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【レインボーシックス シージ】プロリーグ シーズン10 DZ vs NAVIの試合における決定打を、シージの根底に存在する重要項目とともに解説

NATUS VINCERE(以下、NAVI)は、現段階でもっともレベルが高いと評されているEUリージョンで、チャレンジャーリーグから勝ち上がってきたチームだ。プロリーグに上がった後もメキメキと頭角を現し続け、遂にはEU 1位の座を獲得してfinalへと駒を進めた。

DARKZERO Gaming(以下、DZ)はと言うと、NAリーグにて長い間居座り続けている“重鎮”とも言えるチーム。言わずと知れた強豪のEvil Geniusesや、DreamHackにて優勝を飾ったTSMなど、錚々たる顔ぶれを下し続けてNAの頂点へと上り詰めた。

 

本稿では、NA 1位 vs EU 1位となったプロリーグ シーズン 10 ファイナルの決勝を、何がラウンド勝利の鍵となったかを試合の流れとともに解説していく。

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領事館 DZ攻撃 vs NAVI防衛

DZの攻撃からスタートした第一試合の領事館だが、第一ラウンドでDZは圧巻とも言える攻撃の完成度を見せてくれた。

各選手が配置についてベースを整えた後は、ガジェットを用いて設置をする際に、占拠すべきポイントにいる選手をことごとく排除していく。そしてポイントを取り返そうとリテイクに来る選手にもロックを入れ、まさに理想形とも言える布陣を作り上げていた。

だが、NAVIの瞬時な対応力は素晴らしかった。一度土台を築きあげられると勝ち目が薄いと判断したNAVIは、VALKYRIEのブラックアイ、またはハイリスクなポジションで戦うことで、ひたすら相手の人数を削るための動きをラウンド序盤から繰り返している。

結果DZは、セットプレーに入る前に枚数が足りなくなることが多くなり、少し形の崩れた攻撃を通さざるおえなくなっている。

また第2ラウンドでは、2対5の人数不利を背負いながらも、ブラックアイの積極的な活用やDZ側の連携の乱れから、圧倒的な差を覆しNAVI側がラウンドを獲得することに成功していた。

 

DZの用意された作戦の熟練度は素晴らしかったが、情報系ガジェットや個人個人のハイリスクな勝負によってNAVIは活路を見出していた。こうして互角の勝負をくり広げスコアは3-3、第一マップは後半へと移っていく。

領事館 DZ防衛 vs  NAVI攻撃

ここでNAVIの真価である“攻撃時でのチームワーク”が発揮される。ここで言うチームワークとは、DZが行ったようなキルガジェットによる連携というよりは、“全体を通しての選手の配置の仕方やドローンの使い方”である。基本的な攻めのベクトルを定めた後は、各選手がそれぞれドローン流しとエントリーを並行させて、主要なポイントだけを的確に抑える攻め方を行っていた。

 

これだけ聞くと、どのチームでもやっているような気がするが、チーム全員が防衛ポイント毎で、どこを抑えれば勝てるといった共通認識をもち、迅速に連携をして動くといったプレイをできるチームはまだ少ない

NAVIはその点でとても優れており、防衛の各主要ポイントにすこしでも穴があれば素早く且つ徹底的に叩き、アドバンテージを先につかむことが多かった。さらにNAVIはポイント中にドローンを忍ばせた際にはラッシュを行い、選手間で臨機応変にクロスを組むなどの変幻自在な対応力を見せている。

こうした攻撃において必要なチームワーク、スピード感、攻めの多様性や意思統一、すべてが高水準なNAVIに対して、DZは解決策を見出すことができなかったのだろう。

それでもプラントを許した際、人数有利を取れたラウンドも幾つかあった。DZ側が心がけるべきだったことは味方のポジションの確認及び瞬時での作戦の組み直しでだ。

攻撃のラウンドでもそうだが、個人技では申し分ない事も相まって、DZは連携面で少々もったいないように感じるプレイが多かった。ピークのタイミングを合わせることもなく、クロスが組まれているであろう射線に闇雲に突っ込むことが多々見られ、攻撃でも第2ラウンドのような逆転を許すなど、チームワークの面で少し甘えたプレイが多かった。

 

逆を言えば、人数不利でもうまく射線を用意して、プレイヤーを最大限に有効活用したNAVIに第一マップでは軍配が上がった。

オペレーターの基本的な役割、攻守の戦略が各マップにおいて煮詰まってきたこのゲームで、今一番勝敗の差を分けるのはチームとしての練度だと筆者は考えている。ピークタイミングや情報系ガジェットの位置および得られるデータの収集能力、またその場その場での徹底したコミュニケーションが勝利への一番の近道であり、この第一マップは典型的な例になるのではないだろうか。

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海岸線 DZ攻撃 vs NAVI防衛

領事館でも同じように、DZの攻撃は一貫して手順を踏んで着実に目標を制圧するやり方が目立つ。海岸線においてもその手際は素晴らしく、並の防衛では彼らの進撃を止めることは難しかった。

そしてNAVIは再びハイリスクな勝負をし続け、常にDZの出鼻をくじき続けた。DZは正攻法を使うが故に行動の予測がしやすく、ハードピークがしやすかったのかもしれない。そうしてNAVIが戦い方の趣向を変え、ラウンド3連続奪取を成功させ防衛は2-4でNAVIの優勢となった。

今回の決勝でDZの攻撃は、防衛側のハードピークに対応できない課題が浮き彫りになった。何度もしつこいかもしれないが、DZの戦略自体は全プロリーグの中でもトップレベルの熟練度である。問題なのは広く展開する攻めを一様に行うため、防衛側が同様に広く展開し何度も勝負を挑まれた場合、時間もガジェットも不足することである

前回のfinalでTeam Empireが行っていたような戦略面の変革がDZには必要かもしれない。局所攻めといった今までにない戦略、あるいは連携を深め今以上に索敵とロックのスピードを速める必要があるだろう。

一方でNAVIはどのような攻めを見せていたのだろうか。

海岸線後半ではDZも広く展開する防衛を行い、NAVIは時間不足により敵の所在がわからないまま目標へ突入し、防衛ラインを崩すことができず殲滅された。

しかしNAVIはこのラウンドの反省を受けてか、すぐさま部分的な攻めへと切り替えてきた。

防衛側が目標に間接的に関係できるポイントに対して、圧をかけるプレイヤーを1人~2人用意し、その後は現地に向けて直接攻める構図となった。情報系ガジェットで攻撃側の配置を完全に把握できなかったDZは、意識の外からの射線によるイージーデスを引き起こすことが多くなる。

 

プラントを止めることも許されず、気付けばスコアは3-7でNAVIの勝利となり、NAVIは世界王者の称号を勝ち取った。

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勝因まとめ

NAVIがDZより優れていた点を挙げるとすれば、以下3点だと筆者は考える

  • 戦略の幅広さ
  • チーム間での意思疎通
  • マップごとの柔軟な対応力

これら3点は、実は一本の線として捉えることができる。

ただやるべきことを役割に沿ってこなすだけでなく、全員がなぜこのアクションを起こすのか、メリットとデメリットは何なのかをチーム全体で噛み砕いて理解することは戦略や対応力の向上に多大な影響を及ぼすだろう。つまりはチームで行うすべての行動の共有、ないしその行動が及ぼす影響を全員で把握できることが重要だと筆者は考える。

 

NAVIは領事館2階攻めではトイレからBUCKのスケルトンキーによる射線、海岸線最終ラウンドでは補強壁を逆に利用するなど、マップ理解を活かして、その場に適したプレイができていた。

対してDZは事前に準備してあったプランを通す力はあったものの、プランから外れた行動をされた途端にプレイが乱れていた。予想外の出来事が起こった後も、焦ることなく最善の一手を考え対抗できるようになることが今後の目標となるだろう。

終わりに

各地域のレベルは月日が経つごとに上がってきており、中でもEUの争いは熾烈を極めたものとなっている。今回の結果も納得といったところだろう。

そんなEUのチーム相手に大きな功績を残してくれたAerowolfに続き、APAC地域にもこれから大きな成長を遂げ、いずれかは他地域を超えるようなチームが進出してくれることを、筆者も1ファンとしてととても期待している。

文:NAOTO/編集:工藤エイム

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