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【サムライスピリッツ】EVO2019優勝者“Infiltration”インタビュー「勝つ自信があると言ったことが証明できてうれしいです」

アメリカ・ラスベガスにて、2019年8月2日〜4日(現地時間)に世界最大級の対戦格闘ゲーム大会である“EVO 2019”が開催された。メイン種目のひとつ『サムライスピリッツ』(以下、サムスピ)部門には世界各国から1719人がエントリー。

トップ8には日本最強のマルチ格闘ゲームプレイヤー「かずのこ」が残ったほか、韓国最強プレイヤー「Infiltration」、台湾筆頭のKOFプレイヤーであり『ストV』でも活躍する「ZJZ」、アメリカのレジェンドプレイヤー「Justin Wong」や「CaliPower(=Alex Valle)」などそうそうたるメンバーが並び、白熱した試合をくり広げた。そんな「世界最強格闘ゲーマー決定戦」と呼んでも差し支えない戦いの結果は「Infiltration」(幻十郎)が優勝した。

本稿では、ZJZ、RB、Reynald、JWong、かずのこと、世界的な強豪プレイヤーを連続して撃破し、ルーザーズから優勝に駆け上がったInfiltrationのインタビューをお届けする。

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Infiltration

強敵であるかずのこ選手に勝ててうれしい

ーー優勝おめでとうございます。いまのお気持ちはいかがでしょうか?

Infiltration(以下、インフィル) 応援いただきありがとうございます。事前インタビューで「優勝する自信がある」とお話ししたことが、証明できてよかったです。とくにグランドファイナルがとてもドラマチックな展開で、強敵であるかずのこ選手に対してなんとかもがいた結果なのでうれしかったですね。

トレーニングモードに多くの時間を費やし、対戦したのは2、3日

ーー予選第1ラウンド実施後のインタビューで「優勝する自信がある」という言葉をいただいてからの有言実行だったので、とても驚いています。事前インタビューの時点であそこまで自信があったのは、どういったところから生まれていたのでしょうか?

インフィル 自信の源は、『サムスピ』をメインタイトルとして取り組んできたというのがあります。具体的な取り組みとしては、トレーニングモードをメインに時間を費やしました。そうすることで、『サムスピ』というゲームを理解するとともに、私がいままで出場してきた海外大会での経験というのを整理しなおすことにしたんです。

その経験に基づいて、コンディショニングの調整や現地で最高のパフォーマンスが出せるように気を払う意識を重要視していました。

もうひとつは強豪プレイヤーたちのプレイスタイルや手癖などを『サムスピ』だけではなく、いろいろなゲームの大会動画で研究していました。

おそらく今回『サムスピ』部門に参加したプレイヤーの中で、そういった「イメージトレーニング」にもっとも時間を費やしてきたのが私だと思います。実際にトップ8が出揃った時には、全員分の情報が自分にはありました。そこが「優勝に向けての自信」につながる根拠ですね。

ーートレーニングモードとイメージトレーニングがメインというのは驚きです。僕らからすると、重要な要素として真っ先に「対戦」することが挙がるのですが、トレーニングモード、イメージトレーニングと対戦は、どれくらいの割合で行ったのでしょうか?

インフィル ゲームプレイの割合は、トレーニングモードでの練習が9割、対戦は1割程度ですね。イメージトレーニングというのはここには入っていなくて、ゲームをしていない時間は戦略や連係など、攻略についてつねに考えていました。

私は、習慣として何かアイデアが思いついた時にはすぐにメモを取るようにしています。そのアイデアをトレーニングモードで試したり、確認を取るようにしていました。本作が発売されてからEVOまでの1カ月間、対戦に当てた時間はだいたい2〜3日、時間にすると70時間程度です。

――イメージトレーニングについてですが、FAV gamingのsako選手も「ゲームのすべての情報が頭に入っているから頭の中で対戦できる」そうなのですが、インフィルさんもそうなのでしょうか?

インフィル それにはsakoさんと共通する部分が多いと思います。私がトレーニングモードに多くの時間を費やすのは、しっかりとしたイメージトレーニングを行えるようにするためです。そのために多くのキャラクターを触りますし、多くのシステムを調べて、実際にどうなるのかをトレーニングモードで試行錯誤しているんです。

――なるほど。イメージトレーニングはどういったことをやられているんですか?

インフィル 戦略的なシナリオを考えます。それと同時に、考えた戦略に対する対抗手段も考えます。つまり、相手がどういった対策をしてくるのかまでを想定するんです。そういうことをイメージトレーニングで構築するからすべての情報が頭に入ってる必要があるので、トレーニングモードに時間をかけているんです。

――それはすごいですね。

インフィル イメージトレーニングに力を入れる理由はまだあります。それは国際トーナメントでコンディションを整えるためです。海外大会に出場するときに機材を持ち込んで練習する人たちがいますよね? そのこと自体は理解できるのですが、自分がそれを真似するのは難しいです。なぜかというと、国際トーナメントに挑む際は、健康的なコンディションや精神的なコンディションがもっとも重要だと考えています。

ですから私は、現地入りしてからはコンディション調整を最優先にしているので、重たい荷物を運ぶ手間をかけたくないんです。だから、実際にプレイするのではなくイメージトレーニングにする必要があるからそれに備えてトレーニングモードに時間をかけています。

――最初のインタビューでもコンディションが大切とおっしゃっていましたね。

インフィル もうひとつ理由があります。それはトーナメントで勝ち抜くためです。たとえば、国際大会でベテランプレイヤーがいろんな新しい戦略を持ち込んでくることがあります。そういった新情報を手に入れたときに、内容をしっかり理解してあとでトレーニングモードで試せるようにするためです。

また、トーナメント中に新しい戦略を持ったプレイヤーと出会った際に、その場でトレーニングモードをプレイすることはできませんよね。そういったときに、その場でイメージトレーニングをして、新戦略の対応方法を見つけるんです。

ーーインフィルさんが大きなトーナメントで勝つのはそういった努力があるからなのかもしれませんね。それでは、話をトーナメントに戻させていただきます。かずのこ選手とのグランドファイナルは、ルーザーズスタートでしたがいかがでしたか?

インフィル まず、トップ8の時点ではそれ以前に当たって一度負けているReynald選手(幻十郎)をゴールとして考え、彼のアグレッシブなスタイルを崩すプランを考えていました。対策の結果、勝つことができて弾みがついたと思います。その後にジャスティン戦もいい調子が続いたうえで勝つことができ、強敵を倒しながら勝ち上がることで自信がついたので、ルーザーズ側からグランドファイナルに挑むということが不利な状態であったとしても、勢いはあったと思います。

かずのこ選手の覇王丸については、1試合捨てる覚悟で情報収集を徹底しました。結果としてはそれまでの勢いもあってリセットまで持っていくことができ、リセットした時点で「勝つための情報」は揃っていました。

ーーかずのこ選手へのインタビューで「インフィルはディフェンスが上手く、崩すことができなかった」と話していたのですが、かずのこ戦での防御意識というのは重要視していたんでしょうか?

インフィル 私は、新しいゲームを始めるときのキャラクター選択や攻略方法は、まず守りを重要視して情報を集めます。そこから、相手を焦らすような戦略を練り、対戦では相手のミスを誘うことでゲーム内での体力はもちろん、プレイヤーの精神力も削り、相手より優位な状況を作るようにしています。

つまり、私のスタイルは「ヒットアンドアウェイ」を意識したうえでのディフェンシブなプレイです。かずのこ選手とのマッチアップでは、最初からディフェンシブなプレイを見せることで、「インフィルのディフェンシブなイメージ」を植え付けるように仕掛けました。そうすることで、うまくかずのこ選手を誘導できたと思います。

――なるほど。得意なヒットアンドアウェイのスタイルがハマったんですね。

インフィル はい。しかし、このヒットアンドアウェイ戦略はあくまでベースであり、実戦では相手に合わせて臨機応変にスタイルを変えます。わかりやすいのが、ジャスティン選手との試合じゃないでしょうか。

ジャスティン選手は、守備的なタムタムというキャラと彼の長年の経験からディフェンシブなプレイをすることが予想できたので、1ラウンド目からアグレッシブなプレイを心がけました。これらはジャスティン戦を見返してもらうとわかると思います。それによって、ジャスティン選手は「インフィルはアグレッシブにプレイするぞ」と意識して動きを切り替えてきます。そうなったところで、こちらが「ヒットアンドアウェイ」のスタイルに切り替えることで相手に対応を迫る展開に持っていけました。

――格闘ゲームは、戦略の組み方がとても重要なんですね。

インフィル その通りです。トレーニングモードを使ってゲーム内容を理解することにたくさんの時間を費やしたので、「どれくらいだったら守り切れるのか?」「どのくらいのカウントが残っていたら相手を倒せるのか?」などをおおよそ把握しています。だから、スタイルを切り替えながら戦えました。

――かずのこさんが「インフィルは守りがうまい」とおっしゃっていましたが、それはある意味インフィルさんの戦略にハマっていたということですね。

インフィル その通りだと思います。

日本勢に足りなかったものは?

――今回、前評判の高かった日本勢がトップ8にかずのこ選手しか残りませんでした。日本勢が勝つのに足りなかったものはなんでしょうか?

インフィル 私は、現地で日本のサムスピ勢と言われる人たちの試合をたくさん見ました。彼らが勝ち上がれなかった要因のひとつは、『サムスピ』はこれまでEVOのような大規模なトーナメントでフォーカスされることがなかったからだと思います。今回初めてEVOのメインタイトルに選ばれたことで、『サムスピ』勢としては初めて大きな大会に参加したので、経験不足から苦戦したのではないでしょうか?

また、日本勢の多くは、用意したひとつの戦略がうまくいっているときは非常に強さを発揮します。ですが、その戦略が対応されたり、彼らの知らない新しいスタイルがほかの地域や国から持ち込まれたときに、対応できない場面がよく見られました。一方で かずのこさんは、国際トーナメントの経験が豊富で、さらにいろいろなゲームをプレイしているため適応力がものすごく高く、どんな対戦相手にも瞬時に対応できていたので勝ち上がれたんだと思います。

これに関しては時間が解決してくれるんじゃないでしょうか? ドンドン新たな戦略が出てきて、それを消化していくうちに耐性がついてきますし、準備ができて勝てるようになっていくはずです。

――それを聞くとインフィルさんの凄さが際立ちますね。ほかのプレイヤーが時間をかけて対応できるようになるのに比べて、インフィルさんの場合はさきほどのイメージトレーニングの話の通り、どんな想定外の戦略を持ち込まれてもトーナメントの中ですぐに対応できてしまう……。今回インフィルさんが優勝したことは納得です。

インフィル おっしゃる通り、私が優勝できたのも対応力の高さがあるからだと思います。私は新しいゲームが出て、新しいキャラやシステム、戦略を試していく行為がとにかく楽しくて仕方ないんです。新しい知識を入れるというのは、深呼吸でキレイな空気を取り込むように、自分のマインドをリフレッシュしてくれます。それが楽しいからドンドン追及してしまうんです。

――いろいろなゲームを触るのも大切なんでしょうか? sako選手もひとつのゲームやキャラクターだけプレイしていると、考え方が凝り固まってしまうとおっしゃていました。

インフィル sakoさんの言うことはまったくその通りだと思います。

追加キャラは首斬り破沙羅に注目 でも……本命はミナ!?


――緋雨閑丸が追加発表され、シーズン2でミナの登場も発表されましたが、どんな印象を受けましたか?

インフィル 最初のDLCキャラクターの中では、首斬り破沙羅に注目しています。彼のダークな設定がSNKの表現のスタイルとマッチしているし、『サムスピ』の殺伐とした世界感に合っていると思うのでぜひ最初に試したいですね。

でも、シーズン2で追加されるミナを見た瞬間からそちらに夢中です。ミナは『サムライスピリッツ零』のときにメインキャラクターとして使っていましたし、私のヒットアンドアウェイスタイルにもマッチしていました。当時は飛び道具中心のキャラクターで非常に強かったんですが、いまの『サムライスピリッツ』でどういうキャラクターになるのか楽しみで仕方ありません。

――それでは最後に読者へのメッセージをお願いします。

インフィル EVO2019で応援してくれた皆様本当にありがとうございます。試合を見てくれた人はとても興奮してくれたはずです。この『サムライスピリッツ』というゲームは見てわかりやすく戦略も想像しやすいようにデザインされた新しい格闘ゲームです。

そして、『サムライスピリッツ』という名前の通り、刀を持った侍がふたり向かい合って立ち、単純に斬り合うだけではなく、お互いに安全な位置にいようと立ち回るのが視覚的にすごくわかりやすいです。これは格闘ゲームの根本的な考え方を視覚的に示しているので素晴らしいことだと思います。リアルで侍が刀を持って向かい合ったらこういう戦いになるであろうものが、再現されているのも秀逸なところです。

また、トップ8の私とZJZの試合では、時間切れ間際に“怒り爆発”を発動して時間切れを防ぐ攻防を見た方は、非常に興奮したと思います。そういったエキサイティングなシーンを誰もが演じられるくらいシンプルに作られているので、EVO2019を見た人はぜひ『サムライスピリッツ』をプレイして、その興奮を私たちと共有していただきたいです。最後に、トップ8まえのインタビューを読んだ方にお伝えしたいのです。そのときに優勝する自信を示していましたが、それが嘘にならなくてよかったです(笑)。それでは皆さん、つぎの大会でお会いしましょう。

evoのEVO2019 – Infiltration (Genjuro) vs Brook ZJZ (Charlotte) – Samurai Shodown Top 8をwww.twitch.tvから視聴する

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Infiltrationには、SNKから優勝の特典としてスカジャンやイラスト色紙が手渡された。

取材:豊泉

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