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‟Cloud9”のh3dyとNovaが語る、韓国における『レインボーシックスシージ』を取り巻く環境【プロリーグ シーズン10】

『レインボーシックス シージ』のAPAC地域代表チームを決定する‟プロリーグ シーズン10 Asia Pacific Finals”が、2019年10月19日・20日にオーストラリアで開催された。本戦である‟プロリーグ シーズン10 Finals”が日本で開催されるため、注目していた人も多いのではないだろうか。

今回は、Asia Pacific Finalsに出場していた韓国チーム‟Cloud9”(以下、C9)所属のh3dyとNovaにインタビューを行い、今大会の話はもちろん、C9というチームの特徴や韓国における競技シーンの現状などを聞いてきた。

(取材:スイニャン

世界を目指して歩みを進める

彼らとは、昨年東京で開催された‟プロリーグ シーズン8 Asia Pacific Finals”にて筆者が韓国語の引率通訳を担当した縁で知り合った。試合前日の練習から直前の作戦会議の様子まで、真剣に準備する彼らの頑張りが今でも色濃く記憶に残っている。しかし、結果は伴わず、試合後の取材もわずか1社。いつか私の手で彼らの事を記事にしたいという思いから、別件で韓国へ行ったついでにソウル在住の選手たちに会ってきた。

彼らの話によると、韓国の競技シーンは日本よりもかなり厳しい状況だ。そんな中で、何とかして世界大会で活躍しようと日々努力している。そして日本サーバーで共にプレイする身として、日本に対する思いも深い。彼らのざっくばらんなインタビューを早速お届けしよう。

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今回インタビューを敢行した、h3dy選手(向かって左)、Nova選手(右)
(撮影:スイニャン)

北米の名門Cloud9が持つ『レインボーシックスシージ』部門

聞き手:スイニャン

――C9は北米チームという認識なのですが、『レインボーシックスシージ』部門は全員韓国人選手ですよね。まずは、チーム設立の経緯から聞かせてください。

Nova 元々は北米の選手たちで構成されていたチームでしたが、彼らの契約が終了してから僕らに白羽の矢が立ちました。今年3月に公式発表をしたんですけど、なぜ僕らを迎えてくれたのか未だによくわかっていなかったりします(苦笑)

そもそも、元はMantisという韓国チームでした。SweetBlackとEnvyTaylorとNeilyoの3名が、今も残っている結成メンバーですね。

――では、チームメンバーの紹介も簡単にしていただけますか。とりあえず、ここにいないメンバーからお願いします。

Nova じゃあ、まずチームのリーダーEnvyTaylorから。年齢が上から2番目でチームのエースでもあるので、みんな彼について行こうという感じです。一番年上はNeilyoなんですけど、兄貴分なので相談にもよく乗ってくれるし信頼できるチームメイトです。ゲーム内ではアグレッシブなキャラクターを使っています。

SweetBlackは、h3dyと同い年でチーム内では若いほうですが、インゲームではリーダー的役割をしていますね。そして、新加入のCATsangが一番年下になります。見た目は子供っぽくて可愛らしい感じなんですけど、ゲーム内では打って変わって司令官のような役目を果たしています。

――続けてお二人の紹介をお願いします。自己紹介でもいいですよ。

h3dy 僕はゲーム内ではサポートの役割を担っています。あと、何だろう……?

Nova 自己紹介が下手くそすぎだろ(笑)h3dyはチーム内で一番守備的な選手で、守備をするときは重要なところで耐えてくれるし、攻撃をするときはバックラインでチームを下支えしています。どんな場面でも冷静なのが特徴ですね。

――フォローありがとうございます(笑)h3dy選手は日本語が上手なのも大きな特徴かと。

h3dy もともと勉強のために(日本へ)留学したのであってゲームをするつもりはなかったんですが、日本人とゲームをしていたら野良連合にスカウトしていただいて。初めは趣味としてやろうとしていたんですけど、‟プロリーグ Y2 シーズン3 Asia Pacific”で 惜しい負け方をして本格的にやりたいという気持ちになりました。

――では、Nova選手も自己紹介をお願いします。

Nova 僕もチーム内ではh3dy同様、守備的な役割を担うサポートでありつつ、フレックスな役割もしています。

元々はNewLifeというチームに所属していましたが、MantisにいたOniChanという選手が軍隊へ行くことになり、すでに軍隊を終えている僕と交代した形です。チーム内では年齢的にちょうど真ん中なので、年下の選手たちの面倒も見つつ年上の選手たちとも仲良くやっている架け橋のような立ち位置ですね。

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出典:Cloud9 FaceBook
Cloud9がチーム新設をアナウンスした際の画像
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(写真:Cloud9提供)
2019年7月に加入したCATsang選手

韓国における『レインボーシックスシージ』の現状はいかに?

――C9というチームについて理解が深まったところで、今度は韓国における『レインボーシックスシージ』の競技シーンについて教えてもらえますか。

h3dy 正直、かなり厳しい状況です。大会への参加率を上げる目的で‟Korea Cup”というリーグを実施していましたが、思いのほか参加チームが少なくて多いときでも10チームぐらいでした。

――観客はだいたい毎回どれぐらい入りますか。

Nova 毎週オンラインで試合をして、成績の良かったチームのみ月1回オフライン大会をやる形式だったんですけど、観客は最初が100名、2回目は300名近く集まったと聞いています。別の大会で500名を超えたこともあって、観客が増えているので会場の規模は大きくなってきているものの、大会への参加率が横ばいなのが問題ですね。

h3dy 結局は参加する市場が大きくならないと、他のチームも成長していけないですからね。新規ユーザーは増えているんですけど、選手として戦えるほどの上級プレイヤーになるには時間がかかるんですよ。何とかもう少し多くの方に大会に参加してもらえるよう願っています。

――そもそもプロチームって韓国にいくつあるんでしょうか。

h3dy SCARZと僕らしかいません。アマチュアチームはいくつかあるのですが、彼らは仕事や学業と並行していて夜に数時間練習するだけらしいです。韓国内にフルタイムで練習するライバルチームが出てくれば、もう少し僕らの実力も伸びるんじゃないかと思っています。

――「esports先進国」とも呼ばれる韓国において、なぜ『レインボーシックスシージ』の競技シーンはそのような苦しい状況にあるのでしょうか。

h3dy 韓国はゲーム自体に人気があると、esportsの発展が非常に早いのが特徴です。簡単に言うと『レインボーシックスシージ』はそこまで人気がないからですね。ゲームが上手い人はどうしても、人気があってプロチームが多くてお金が稼げるゲームタイトルのほうへ行ってしまうんです。

Nova あとは、韓国では学校が終わると友達同士でPCバン(韓国式ネットカフェ)へ行っていっしょにゲームをすることが多いんですけど、『レインボーシックスシージ』は有料ゲームなので最初のころはPCバンでプレイできなかったのも人気が出なかった理由だと思います。

h3dy 韓国でオンラインゲームと言えば無料っていうイメージがあるんです。『レインボーシックスシージ』は今でも有料なんですけど、韓国では3ヶ月ほど前からPCバンでプレイできるようになりました。それによってどれぐらいの人がプレイするようになったのかまでは、わからないんですけどね。

Nova 肌感としては、PCバンでプレイできるようになってから増えてきている印象です。

‟プロリーグ シーズン10 Asia Pacific Finals”に出場して

――ここからは、先日オーストラリアで行われた‟プロリーグ シーズン10 Asia Pacific Finals”について質問していきます。今回は残念な結果でしたが、敗因は何だったと思いますか。

Nova 最初の試合は、準備してきたとおりにうまくやれました。2戦目は野良連合があまりやらない‟クラブハウス”というマップだったので勝てると確信していたんです。ところが、そこでこてんぱんにやられてメンタルが崩れてしまい、それが次の試合にも響いて負けてしまった感じでしたね。

h3dy それまで野良連合はそのマップが苦手で、ずっとバンしてきたんですよ。今回はバンされずに残っていたので僕らがピックしたんですけど、大差で負けてしまって。おそらく野良連合はかなり準備してきていたようで、僕らも油断していたのが良くなかったです。

‟シーズン10 Asia Pacific Finals”時の野良連合・Merieux選手

――今後の課題があるとすればどんな点でしょうか。

Nova うちのチームの問題点は、試合中のメンタル管理がうまくできないことかなと思っています。性格的におとなしい選手が多いので、元気づけたりする人がいないんです。僕がそういう役割をするほうではあるんですけど、あくまでも比較論であって僕だっておとなしいタイプなので(苦笑)

h3dy Novaが加入する前は、僕がそういう役目だったんですよ。でも個人成績が下がってきて自責の念にかられているのもあって、最近はもうできていないですね。

――課題を早く克服できるよう応援しています。ところで『レインボーシックスシージ』では欧米地域が強いというイメージがありますが、APAC地域もどんどん実力が上がってきているようですね。

Nova そうですね。他の地域とのギャップはかなり狭まってきていると感じます。今回優勝したAerowolfというシンガポールのチームも、スタイルを変えてきて確実に上手くなっていると思います。

h3dy 僕は試合後のアフターパーティのときにいろいろな選手と話していて、速度は遅いもののアジアの実力は確実に伸びてきていると感じましたね。

――では、APAC地域のチームが世界で勝つために必要なものは何だと思いますか。

Nova 僕としては、チームカラーを探していくのが一番重要かなと思っています。チーム独自の特徴を見つけてプレイスタイルを確立させることが大切だと、今大会を通じて気づかされました。

y_5dabe43a2b5db‟プロリーグ シーズン10 APAC Final”優勝時の‟Aerowolf”

彼らを虜にする『レインボーシックスシージ』の魅力とは?

――今大会でも日本チームと対戦しましたが、日本のチームの印象はいかがですか。仲の良い選手がいれば教えてください。

Nova 今大会ではCYCLOPS athlete gaming(以下、CAG)と野良連合が参加していましたが、両チーム共に元気なチームという印象です。選手たちが、明るく楽しくプレイしているように見えます。仲が良いのはPapilia選手かな。大会で何回も会っているうちに自然と仲良くなりました。(CAGの)gatorada選手とBlackRay選手とは、『レインボーシックスシージ』以外のゲームの話で盛り上がったのも印象に残っています(笑)

h3dy 僕は日本の選手ならだいたいみんな仲良しですね。野良連合はもちろん、令和ゲーミングのコーチになったRamuさんとも仲が良いです。あとはGUTS Gamingも野良連合出身の選手が数名いるので交流があります。日本に行くときは、時間さえ合えば、いろんな選手たちと会って遊びに行ったりしてますね。

――そろそろインタビューも締めに入りたいのですが、これだけは聞いておきたいです。ズバリ『レインボーシックスシージ』の魅力は?

h3dy 突き詰めれば突き詰めるほど、新しいものが出てくるところですね。ゲームが発売されて4年が経ちましたが、既存のマップですら新しい要素がどんどん出てくるんです。研究すればするほど他の人たちが見つけられなかったポジションやアングルが発見され続けているので、すごく不思議なゲームですね。ずっと同じゲームを続けているのにずっと学び続けている感じが一番大きな魅力だと思います。

Nova 他のFPSを見ているとだいたい毎回同じ状況の繰り返しなんですけど、『レインボーシックスシージ』は壁が壊れる仕組みなので毎回マップの状況が違うんです。だから飽きずに続けられるんです。また、FPSなんですけどMOBAのようにキャラクターごとに能力が違うので、チーム内で色々な構成ができることも魅力ですね。

――最後に今後の目標と、日本の『レインボーシックスシージ』ファンへのメッセージをお願いします。

Nova うちのチームって柔軟性のない固いチームなんですよ。だから、臨機応変にプレイできるチームにしていきたいですね。SNSでは、日本のファンの皆さんからメッセージをもらうこともかなり多いです。日本から僕らのことを応援してくださってありがとうございます。今は成績があまり良くないですが、頑張りますので期待していてください!

h3dy 僕は、自分がやるべき役割をしっかりこなせる選手になりたいですね。今年成績があまり良くなくて停滞期なので、早く乗り越えたいです。僕もSNSで本当にたくさんの方からメッセージをいただくのでなかなかお返事はできませんが、もう感謝しかないですね。成績で期待に応えられていないのが申し訳ないです。これから選手としてもっと成長して、いつか恩返ししたいですね。

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(撮影:スイニャン)

記者コメント

実は今回、諸事情あって掲載先が決まらないままインタビューを敢行したのだが、「是非うちで」とお声掛けいただき本稿を掲載する運びとなった。最後に、インタビューするにあたりアドバイスをくださったライターの渡辺静さん、キャスターのふり~ださんにもこの場を借りてお礼を申し上げておきたい。

(取材:スイニャン / 編集:ファミ通AppVS編集部)

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