“EVO Japan 2019”『鉄拳7』部門の覇者となり、一躍有名となったパキスタンの“Arslan Ash(アルスラーン・アッシュ)”。彼を日本に招待し、5月3日~5日にかけて日本トッププレイヤーと“10先”(10試合先取マッチ)を行う予定だったが、相次ぐトラブルでAshの来日が遅れてしまった。
この事態に、Ashと対戦するために来日していた世界最強とも言われる韓国の鉄拳プレイヤーkneeが、Ashに代わって日本トッププレイヤーとの10先を受けて立つことになった。


タイガーマスクの覆面でおなじみFighter氏が実況解説を務めた。
ノビ、チクリン、破壊王、加齢など、プロライセンス選手を始めとしたトッププレイヤーを相手に、5月3日、4日の2日間10先を行った模様は、黒黒氏のTwitchチャンネルにて生放送された。サブスクライバー限定ではあるが、必見の価値のある試合ばかりだったので、気になる人はアーカイブをチェックしてみてほしい。
本稿では、5月4日にKneeへ戦いを挑んだ選手の中からノビ、破壊王の試合後コメントをお届けする。
ノビインタビュー

――knee選手と長期戦を行うのはかなり久しぶりだったのでは?
ノビ 以前にスティーブのミラーマッチをやったとき以来だと思うので、8か月ぶりくらいですね。
――久しぶりのkneeとの長期戦はいかがでしたか?
ノビ 変わらないですよ。膝さん(kneeの愛称)は膝さんでした(笑)。もう『鉄拳タッグ2』のころから何度も対戦していて、当時は膝さんのサブキャラにやっと勝てるようになった程度で、メインキャラ相手には5~6時間段位戦をして、最後にはボコボコにされるというのをくり返していました。でも、『鉄拳7』で五分の戦績になって、『鉄拳7FR』では勝ち越せて、そしていまにいたる。そんな膝さんとの対戦の歴史だったんですけど、今日は8勝10敗で負けてしまいましたね。
――8-10というスコアについてはどうお考えですか?
ノビ 内容はよかったんですけど、自分のミスで負けている試合が多くて、それがヤバいなと。とくにコンボミスがひどかったですね。前日に6時間くらいプラクティスで練習していたんですけどね……。
――今回の試合からレバーを新調したようですが、その影響があったのでしょうか?
ノビ 流行りのゴールデンレバーに変えて、レバーが跳ねないようにカスタマイズしたんですけど、まだ実戦になるとレバーが跳ねてジャンプが暴発してしまうシーンがありました。“最風”を横移動で避けようとしたら、ジャンプが暴発して食らってしまったり、コンボミスをしてしまったりと……使いこなすのはまだ難しいですね。
――まだまだ慣れる必要がありそうですね。TWT(鉄拳ワールドツアー)のトーナメントにはそのレバーで出場するのでしょうか?
ノビ はい。TWTはゴールデンレバーで行きたいと思っていて、今日が初めての実戦だったんです。コンボミスは多かったですが、ガード関連はすごくうまくいっていたのでTWTまでに使い慣れたいですね。
――最後に追い詰められたところでキャラクターをドラグノフに変更しました。何か意図があったのでしょうか?
ノビ 最終的にドラグノフ対ブライアンをやりたかったんですけど、膝さんが折れずに一八を使い切ったという感じですね。途中でキャラクターを変えてくると思ったんですけど(笑)。
――10先という長期戦はふだん2先、3先のトーナメントとは違ったのではないでしょうか?
ノビ 段位戦のような長期戦は好きですし、ほとんど負けたことがないので、今日みたいに負けたのは逆にすごく楽しいですね。それに長期戦になると、いつも冷静な膝さんですらアツくなるのがいいですよ。ふだんは絶対やらないような“パンピー連係”を使っちゃうくらいにはお互いアツくなる(笑)
――長期戦は短期戦とはまったく違う?
ノビ ぜんぜん違いますよ。長期戦は短期戦と違って読み合いが何周もしますからね。長期戦になると、1ラウンドを捨てて下段攻撃をしつこく打って相手に意識付けをさせて、そういった布石を後半戦に活かしたりといったこともします。今回もいろいろな駆け引きの末に、後半戦の膝さんは「“最風”しか打たない」みたいな立ち回りになっていましたし、こういうのは2先の立ち回りではなくて10先ならではなの立ち回りですよね。
――深い読み合があるんですね。今後のTWT参戦はどのような予定ですか?
ノビ DOJOはアジアを中心にまわって、マスターは韓国、オーストラリアが確定していて、その後は行けるところはできるだけ参加しようと思っているのですが、韓国の大会がもう近いので少し焦っています。
――今回対決したknee選手とはTWTでも当たる可能性が高いですよね。
ノビ そうですね。絶対に一八を出してくると思います。膝さんとはいつも五分だと思っているので、しっかり仕上げていけるようにしたいなと。
破壊王インタビュー

手前で選手たちが見守る中、試合が行われた。
――10-7での勝利おめでとうございます。Knee選手とまとまった試合をするのは初めてだったのでしょうか?
破壊王 『鉄拳6BR』か『鉄拳7』の初期以来だから……2年ぶりくらいですね。
――久しぶりの対決はいかがでしたか?
破壊王 「『鉄拳』てこんなにプレッシャーをかけられるゲームなんや」と思いました(笑)。第1試合なんて、「もうやめてくれ」という感じでした。でも、それに負けて手を出せなくなると負けると思ったので、できるだけ強気に押し返すようにして、それがうまくいって勝てたのかなと。
――knee選手がポールを使ってくるのは想定していたのでしょうか?
破壊王 誰を使ってくるかわかりませんでしたね。「デビル仁かな?くらいで、キングに対して何を使ってくるんだろう?」という感じでした。
――ポールに対する印象はいかがでしたか?
破壊王 ポールは嫌いじゃないので、まあまあ大丈夫かなと。膝さんが大会でよく使う三大メイン、デビル仁、ポール、スティーブの1キャラと対戦できて、しかも勝つことができてうれしかったですね。
――試合中に注意したことはありますか?
破壊王 絶対に食らったらいけない技をいくつか決めて、それを意識したらプレッシャーに負けずについていけるようになったと思います。それに、相手がプレッシャーをかけにきている分、技も当たりやすいので、守りつつもたまに強気の選択肢を見せて、相手の動きを止めてから攻めようにしたらペースを握れるようになりました。あとは、昔対戦したときの癖を試したら、いまでも変わっていなかったので、それも勝因のひとつだと思います。
――やはり長期戦は得意なのでしょうか?
破壊王 僕は段位戦だったり、長期戦のほうが得意ですね。短期戦の大会と違って、癖の読み合いだったり、駆け引きの積み重ねがおもしろいですから。
――今年の大会参戦の予定はありますか?
破壊王 海外大会は夏のEVOに出場する予定です。TWTについては、継続してまわることができないので参戦は難しいですね。
――もし、つぎ10先をするとしたら誰とやりたいですか?
破壊王 Ashはもちろんなんですけど、アメリカののlilmajinとキング対決をやってみたいですね。彼と会ってみたいというのもありますし、アメリカ最強のキングと日本のキングの対決はいろんな意味で盛り上がりそうだと思うんですよ。同キャラ対決自体はメッチャ苦手ですけど(笑)。