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【ストV AE】ウメハラインタビュー2019「人は結局好きなことを我慢できない」【CygamesBeast】

もっとも有名なプロゲーマーのひとりとして、『ストリートファイターV アーケードエディション』を中心に活躍するウメハラ。

2019年にプロゲーマーとしてキャリア10年目を迎えたウメハラは、今尚シーンの最前線で戦い続け、“CAPCOM PRO TOUR 2019”でもランキング上位に位置するなど、その実力は衰えるばかりかさらなる磨きがかかっている。

ファミ通AppVSでは2018年に続き2019年もインタビューを行い、“CAPCOM Pro Tour 2019”の話題を皮切りに、プロゲーマーやe-Sports業界に対する思いを語ってもらった。

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写真:Jason Halayko/Red Bull Content Pool

ウメハラ
Twitter:@DaigotheBeast
所属チーム:@CygamesBeast
Twitchチャンネル:DaigotheBeasTV
格闘ゲーム界のレジェンドプレイヤー。Red Bull、HyperX、Twitch、Cygamesからスポンサードを受けながら、『ストV AE』を中心に活動。自身のTwitchチャンネルにてさまざまな企画番組を配信している。

シーズン4は「“CAPCOM Cup 2019”に出られない」危機感から始まった

本稿執筆時点の2019年9月現在、ウメハラは“CAPCOM PRO TOUR 2019”(以下「“CPT 2019”」)のグローバルポイントランキングで獲得ポイント845pt、16位につけている。これは2018年シーズンのポイントランキング最終結果と同じ順位だ。

2019年シーズンはまだいくつのもの大会が残っているが、極端に調子を落とすことがない限り今年もツアー最終戦の“CAPCOM Cup 2019”に参加できるだろう。そんな側から見れば順調な結果を出しているウメハラだが、シーズン開始当初の胸中は決して穏やかではなかったようだ。

※カプコンプロツアー ウメハラページ

 

ーー現時点での“CPT 2019”の結果をどう評価していますか?

ウメハラ 序盤のプレミア大会でポイントをしっかり獲得できたので、ランキング大会を回らないプランを立てられました。ひとまず2019年の目標が達成できそうでよかったですね。

ーー目標というのは“カプコンカップ 2019”出場ということでしょうか?

ウメハラ バランス調整でガイルが下方修正されたのもあって、メインキャラクターの変更も検討したんです。これまでのシーズンはいずれも最上位と呼べるキャラクターを使っていましたからね。是空を使ってみたりしましたが、なかなかしっくりこなくて、そういった先行き不安の状況のなか、シーズン4のスタート時点では「“カプコンカップ 2019”に出られないんじゃないか」とも思っていたんですよ。

その後いろいろ取り組んだことでガイルでも戦っていける道筋が見えてきて、なんとか結果を出すことができたので、現在はそれより先を見据えて取り組んでます。いまは新しい戦い方のアイディアが見つかって楽しい状態。新しいやり方が見つかるとすぐ試したくなる。

ーー“CPT 2019”全体を見た印象というのは例年と比べていかがですか?

ウメハラ 『ストV』の発売当初から言われていますが、まずゲーム性がシンプル。その上でプレイヤーの熟練度が相当高まってきているので、より勝負の結果に「紛れがない」という印象です。実際に大会結果を見てもトッププレイヤーがしっかり成績を残しているので、競技としては正しいんですけど、観てくれている人たちが「飽き」を感じていないか心配ですね。

ーー確かに「煮詰まってきている」という印象があります。そんな膠着しつつある状況で、プレイヤーはモチベーション管理が難しいように思います。

ウメハラ 僕個人のモチベーションは問題ないです。もともと上がったり下がったりがあまりない。考えうる限り一生懸命にやっているのを100%としたときに、つねに70%程度を意識しているんです。低いと思われるかもしれないですが、長期的なモチベーション管理ということではこれで良いと考えています。

あとは、新しいチャレンジをすることでマンネリ化を防いでいます。2019年は「レバーレスコントローラー」に変更したのが大きいですね。使い始めは当然苦労もしましたが、いまではすっかり慣れてきて「レバーレスコントローラーでできないこと」がなくなり、むしろ「レバーだとできないこと」がレバーレスコントローラーでできるようになってきました。いまはそこからさらに先に進み、新しい戦い方のアイディアが見つかるようになったので、とても充実してプレイしています。

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写真:Jason Halayko/Red Bull Content Pool

我々みたいなベテランが取り残されないように、新しい時代に対応していかなければいけない

“CPT 2019”の成績を始めとしてトッププレイヤーとしてアップデートし続けるウメハラ。それを可能にするのはつねに新しいことに取り組む「飽くなき探究心」だった。

プレイヤーとしてのウメハラの近況を知ることができたところで、続いては「プロゲーマー」をテーマにインタビュー。すると、ウメハラのアップデートはゲームの中だけに留まらないことがわかった。

キャリア10年目のベテランプロゲーマーとして、ウメハラは自分自身はもちろんのこと他のベテランプレイヤーや若手プレイヤーにもさらなる変化が必要だと語る。

そのポイントは「一般の価値観」と「自信」だ。

ーーひと通りゲームへの取り組みをお伺いしましたが、次はゲーム以外のこともお伺いします。2018年にインタビューした際には、プロゲーマーとして「古い価値観を捨てて、まだまだ勝ち続けたい」というお話がありました。2019年になって考え方や意識に変化はありますか?

ウメハラ ここ最近は日本でも「esports」という言葉が浸透してきてさらに裾野が広がったこともあり、より多くの人に認知されるようになってきました。それによりプロゲーマーとしても変化が必要だと感じていて、僕自身は「一般的な価値観」を意識するようにしてます。

ーー確かに昨今は「ゲーマー」と呼ばれる人たち以外にもesportsが認知され始めていますよね。そういった人たちにも受け入れられるようにしていく必要があるんですね。

ウメハラ こういった感覚は、若手プレイヤーのほうが持っているんですよ。コアなゲーマーから見ると、若手プレイヤーって奇抜な個性というか、いわゆるキャラクター性が薄くて物足りない印象があるかもしれませんけど、よりライトな人たちに向けてということになると、むしろその方が良い。これかのesports情勢を見ると必須だなと思っています。

どの業界だってゆくゆくは新しい世代に取って代わっていくわけですからね。むしろ、我々ベテランがその時代の流れに取り残されないように変化していかなければいけないんです。だから若手も我々のあとを追うんじゃなくて、いまの価値観のまま進んでいけば良いかなと。

 

実力が上がることによって自信がつく。その自信が人格やキャラクターの変化に良い影響を及ぼす

ーーベテラン側が変化をしていかなければいけないという考え方は目から鱗です。一方でウメハラさんから見た若手の課題はどうでしょうか?

ウメハラ 「今のままで」とは言いましたけど、やっぱりエンタメな側面もあるので、プロとしてはより「目立つ部分」が必要ですよね。それって結局は突き抜けた「キャラクター性」か「実力」なんですよ。

思うに若手には「自信」が足りないんです。だからどこか突き抜けることができない。実力が伸びて大会で結果が出ると、それが「自信」になる。そういった自信がより実力を伸ばすきっかけになったり、その人の人格やキャラクターに良い影響を及ぼす可能性があると思うんですよね。

ーー自信が人格に影響を及ぼすというのは興味深いです。それはウメハラさんの経験則からくる考え方でしょうか?

ウメハラ 会社や組織でも立場が与えられることで自信がついて考え方や意識が変わるじゃないですか? プロゲーマーにも同じことが言えると思います。

技量のことで言えば、若手プレイヤーの実力はかなり伸びてきています。だから、あとは「業界を背負って立つ」とか「次世代の台頭」みたいな意識を先に持って取り組んで、後から自信がついてくれば良いですね。

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写真:Jason Halayko/Red Bull Content Pool

人は結局好きなことを我慢できない。だったらチャンスがあるうちに始めた方がいい。

まさに「業界を背負って立つ」ウメハラの考え方や姿勢は個性という芯がありつつも柔軟さを兼ね備えていて、ゲーマーのみならず私たちにも参考になるようなものだった。

「トッププレイヤー」、そして「プロゲーマー」としてのお話を伺った上で、最後は「esports業界」について伺った。

プロゲーマーというものが存在しなかった時から格闘ゲームを続けてきて、世界一の果てにプロとなり、今や格闘ゲームのみならずe-Sports業界をも牽引するウメハラ。

彼が語るe-Sports業界のこれからは昨今の盛り上がりに対して非常に冷静で理性的だった。

 

ーーベテランや若手プロゲーマーへのお話を伺いましたが、「これからプロゲーマーになりたい」という人たちへ何かアドバイスはありますか?

ウメハラ 昨今のesports業界の盛り上がりを見て、「ゲームで食べていきたい」という思う子は増えていると思うんですよ。ただ、まだそういったことを親だったり学校の先生が諸手を挙げて勧めるのは難しいですよね。自分も学生の当時から社会が認める真っ当な道を進まず「好きなことをやる」という道を選んだので、そこに「負い目」は感じていたんですよ。

ただ、この歳になって気づいたんです。いろいろな人たちを見てきて、いまの時代「20代の時に入った会社でそのまま定年まで働き続ける」というケースはあまりないなと。好きなことがあってそれを無理に我慢して、社会的に認められる、安定した道に進んでも、結局はどこかで我慢できなくなる。一見真面目な印象な人がある日ガラッと変わった生き方をしてるんですよね。

esports業界だけではなく、どの業界もいまの時代は先行きが見えないじゃないですか。だから、そもそも将来の安定なんて保証されていない。結局どの道を選んでも不安なことに大差ないんだったら、早いうちから始めちゃった方が若い分有利で、成功する可能性がある。だから将来について重く捉えすぎず、チャンスがある時にやりたいことをやるのが良いと思いますね。

ーー「好きなことをやる」というのはウメハラさんだからこそ深い言葉ですね。最後にesports業界全体に対して今後の展望や要望などはありますか?

ウメハラ esports業界が盛り上がってきて、ビジネス的にも価値が認めてもらえるようになってきました。そのうえで「業界がこれだけは押さえておくべき」と考えることはあります。

それは「とにかくプレイヤーを大事にすること」です。

プロゲーマーはそもそもひとつのことにのめり込んでしまうような人たちだから、ほかのことに時間が取れなかったり、そもそも社会的なバランス感覚が取れない人たちも多いんです。それをまわりの人がサポートしてくれるのは非常にありがたいんです。自分自身もプロのキャリアの中で、「この人なら信頼できる」という人に救われたことがたくさんあります。

一方で、esportsがビジネスとして広がっていく中で、優先順位が変わってしまってプレイヤーがおざなりになっていることがある。そうなると歪みができてくるんですよ。何もこの話は自分がプレイヤーだから「もっと大事にして」と言っているわけではなくて、業界を引っ張る立場から見て「それだとうまくいかないよ」って思うんです。

プレイヤーを大事にすることでプレイヤーは十分に実力を発揮できるわけですから、結局は良い方向に進むと思います。そして、プレイヤーはそのサポートの代わりにファンや応援してくれる人たちに丁寧に対応する。僕だって試合に負けた後はメンタルが落ち込みますけど、それでもサインなどを求められたら出来る限り応えるようにしています。

編集:豊泉、ライター:ベックス

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