ファミ通AppVS イベントリポート

【レインボーシックス シージ】CYCLOPS athlete Gaming vs Wildcard解説 “対策”のWCと“対応”のCAG、両チームの勝敗の分かれ目を探る

2019年10月19日~20日行われたAPAC Final。残念ながら日本チームはこの予選を突破することができなかった。APAC代表として11月に愛知で行われるFinalに駒を進めたのは、AerowolfとWildcard。

本稿では、APAC Finalで行われたCYCLOPS athlete Gaming 対 Wildcardを解説する。

試合内容に触れる前に、Wildcard(以下、WC)のチームとしての性質について記しておく。
今試合のWCの基本的な攻守は、洗練された今シーズンにおける正攻法をくり返す戦い方である。攻撃では着実に目標を取り囲んで浮いた遊撃も許さず、防衛では現地で固く守ってカバーに入れるような位置を保つ、といったようなレインボーシックス シージならではのチーム戦を行っていたのが、WCの特徴だろう。

ラウンドごとにオペレーターを変え、時には奇抜な作戦を取り入れるCYCLOPS athlete Gaming(以下、CAG)のやり方とは、ある意味対照的なチームだ。この2チームがどういった試合展開を織りなしていったのか、第一マップの銀行から、意外性のある戦術を兼ね備えたCAGに重点的に焦点を当てながら解説していく。

CAG 銀行攻撃編

この銀行において、先手を打ってきたのはWCであった。BANフェーズにてCAG対策のIQをBANを行ってきたことである。

これにより、視界が遮られたとしても攻撃側の動向が捕捉されてしまい、本来CAGが行いたかったスモークグレネードやYINGのカンデラを用いたプラント寄りの動きができなくなっていた。

半ばゴリ押しのようなプラント戦術は国内でもよく行われており、これがよく研究されたBANであることが分かる。

しかし、CAGの真価である‟対応力”がここで発揮された。

4、5ラウンドでは、ハードブリーチャーを捨ててガジェットに重きを置いたピックに変更された。ガジェットによる強行突破が通じなかった相手に、ガジェットの量を増やして殲滅を試みるという作戦だろう。もちろんハードブリーチャーがいなければ目標付近の射線やプラントポジションも限られるため、それなりにデメリットもあるのだが、CAGはそう言った不利な点を感じさせないだけの個々の立ち回り、そしてチーム全体としての決断力を持っていた。

6ラウンドではピックや序盤の攻め方自体は攻めが失敗したラウンドとさほど変わらなかったが、目標のプランターを間接的にキルできる防衛側のオペレーターを、少し無理矢理ではあったが全員で潰し切ってラウンドを会得した。

ゴリ押しかどうかに関わらず、‟●●を●●すれば勝てる”といったようなプランを、チームメイト全員が共有できていることが、本作における大事な項目であると筆者は考えている。

手を替え品を替え戦術をいくら披露したところで、そのプランがチームに馴染んでいなければ、プレイ中に必ず綻びが生じる。個人個人のマップの理解度もさることながら、珍しい戦術でもチーム全体がきちんと共通認識を持って、勝ち筋を見通していることが銀行におけるCAG攻撃の強みであった。

こうして攻撃を優勢に進めたCAG。ここからは銀行防衛を解説していく。

CAG銀行防衛編

CAGは、地下防衛にも関わらず4人を遊撃に出す戦術を試みた。そのため、攻撃開始の7ラウンド目で前述したような正攻法で攻めるWCは、いたずらに時間を稼がれプラントまでたどり着けない状態になってしまっていた。堅実なプレイを続けるWCに対して差を離し続け、CAGは6-3のマッチポイントまでたどり着くことができている。

しかし10ラウンド目。マシントラブルによりインターバルが挟まれてしまった。そしてここから、CAGに明らかな異変が出てきた。

リスキルによる序盤の人数不利やガスグレネードのミスなど、一言で言えば“焦燥感”がプレイの所々に見られている。

プラントを止めようと躍起になるあまりに、本来いるべきオペレーターが配置からずれたり、ロックしていると予想されているポイントに無理矢理顔を出したりと、チームの意思疎通が取れないまま個々が不利なポジションに勝負を挑んでしまっていた。
加えて、連続して失敗している地下守りを頑なにピックしてしまい、CAGはいつもの柔軟性を失ってしまっていたように見える。ハードブリーチャー2枚を常にピックしているWCには、むしろ好都合であり、多少のCAG側の配置の変更はあったものの、WCは攻め慣れてしまった部分もあるだろう。

それだけでなく、WCの攻めも素晴らしかった。地下の監視室のプラントポジション付近からガレージを抜くなどのスーパープレイを見せ、常に相手の枚数を削っていくNeophyteR選手のマンパワーは脅威だ。そして12ラウンド目における設置位置の変更など、細かな機転の利かせ方により、CAGに元来のプレイの変更を余儀なくさせていた。

最終ラウンドではNeophyteR選手は単独での行動をやめ、序盤で人数が削られることを嫌っている。この判断が功を奏したか、CAGは前のラウンドでできていた殲滅寄りの判断ができず、ガスグレネードによって時間を稼がれた後はプランターがC4に飛ばされるのを待つだけといった、防衛側としては理想のカタチでラウンドを獲得した。

CAGのミスとWCのナイスプレーが重なり、気がつけばインターバル後はWCが5ラウンドを奪取。第1マップの銀行はWCの逆転勝利となった。

CAG 海岸線攻撃編

セカンドマップも、銀行の序盤と同じように、WCの現地で固く守る防衛に手を焼いていた。銀行との違いといえば、銀行は相手にセットプレーの準備をさせるのに対し、海岸線では包囲網が完成される前に勝負を仕掛けている。結果、WCが2ラウンド先取とCAGとしては幸先の悪い滑り出しだ。

しかし、タイムアウト後のCAGは、銀行序盤で見せたような対応力を再び見せてくれた。苦手としていたハードピークへのカバーラインを即座に敷き詰め、1v1以上の人数交換ができるような勝負を仕掛けていくことで、人数有利を取り続け最終的に目標付近の敵を殲滅することに成功している。

だがWCにはもう一つ、情報系ガジェットの使い方でCAGを苦しませていた。イービルアイ、ペストランチャー、ブラックアイなどを使って、各オペレーターのエントリー箇所を把握して勝負どころを見極めていたのだ。

こうしたWCの情報における優位への解決方法をCAGは模索できておらず、勝負は五分のまま3-3の引き分けで、CAG防衛へもつれ込んだ。

海岸線攻撃では銀行に比べ、ピックの変更に意味を見出しているようには見えない。GRIDLOCKのトラックススティンガーによってハードピークを諌める作戦は素晴らしいが、その他の変更は“とりあえず使ってみて刺さるかどうか”を試すような、明確な目的がある薄いものだった。銀行のように、オペレーター特有のガジェットを有効に使って、勝利への方程式を組み立て、チーム全体が意思統一を図ることは、果たしてできていただろうか疑問を感じる。

とはいえ、相手が準備してきた作戦の穴を素早く見抜く力は優れている。海岸線でも元々CAGに用意してあった対策はWC、対応力ではCAGが優れていたと言えるだろう。ここまでは両チーム互角の戦い、試合はCAG防衛へ移ってゆく。

CAG 海岸線防衛編

CAGは、WCとは相反して全体的に広く守る防衛を試みてはいたが、それ故に味方のカバーを要請するよりも先にLIONのホバリングドローンで完全に孤立させられ、しっかりとしたドローンでの索敵も重なり、人数不利を先に背負わされることが多かった。

それでも最終的には2回ほど2v2でプラント未成立の状況もあったが、銀行でもあったように、プラントを止めることだけに集中してしまいどちらのラウンドも一人ずつキルされてしまっていた。こういったところで、連携にかすかなかげりが見られる。

終盤ではCAGも多彩な守り方を用意してはいたが、WC側も立体的な攻めから平面的な攻めへと戦術を変更しキッチン守りを3回連続で看破されてしまう。これはWCが一枚上手だったと言えるだろう。

またCAGがよく使用していたPULSEがBANされた部分も大きかった。今までは平面だけを守っていても上下の人員配置を追って、あわよくばキルを狙えていた。今回は敵オペレーターの位置を把握することが難しく、突き下げの対処ができずに現地のオペレーターが耐えきれず餌食となってしまっていたことが多かった。ここでもWCの対策が光っている。

海岸線においても、攻守共に情報系ガジェットを上手く利用したWCに軍配が上がり、CAGはAPAC finalでの敗北を喫した。

おわりに

対策と対応、両チームの良さがぶつかり合った試合だったが、最終的には情報系ガジェットによる情報共有能力の高さ、そして何よりチームとして勝つためのビジョンを全員がプレイ中に見据えられているかどうか、この2点が勝負の命運を分けていたと筆者は考える。

マシントラブル後にCAG側に焦りが生じ、チームの思考に鈍りが生じてしまった感は否めない。しかし、それでもインターバル後も集中を切らさず、3ラウンド差から巻き上げる力がWCには確かにあった。

今回は偶発的に流れが切られてしまったが、試合中に敵のプレイによって流れが変わることもこのシージというゲームではままあるだろう。そういった場合にチーム一丸となってリプランニングができるかどうかもCAGの今後の課題になっていきそうだ。

本稿ではCAG主体の記事になってしまったが、今試合のようなBANから始まるWCの周到な対策力、準備した作戦をそのまま貫ける攻守の正確さは必ず世界にも通用するだろう。今回のfinalでは残念ながら日本チームが出場することはできなくなってしまったが、AerowolfとWildcard Gaming、両APACチームが善戦し、どちらかのチームが世界王者の座に君臨してくれることを切に願う。

gatorada_R shokei_R
試合後のインタビューでCAGは、「これからはゲームがクラッシュしないことを祈る(苦笑)。だけど、クラッシュした際の対応については、同意したうえで試合に参加しているので……」と気丈に答えてくれた。
「試合再開後は悪い流れを断ち切ることができなかった。これからは負けているときの雰囲気の切り替えなど、ゲーム外での問題にも目を向けていきたい。」と、
悔しさとやるせなさを感じるようなコメントを残した。
(文:編集部)

 

新着記事ランキング

過去24時間のPV数が高い記事(毎時更新)

ゲームタイトルランキング

過去24時間のPV数が高いタイトル(毎時更新)

新着記事をもっと見る

注目の大会をもっと見る