2019年3月23~24日、東京都お台場にて、“e-ARCADE sports”を掲げるアーケード対戦ゲームの頂上決戦“闘神祭2018-19”の決勝大会が実施。24日には『ストリートファイターV タイプアーケード』の1DAYトーナメントが行われ、ナリ君(いぶき)が優勝。大会後の取材にて、喜びの声とともに、『ストV』のアーケード版について話をうかがってきたのでインタビューを掲載しよう。
闘神祭2018-19 『ストリートファイターV タイプアーケード』部門 概要・結果
会場 東京都お台場TFTホール
大会形式 シングル戦、1試合先取制シングルイリミネーショントーナメント
大会動画:twitch
※公式サイト
順位 | プレイヤー |
優勝 | ナリ君(いぶき) |
準優勝 | NISHIKIN(ブランカ) |
3位 | ダイゾウ(ザンギエフ) |
3位 | どらもん(かりん) |
闘神祭2018-19とは
闘神祭2018-19はタイトーが主催する、アーケード対戦ゲーム複数タイトルの大型大会だ。2018年から全国各地で予選大会が実施され、決勝大会には予選を勝ち上がった代表選手が集結。決勝トーナメントを戦い、全国制覇を目指す。
2019年3月14日に稼働を開始したばかりの『ストリートファイターV タイプアーケード』は、決勝大会会場にて事前エントリー制の1DAYトーナメントが開催された。1試合先取制シングルイリミネーションというシビアなレギュレーションで争われた大会は、名古屋を地元とするいぶき使いのナリ君が制覇した。




ナリ君インタビュー
――優勝おめでとうございます。今の率直な気持ちはいかがでしょうか?
ナリ君 大会出場者は強い人が多く、しかも普段とは異なる1試合先取制のルールだったので、試合中はプレッシャーが強かったです。まさか僕が優勝できるとは思っていなかったため、すごく嬉しいです。
――普段は家庭用大会に出場しているのでしょうか?
ナリ君 はい。家庭用大会だと2試合先取制で、決勝トーナメントが3試合先取制、といったルールが多いですね。今回は最後まで1試合先取だったので最初からずっと緊張していました(笑)。
――では1試合先取のトーナメントを勝ち上がった勝因はどういった点でしょうか?
ナリ君 2試合先取であれば1試合は落とせるんですよね。でもその1試合が今回は落とせないため、ラウンドを取られたら、その時点で動きを変えることを意識しました。ラウンド間ですぐに動きを変えることができたのが活きたと思います。
――大会中は誰が一番強敵でしたか?
ナリ君 決勝のNISHIKINさんが強敵でしたね。『ストV』がアーケードで稼働してからオンライン対戦でNISHIKINさんと戦うことがあり、その時はかなり負けたんですよ。加えて、今日は大会前に当人と話したら「いぶき戦は自信あるよ」と言われていて、決勝戦では勝てて本当に良かったです。
――優勝を確信した瞬間はありましたか?
ナリ君 対戦中はNISHIKINさんが普段は出さないような投げ抜けをしていて、緊張しているのが伝わってきました。その投げ抜けを潰す中段攻撃がかなり通ったため、どこまででもやってやろうと判断した時が勝てそうだと思った時でしたね。
――今回はアーケード版での大会でしたが、家庭用とのプレイ感覚の違いは感じましたか?
ナリ君 感じますね。僕はアーケード出身なので筐体でのプレイには慣れている方なのですが、それでも普段の家庭用との違いは感じます。アーケード筐体は画面が大きく、コントロールパネルが画面に近いところが大きな違いだと思います。画面の見え方がかなり異なり、家庭用出身の方だと筐体でのプレイには苦労するかもしれません。ですから、僕は普段からゲームセンターにアーケードコントローラーを持ち込み、家庭用と同じプレイ環境を再現して練習していました。
――大会中も自前のコントローラーを使用してましたよね。やはり慣れているプレイ環境の再現は効果が大きいでしょうか?
ナリ君 はい。大きい画面に影響されず、画面の表示がしっかり見える点で効果を感じます。そういった部分の対策というか、事前準備は大きく活きました。
――アーケード版ならではの魅力は感じていますか?
ナリ君 家庭用では普段はひとりでオンライン対戦がメインですが、アーケード版はゲームセンターに行けば誰か人がいるのがいいですね。ゲームセンターでもオンライン対戦ができるため、オフラインで対戦する人がいなくても同じレベルの人と対戦できるのも魅力的です。特に、家庭用だとマッチングするプレイヤーのレベルにかなり幅があるのですが、アーケード版は実力が近い人とあたりやすいです。負けたくない対戦がたくさんできるのは嬉しいですね。
――ゲームセンターでのオンライン対戦の感覚はいかがでしょうか?
ナリ君 知り合いからは「どの台はラグが大きい」というような話を聞きますが、僕は対戦できないと思うことはないですね。家庭用と大差なくプレイできています。
――アーケード版は競技シーンに影響がありそうでしょうか?
ナリ君 旧作の『ウルIV』をやっていたプレイヤーの中には、『ストV』はアーケード版がないという理由で避けている人がいました。しかしアーケード版の稼働を機に、何人かが『ストV』を初めたという話を聞きます。「ゲーセンですごい強かったあの人と、『ストV』でも対戦できるんだ」というワクワク感がありますね。そういう人たちが、これから大きな大会で上位に食い込んでくるんじゃないでしょうか。アーケード大会はもちろん、家庭用大会への参戦もあると思うのですごい楽しみにしています。
――ありがとうございました。最後に読者にメッセージをお願いします。
ナリ君 今年はCPTやアジアの大会など、海外大会に行ってみようと思っています。良い結果を出せるようにがんばります。是非応援よろしくお願いします!
記者の目
3月14日の稼働から10日後という、スピード開催となった闘神祭2018-19『ストリートファイターV タイプアーケード』部門。プレイヤーにとっては筐体での練習期間は短く、持ち込みのコントローラーを使用するプレイヤーが多いかと思われたが、大会中は多くの出場者が筐体のコントロールパネルを使用してプレイする姿が見られた。国内の格闘ゲーマーにはアーケードを主戦場にしていたプレイヤーが多く、筐体でのプレイも受け入れられているようだ。
しかし全体を見渡すと、ある出場者はUSB接続のコントローラーを使用して筐体から距離をとっていたり、プロゲーマーはユニフォームを着用して参戦するなど、今までのアーケード大会では見られなかった光景が広がっていた。出場者や現地の観戦者にとっては、アーケードの対戦シーンが新たな時代に入りつつあることを感じさせる、印象的な大会だったのではないだろうか。
本作の稼動日以降、筆者の通うゲームセンターでは、他の格ゲーをメインとしているプレイヤーが本作を遊んでいる場面が多々見受けられている。従来の『ストV』勢だけでなく、新たなアーケードゲーマーを『ストV』に引き込む可能性を十分に秘めているということだろう。特に、ナリ君も触れていたが、旧作『ウルIV』をプレイしていた強豪たちの参入は楽しみだ。本作を機に、アーケード版から競技シーンのトップに食い込むプレイヤーが現れることに期待したい。
担当:ライター H.H