グループC
- Playoffs進出:Spacestation Gaming、Vodafone Giants
- グループステージ敗退:Evil Geniuses、Ninjas in Pyjamas

”死のグループ”と言われるグループCをストレートに突破したのは、驚くべきことに米チームSpacestation Gaming(以下、SSG)だった。この結果を予測できていた人はほとんど居なかっただろう。
なぜなら、SSGはNA予選でも決勝戦で敗退し、開催国招待枠として本大会の出場権をなんとか獲得したからだ。誰もが”死のグループ”でもっとも弱い存在だと見なしていた。
しかし、SSGの優れたチーム連携はセットプレイのタイミング合わせ、防衛における射線の分担などに表れた。進化したチーム連携はVodafone Giants(以下、VGIA)やEvil Geniuses(以下、EG)を破り、大多数の想定を越えてPlayoffs進出を決めている。
グループCのもうひとつの着目点はEGの敗退だろう。4度目のMajor大会にして初めて、EGはグループステージ敗退となった。
高い個人技とチーム連携の向上が重なり、LATAM地域で頭角を現しているNinjas in Pyjamas(以下、NIP)を激戦の末に撃破したが、SSGとVGIAには圧敗。時間管理、射線管理、Coverなどに問題を感じさせる結果になった。
特にVGIA戦においてEGの固く遅い動きは、VGIAの自由で柔軟なスタイルを最大限に発揮させてしまう要因となった。

VGIAはオフラインで実力を発揮できないと囁かれ続けているチーム。
多数のオフライン大会に出場して経験を積んだVGIAだが、初戦SSG戦では若干その問題が出てしまっていた。しかし、NIP戦やEG戦では本来の実力を発揮。素早い判断と柔軟な動きで翻弄してPlayoffsへ駒を進めた。
本来の実力を発揮すればEmpireやG2を越えるのではないかと言われるVGIA。世界最強に手を届かせられるか。
ワンポイント解説
※後日、追記予定
グループD
- Playoffs進出: forZe、FaZe Clan
- 予選グループ敗退:DarkZero Esports、Fnatic

グループ内唯一のチャレンジャーリーグチームであり、FaZe Clan(以下、FaZe)、DarkZero Esports(以下、DZ)、Fnaticといった面々からしたら劣ると思われていたforZe。そのforZeが、なんとまさかの1位通過を決めた。
全員の高い撃ち合いスキルはTeam Empireを彷彿とさせ、撃ち合いだけに終わらないガジェットの巧みな使い方によりLATAM PL2位 FaZeとNA PL1位 DZを打ち倒している。
Secretと並んでCLチームながらPlayoffs進出を果たし、EU地域のレベルの高さを改めて示す結果となった。
一方、APACの盟友Fnaticは、シーズン9ファイナルでEmpireに善戦するなど今後の飛躍が期待されていた。しかし、蓋を開ければグループ最下位で敗退。
DZにはメタ的な正攻法の部分で真正面から打ち勝てず、真正面以外からの戦いを仕掛けようとしたが、DZに読まれて動きを封じられていた。
FaZeには広めに守る遊撃スタイルなどで翻弄したものの、室外への飛び出しや積極的なリテイクをFaZeに理解されてしまい、段々と警戒を越えることができなくなっていった。
本大会のFnaticは早い段階で積極的に勝負するスタイルが、結果的に裏目に出てしまった。
FaZeは以前からの撃ち合いの強さはそのままに、チーム連携やリスクを背負う判断が向上したように感じる。LATAM最後の希望としてどこまで行くことができるだろうか。
積極的な遊撃や撃ち合いによる勝負に持ち込むFnatic、自由な遊撃の隙を突くFaZe
本大会のFnaticは積極的にローテートして、撃ち合いによる勝負を挑みに行く場面が多く見られた。ラペリングに対する撃ち合いや飛び出し、個人で走り回って行われるリテイクなどが代表的だ。
その様子は野良連合やCAGなどの日本チームの特徴を吸収しているようにも感じた。
▲Fnaticの豊富な遊撃と積極的な個人リテイク。その隙を突くFaZeの判断。
Fnaticは複数の方向からリテイクを行う様子を見せてFaZeに圧力をかけ、実際に途中上がりからのリテイクを決めた。しかし、FaZeは素早い判断でPlnatを実行して成立させる。
遊撃が多いということは防衛拠点が薄いということ。そのことをFaZeは理解し、人数有利を取られながらも、素早くリスクを背負うことで読み勝った。
Fnaticは相手チームによってガラッと戦い方を変えるチームであるので、積極的な遊撃や真正面から撃ち合っていく形は、DZやFaZeに対する対策の一環だったのかもしれない。しかし、上記したように上手く利用されてしまう場面も多々見られた。
DZ戦では強力なロックに対して真正面から戦う無謀な選択など見られ、攻撃ではロックの甘さなども確認できる。
Fnaticの特徴の一つであった戦術的な部分が衰えてしまったような印象を受けた。DZには正攻法の戦術で打ち勝てず、FaZeを撃ち合いだけで倒しきることは困難だった。
そのことはFnaticのグループステージ最下位に繋がってしまったかもしれない。
おわりに
本大会はSecret、SSG、forZeなど有力候補と見られていなかったダークホースがPlayoffs進出を多く決めた。ほとんどの人が予想しない波乱の展開となった。
今回のMajorでは野良連合、CAGの日本チームだけでなく、Fnaticも含めたAPACチーム全体がグループ最下位に終わる結果となった。
ラウンド差も野良連合-12、CAG-19、Fnatic-15と、最後のグループ最下位NIPの-6と比べて大きな差が開いてしまっている。
その原因は一概には言えないが、全体的に戦術面で劣っていたようにも感じられる。撃ち合いそのものよりも、有利に撃ち合っていける土台を作る段階、撃ち合う前の戦術で敗北したように見えた。
この結果を野良連合が、CAGが、Fnaticが、APACのチームが、そして日本のあらゆるチームが、どのように受けとめて前に進んでいくのか注目していきたい。
グループステージから波乱の展開が続く本大会、今後も見逃せない試合が待ち受けている。
(文・Fuji3/編集・工藤エイム)

※一部内容は後日追記予定です。ご容赦ください。