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【レインボーシックス シージ】プロリーグ‟FAV gaming vs UnsoldStuffGaming”解説 FAVのチーム戦略が優勢を保ち続けた秘訣

ユービーアイソフトより発売中のタクティカルシューター『レインボーシックス シージ』PC版プロリーグ シーズン10。本稿では、Day2に行われたFAV gaming vs UnsoldStuffGaming戦を解説する。

shu選手(元SCARZ)とChloroForM選手(元GUTSGaming)を加えたFAV gaming。大きな再編成い再スタートをきったが、シーズン10開幕戦UnsoldStuffGaming(以下、USG)では圧倒的な大差をつけて勝利した。撃ち合い、チーム戦術、人数差の作りかた、マップ支配、ラウンドの流れの支配と、さまざまな点でFAVはUSGを上回っており、DfW%(防衛成功率)は92%と、驚異的な数値を記録した。

中でもリーダーShiN選手の活躍は大きく、一見彼の個人技が勝因のように見えた試合だが、実際は‟FAVのチーム戦略が優勢を保ち続けた秘訣”があった。ここでは、FAVがどのような意識を持って戦っていたのか、そしてFAVの戦略的な狙いを解説していく。

① USGの”意識の外”を連続的かつ同時にチーム全体で攻め、USGに対応する時間を与えなかった

①ついてが分かりやすく現れているのは、第2マップ銀行 3ラウンド目だ。

FAVは1階、窓口オフィス・資料室防衛。2階には人員を配置せず、1階や地下に広く展開する陣形であった。それに対してUSGは、1分20秒ほど経過した段階で2階を制圧。防衛拠点である窓口オフィス・資料室に対してNotimeGG選手のバックが突き下げを始めている。
この段階では、USGが重要拠点である2階を制圧し優位だったと言えるだろう。

FAVの戦略が見えるのは、制限時間が残り1分10秒を切った頃、メイン階段からのリテイクを3人がかりで行っている点だ。USGが突き下げによって防衛拠点に圧力をかけ終え、設置アプローチに集中しようというタイミングで、FAVは2階へのリテイクに動き出している。

 

USGは突き下げによって優位を得ることに成功し、次の段階として設置アプローチへ意識を向けていたはずだ。設置を実行するためには、人員配置を変更、追加で情報を集めたり、チームとしてタイミングを合わせる必要がある。その際には、遊撃やリテイクに対する警戒はどうしても薄れてしまうだろう。そこをFAVは突いた。


▲銀行における同時多発リテイク。相手の意識が設置アプローチへ向かったところでリテイクを行った。リテイク成功と同時の飛び出しも行い、相手に対応や対策を練る時間を与えない。

 

そしてFAVのリテイクが成功して2階を制圧、USG側にその情報が入る。USGはそれに対する対策を練り始めなければならない。

FAVはそのことを利用して、さらなる攻撃を行った。遊撃によって状況が急変したと同時に、ChloroForM選手が防衛拠点から飛び出してダブルキルを獲得している。

USGがリテイクによる2階制圧の報告を受けた時、何を考えただろうか。おそらくは遊撃への対処であろう。その際には防衛拠点のことは意識の外にあったかもしれない。もしくは、ラッシュ的な防衛拠点制圧を考えたかもしれない。少なくとも、拠点内から積極的に飛び出してくる想定は無かったのではないか。

FAVは、USGの‟意識の外”を突いて状況を動かし、急変した状況にUSGが対応を構築する前に、さらなる攻勢を行ったということだ。

USGの意識が逸れたタイミングを見計らって、複数の場所から連続的に、そして同時に攻撃を行ったことにより、FAVは撃ち合うこともなく人数有利を重ねていった。

FAVは試合全体を通して、USGの意識や予測が逸れるタイミングで集団かつ同時多発的に状況を動かしていた。どんな達人でも、意識を向けていないものに対しては十分な実力を発揮できない。いくらUSGの選手であっても、別のことに意識を向けている状態では対応しきれなかった。

FAVの戦略的な意識「USGの”意識の外”に対してチーム全体で戦うこと」が圧倒的勝利を導いたのだ。

② 新加入したChloroForM選手、shu選手の個性・素質を引き出し、チームの実力に結びつけられている

さて、これまではFAVのチーム戦略に触れてきたが、個人にも触れておこうと思う。

個人的に着目したいのは、新加入したChloroForM選手だ。

FAV ChloroForM

①で書いたように、第2マップ銀行の3ラウンド目において、ChloroForM選手は防衛拠点である窓口オフィスから飛び出してダブルキルを発生させている。これは非常に重要なキルだ。なぜなら、FAVは遊撃に多くのリソースを割いて複数人で動き、防衛拠点が薄い状態になっていたからである。

この選択によって、本来なら安全であるはずの防衛拠点よりも、遊撃のほうが安全だったとまで言えるかもしれない。
つまり、防衛拠点を守るChloroForM選手はカバーの見込めない状況であったことになる。そのような状況であっても、ChloroForM選手はキルを勝ち取った。

もちろん、①で述べたチーム戦略と噛み合った結果ではあるが、状況に応じてアタッカーのように振る舞えるサポーターは貴重な存在である。

FAV Shu

次に着目するのは、同じく新加入したshu選手。

FAVが防衛で行ったチーム一体のリテイクの際に、shu選手はある種”エントリーフラッガー”のような役割を担っていた。

USGが制圧した部屋や拠点に先陣を切っていく動きは、FAVの戦術と戦略を支えており、第1マップ、第2マップどちらでも、shu選手はリテイクや逆ラッシュの際に先頭を走り、キルを発生させて有利を生み出していった。
これまでのFAVには居なかった貴重な人材であり、その特性が十分に活かされている

FAVは新加入したChloroForM選手、shu選手の個性と素質を引き出し、チームの実力に結びつけられている。このことは、FAVの今後の飛躍にも大きく関わってくることだろう。

③ 情報系ガジェットを巧みに用いて、USGの”意識の外”へ戦う際の成功率を高めている

FAVの戦略に話を戻そう。ここで扱うのは第1マップ国境の第3ラウンドだ。

FAVは第3の拠点である税関検査・備品室防衛を選択。2階に広く展開し、セキュリティルームと武器庫に遊撃が配置されていた。

対してUSGはオフィス、資料室からエントリーして武器庫制圧を狙う。ShiN選手のECHOは中央階段の中腹というリスクのある位置を取りながらも、USG tetra選手のHIBANAをキルした。

▲国境における前線設定。ECHOドローンなどの情報系ガジェットを用いてリスクのある前線設定を成立させる。インパクトグレネードによる意識誘導も巧み。

このラウンドで注目すべきなのは、やはりShiN選手の位置。ECHOドローンを資料室と税関検査に設置して、USGの位置を把握することによって中央階段をキープすることができている。

ShiN
税関検査のECHOドローンが、ShiN選手のリスキーな位置取りを可能としている。

ShiN選手が倒される危険性があるとすれば、1階からのピークだろう。しかし、税関検査のECHOドローンによって、1階から中央階段へのアプローチを察知することが可能だ。また、防衛拠点である税関検査をChloroForM選手のスモークが守っており、いざという時はカバーを行うことができる。

加えて言えば、USGがそういったアプローチする際には税関検査の長い射線に身をさらすことになる。そう簡単に行える選択では無いだろう。

ECHOドローンの位置、そして弱い防衛拠点とされる税関検査・備品室防衛であることを逆手にとって、FAVは特殊な前線を築くことが可能となった。独自の防衛ラインはUSGの想定を超え、ShiN選手はたやすくキルを獲得することができたのだ。

 

また、キルが発生する前のインパクトグレネードによる視線誘導、意識誘導も重要なポイントだ。FAVは資料室のECHOドローンによってUSGの位置を把握することができていた。そこで武器庫ベンチ周辺を守っていたshu選手のリージョンが、インパクトグレネードで資料室の壁を破壊、USGの意識を武器庫の奥へと向けさせた。

USGは射線が急に増えたことにより、武器庫からのピークを警戒しただろう。しかし、実際に行われたピークは中央階段から武器庫へ進行してきたShiN選手のエコーによるものだった。

インパクトグレネードで壁を爆破することによって意識を逸らし、予測されにくい位置に居るShiN選手がキル。これもまた、FAVの”意識の外”を突く戦略がチーム連携によって実行された場面のひとつだ。

予測されにくい戦いの場を構築し、加えて相手の予測をずらすことによって、FAVは容易にオープニングキルを獲得することができた。

 

その後のFAVの判断も素晴らしい。中央階段のShiN選手がドローンによってスポットされ、決め撃ちも入ったとなると、武器庫と中央階段から素早く引いていった。これによりUSGはドローンによるクリアリングを再び行わざるを得ず、一方的にキルを取られたまま、時間だけ消費して不利が深まっていったのだ。

FAVは情報系ガジェットを活用することによって、”意識の外”への戦いをより確実なものとした。それによって多様な戦いの場、多様な前線を構築することができている。

USGは、FAVがどこでどのように戦ってくるか読むことが難しく、膨大な可能性に対して警戒・対応しなければならなかった。そして、そのことは後々に響いていっただろう。第2マップ銀行で、いくつかのハイドが刺さっていたのは偶然ではないのだ。

終わりに

FAVはUSGの”意識の外”を突き続ける戦略によって、撃ち合うことなく一方的に有利を積み重ねていった。その選択を支える連携、情報系ガジェットの使い方も素晴らしい。

解説はしなかったが、第2マップ銀行ではヴァルキリーのブラックアイがリテイク判断の根拠となっていた。興味がある方は色々と考察してみると面白いだろう。

FAVは今回の試合で完成度の高い戦略を示したが、一方で情報系ガジェットに頼っている面が多いように見受けられる。また、自由な遊撃を潰す「1の動き」が敵にあるだけでも、話は大きく変わってくるだろう。対策することは不可能ではないと思われる。

ほかプロチームはFAVの戦略に対してどのような対策を施してくるのか。そして対策されたFAVがどのような戦いを見せるのか。是非、今後のプロリーグにも注目して頂きたい。

(文: @Fuji3_R6/編集:工藤エイム)

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