうございます。今のお気持ちはいかがですか?

infexious

とても良い気分です。ポイズン戦のイメージが自分の中にはあって、実際の試合展開もそれ通りに出来たことがポイントだったと思います。

 

ーーヨーロッパの強豪ポイズン使いというのはあまり聞きませんが、今回に向けてどのような取り組みをされたんでしょうか。

infexious

実際に強いポイズン使いと対戦して特訓するということは出来ませんでした。なのでトレーニングモードをメインに技の相性や間合いの取り方などロジックを作りましたね。それが本番でも通用したのはうれしかったです。

 

ーー10試合先取という戦いはプロツアーでは見られませんよね。実際に体験してみていかがでしたか?

infexious

長期戦と呼べる戦いはあまり経験がなかったのですが、自分にとって向いていると思いましたね。今回の試合では用意をしてきた攻略の一部しか発揮していません。今後またポイズン戦があったら今回使わなかった攻略もお見せできればと思っています。

 

ーーもしまた同じような10試合先取の試合をするとしたら誰を相手にしたいですか?

infexious

ボンちゃんかBigbirdですね。どちらと戦っても面白い試合になりそうです。

 

ーー最後に今後の意気込みをお願いします。

infexious

2020年も“CAPCOM Pro tour”に向けて精力的に取り組んでいます。今シーズンも良い結果となるように頑張りますので、ぜひ応援をお願いします。

Punk 試合後インタビュー

ーー惜しくも敗戦となってしまいましたが今のお気持ちはいかがですか?

Punk

負けたことは残念だけど終わってみると清々しい気持ちだね。infexiousがとてもハイレベルな攻略と素晴らしいプレイをしてくれたから。それに対してこちらも全力で戦ったわけだから嫌な気分にはなれないね。

 

ーーポイズンを起用したのは今回の試合に向けて取り組まれたのでしょうか?

Punk

ポイズンを起用したのは“CAPCOM Pro tour”を見越してだね。だから今回のためだけというわけではない。新しいシーズンで戦い抜くためにポイズンを起用することは以前から考えていて、その一環として今回はポイズンの方が勝算があると考えたんだ。

 

ーー今回の試合では8連敗を喫してしまうシーンがありました。今までの経験の中でそのような経験というのはあったんでしょうか?

Punk

いや無いね、初めての経験だよ。でも連敗する中で自分なりの打開策が見えてきていたんだ。でもそれが形になってきた頃にはもうこっちは負けられない状況に追い詰められてしまった。結果的に間に合わなかったなって思ったね。

 

ーー苦境の中でも必死に喰らいついていく様は見ているこちらの胸を打つものがありました。最後に今後の意気込みをお願いします。

Punk

今シーズンは少しペースを落として大会に出る予定だよ。大会に向けた取り組みの他に動画の制作とかを始めたからそういったことにもリソースを割きたいんだよね。

でも当然“CAPCOM Cup”への出場を目指して、もしそれが決まったら優勝を目標にする。それは今までと変わりないから全力を尽くして取り組んでいくよ。

“獣道3”ではこれからに繋がる新しいストーリーができた。「次はどうなるんだ」っていう。

最後は主催であるウメハラ氏にインタビューを敢行。開催における苦労やこれからの展望について伺った。

 

ーー“獣道3”の開催お疲れ様でした。イベントを終えた今のお気持ちを聞かせてください。

ウメハラ

直前の企画にもかかわらず奇跡的に人材が集まって実現に至れたのは良かったですね。ほとんどの部分をお任せできたので本当に助かったなと。

 

ーー直前のウイルス騒動など開催においては苦労も多かったんじゃないでしょうか?

ウメハラ

開催するかどうか直前まで悩みましたからね。結果として無観客という形で実施してみて思ったのは、配信は多くの人が視聴してくれたので成功と呼べる一方、やっぱり本音は現地に多くの人を呼びたかったなあと。現地で伝わる雰囲気や熱量がイベントには間違いなくあるので、仕方のないことながらそこだけは残念に思いました。

 

ーー普段はプレイヤーとして取り組みながらもイベント主催をされるっていうのはとても大変そうに見えます。

ウメハラ

忙しいっていうのは楽しいんですよ。今回で言えば自分がやりたいことをやっているわけですし。忙しすぎたりすると嫌になっちゃうかもしれないけど、あれこれ動いて充実してるっていうのは良いことで幸せだと思うんですよね。

あと今回くらいの規模っていうのは手作りで出来るので楽しい。一方で視聴者数に見合った規模で開催するっていうのもポイントだと思っていて、その辺りはまだ模索中です。ただどちらにしろ“獣道”はもっと大きくしていくべきだと考えているのでスポンサーがついて欲しいです。

 

ーー今後の“獣道”の展望はどのように考えていますか?

ウメハラ

“獣道”を開催することで、イベントっていうのは「ホップ・ステップ・ジャンプ」と段階があるっていうのがわかってきたんですよ。そこからすると“獣道2”は「ジャンプ」の部分で終わった後に達成感がありながらも「次はしばらくいいかな」ってなっちゃった。

でも“獣道3”はそれと違って次に繋がるストーリーができた。一つはシューティングゲームを起用して格闘ゲームメインの人たちに新しい面白さを見せられたことです。今回の『バトルガレッガ』のおかげで“獣道”の可能性は間違いなく広がりました。“獣道”でやるのは極論「プライド」が掛かっていればなんでもいい。そういったものをどこからか見つけてきて“獣道”でやることによって、今までそれを知らなかった人に認知してもらいつつ楽しんでもらえれば良いんだ。っていうのがわかったのは大きな収穫でした。

もう一つは試合結果から分かる通り「こたか商店。」と「infexious」は強すぎてヤバイなと。二人とも全く実力の底が見えなくて「誰が倒せるんだ?誰を呼べば良いんだ?」っていう次回に向けた期待が生まれてるんですよ。だから次やるとしたら格闘ゲーム部門についてはまず勝者を呼ぶのは確定です。

あと初めてライブハウスで開催したことも良いノウハウになったので、次はぜひ多くの方に足を運んでもらって、戦う人の熱が見ている人に伝搬して一体となるような形を実現したいですね。

獣道 ウメハラ

 

取材:豊泉ベックス

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