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【鉄拳7】EVO Japan 2019優勝のパキスタン選手「Arslan_Ash」はいったいどんなプレイヤーなのか!?

EVO Japan以降、鉄拳シーンはひとりのプレイヤーの話題で持ちきりだ。そのプレイヤーというのがパキスタンの「Arslan_Ash」。2019年2月15日〜17日に福岡国際センターで行われた「EVO Japan 2019」の「鉄拳7」部門で並み居る強豪を抑えて優勝したプレイヤーである。

本稿ではそんな彗星のごとく現れた「Arslan_Ash」についてWebで飛び交っている逸話や国内有名プレイヤーからの評価など彼にまつわる情報を取りまとめた。

Arslan_AshをEVO Japan 2019の軌跡から紐解く

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プレイヤー名:Arslan_Ash
Twitter ID:@ArslanAsh95
国籍:パキスタン
所属:vSlash eSports
使用キャラクター:一美

Ashはパキスタンのプレイヤーで、2月から「vSlash eSports」というゲーミングチームに所属しているプロプレイヤーである。

EVO Japan 2019の全成績

ウィナーズ
1回戦:コヨーテ(-) ※トーナメント表の更新なし
2回戦:buramu(2-0)
3回戦:ポジ(2-0)
4回戦:KNEE(2-0)
5回戦:BoALuvb(0-2) ルーザーズへ ※韓国の一八使い

ルーザーズ
8回戦:PTJ(2-0)
9回戦(TOP32):chanel(2-0)
11回戦:Rickstah(2-0)
12回戦:Lowhigh(2-0)
13回戦:Pikohan_Kouki(2-0)
14回戦(TOP8):Book(2-0)
準々決勝:jimmyjtran(2-1)
準決勝:chikurin(2-0)
決勝:CherryBerryMango(3-2)
グランドファイナル:AK(3-0リセットからの3-1)

※カッコ内は試合スコア

このような長い旅路を歩んでの優勝。スコア内訳はストレート勝ちが多くAshから試合を取れたのはルーザーズに落としたBoALuvbを含めて4名のみ。トータルスコアは「31勝6敗(勝率83.7%)」と驚異的だ。

ここで注目したいのは世界ランキング1位「KNEE」、世界大会ファイナリスト「CHANEL」、EVO2018優勝「Lowhigh」、韓国の強豪CherryBerryMangoといった実績十分な「韓国勢」を破ったことだ。

上に挙げたプレイヤーは鉄拳修羅の国と言われる韓国の中でもトップクラスのプレイヤーであり、加えてルーザーズ準決勝で日本人最強の一人であるチクリンをも倒して優勝したということは、それだけでAshが「ただものではない」ことを物語っている。

閑話:パキスタンってどんな国?

国名(正式名称):パキスタン・イスラム共和国
公用語:ウルドゥー語、英語
首都:イスラマバード
通貨:ルピー(1ルピー=約0.8円)
面積:80万㎢(日本の約2倍)
隣接国:インド(東)、中華人民共和国(北東)、アフガニスタン(北西)、イラン(西)

パキスタンは南アジアの国家のひとつ。国内をインダス川が流れており、川の流域に国民の75%が住んでいる。インダス川がアラビア海に接する付近の港町カラチは国内最大都市となっている。

パキスタン料理は付近のインドやイランなど隣接国の影響を多く受けている。国名にもある通り「イスラーム」の国のため豚肉は食べないが、その代わりに羊肉をよく食べる。インドと同様にパンやナンがよく食べられる。パキスタンカレーは「トマトピューレ」を使っているのが特徴。そのほかにも「シークケバブ」、「ビリヤニ」、「チャパティー」、「塩ラッシー」などが有名。

Arslan_Ashのスゴいところ

1.日本で行われた「EVO Japan」で地元日本勢や強豪韓国勢を全部倒してる

上記でも触れたが、やはりシンプルに「EVO Japan 2019」の優勝が話題に熱を持たせている。これまでの鉄拳シーンを大雑把に説明すると、「韓国が最強。それに日本勢を始めとした他国がどこまで食らいつけるか」という実情だ。

実際に格闘ゲーム世界大会「EVO 2018」ではトップ8が「韓国4人、日本2人、アメリカ(開催国)1人、タイ1人」で、優勝は韓国のLowhigh。今回のAshは彼をも倒しているということからスゴさを理解してほしい。ちなみに、公式世界大会TWT Finalsのトップ8は「韓国6人、日本1人、アメリカ1人」である。

2.プレイスタイルが質実剛健
ひとまず文面でスゴさを理解してもらえたら次はEVO Japan 2019のグランドファイナルを見返してほしい。

OPEN REC(時間は9:10:00ごろから、アーカイブ視聴は制限あり)

Abema TV(時間は9:01:10ごろから、アーカイブ視聴は制限あり)

プレイ内容のスゴさや上手さは実際のプレイヤーでないとなかなかわかりにくいものだが、敢えて説明するのであれば、そこには「特別な戦術や派手さがない」のである。これは言い換えれば最強と呼ばれるプレイヤーたちに奇をてらうことなく「実力」で勝負し、「偶然やまぐれ」ではない形で優勝したのである。

3.優勝を機に飛び交っている情報や噂がスゴイ
これはあくまでSNSなどで飛び交っている情報なので真偽が不明なものもあるのだが、とにかく彼やその周囲のプレイヤーについては今後の鉄拳がおもしろくなる要素しかない。そんな情報の一部をご紹介する。

 

 

 

 

 

 

国内プレイヤーからの評価や反応は?

実際に国内の鉄拳プレイヤーは、今回のAshの衝撃をどのように受け止めているのか? 鉄拳プレイヤーであり、実況・解説などのキャスターも務めるファミ通の格ゲーライター・ゼウガルに話を聞いた。

――Ashの存在は把握していましたか?

ゼウガル 昨年Kneeを倒したと聞いたときに、その動画をチェックしたので知っていました。かなり強いプレイヤーだと感じました。レベルとしては、タイの大会でKneeを倒したことのあるBookと同レベルという印象で、大会で勝ててもさすがに勝ち越すのは難しいのかなというイメージでした。でも、EVO Japanのプレイを見ると、昨年Kneeを倒したときよりも格段にレベルが上がっていて、Kneeに匹敵するかそれ以上の強さだという衝撃を受けました。

――プレイの特徴は?

ゼウガル 使う技が厳選されている堅実派で、距離感がずば抜けています。“対戦スピード”が速く、上級者でも置いていかれてしまうのではないでしょうか。つまり、Ashは戦っている“次元”が我々と違います。

ーーあまりにもレベルの高いプレイヤーなんですね。

ゼウガル はい。衝撃です。こんなすごいプレイヤーがいたんだという喜びがあると同時に、これまで日本勢のまえに立ちはだかっていた韓国勢よりも強いプレイヤーが現れたという、言うなれば恐怖を抱いています。

――強すぎるという恐怖でしょうか?

ゼウガル これまでは韓国勢に追いつけ追い越せでやってきて、大会のトップ8の半数を韓国勢が占め、残りの席に日本勢が滑り込むという構図でした。それが、Ashよりも強いプレイヤーがいるかもしれないというパキスタン勢が大会に出てくるようになれば、トップ8に日本勢が残れないことになります。それはもう恐怖でしかないですよ。

――たしかにそう考えると、日本勢の入る余地がなくなりそうですね。

ゼウガル Ashの登場によって、日本勢は窮地に立たされたといっても過言ではないと思います。韓国勢に苦戦している現状で、それ以上に強い新勢力が出てきた。もし、彼らが本格的に鉄拳ワールドツアーに参戦するようなことがあれば……。

――なるほど。アメリカのジミー、タイのBook、フィリピンのAK、そしてヨーロッパも着実に力をつけています。そうなると、日本勢が世界から置いていかれる可能性も……。

ゼウガル Ashを褒めたたえている場合ではないと思います。いますぐにでも気持ちを切り替えていかないと、日本の鉄拳シーンの将来が危ういですよ。ですから、今後日本勢の取り組み方が変化してレベルアップすることで、世界に負けない日本になってくれることを望んでいます。

ノビとAshはTWTで対決していた

日本最強クラスのプレイヤーで、海外選手との対戦経験も豊富なノビにコメントをいただいた。

<ノビコメント>
じつは、AshとはTWTのマレーシア大会で当たったことがあります。そのときは僕が勝ったのですが、対戦前に韓国勢から「彼(アッシュ)には気をつけろ」と言われていました。何かと思ったら、当時ULSAN(韓国の若手のエース)との“10先”を10:5くらいで勝ち越していて、さらにJeondding(韓国の強豪エディ使い)にも勝ったそうです。だから韓国勢がすごく警戒していたみたいなんです。

当時の印象は、強くはないけどすごくやりにくいというイメージでした。でも、EVO Japanでのプレイは完成されていましたね。Ashのプレイスタイルは日本とも韓国とも異なっていて、“守るところ”と“攻めるところ”を“決め込んだ戦い方”をしています。おそらく手癖だとは思うんですけど、それがものすごく効率のいい戦い方になっていました。

かつての鉄拳シーンは、日本と韓国の2大強豪国という感じでしたが、最近はAshの登場だけではなく、アメリカやヨーロッパもものすごく強くなっていて、このままだと日本が置いていかれてしまうかもしれない状況にあります。

いまの日本はプロでも知識の足りていないプレイヤーが多いんです。いままでは知識を共有しすぎると自分が勝てなくなってしまうという考えもあったんですけど、もうそんなことも言っていられないので、まずは僕の知識を共有することで日本全体のレベルを上げて、そのうえで自分も強くなって世界に対抗していきたいと思います。

担当記者の感想

編集部:豊泉

世界大会で上位を独占する韓国勢との差を目の当たりにするだけではなく、実際に海外取材やプロ選手の取材を通じて、韓国以外の国のレベルアップも感じていました。そんな中、鉄拳修羅の国と言われる韓国を超えるプレイヤーの存在が明るみに出たことで、強豪国日本が崩れるのではないかという不安を抱いていたのですが、今回コメントをいただいたノビさんの言葉を聞いて、世界と本気で戦う日本勢が見られるんじゃないかという期待も沸いてきました。今年の世界大会決勝で、日本勢が世界の強豪を打ち破る姿を楽しみにしています。

 

ライター:ベックス
筆者は格闘ゲームにおいて「彗星の如く現れたプレイヤー」というのは過去に何人かいると考えている。闘劇05の鉄拳5優勝者である「NIN」や、闘劇07のKOF98優勝者の「シャオハイ」がそれにあたると考えている。

しかしネット社会が普及することで攻略やプレイヤー情報はとてつもない速度で伝わり、今では少しでも芽が出れば「誰かが知っている」状態だ。そんな中で今回のAshの出現は彼の周囲にとっては当然かもしれないが、少なくとも私たちには大きな驚きや不安、期待を綯い交ぜにした「朗報」を持ち込んでくれた。

いままで把握していなかった地域のプレイヤーが出てくるということは、それが出来るだけの「土壌」=コミュニティが出来ているのであり、それはより多くの地域やプレイヤーに鉄拳というゲームがプレイされていることになる。

それはメーカーとしても大いに誇れることであるし、プレイヤーである私たちにとっても「新たな強者」の出現はバトル漫画の新シリーズのごとくワクワクさせてくれるものである。今後もAshの動向に注目しつつ、まだ見ぬ強者を見つけることのできる期待を持って鉄拳業界を追い続けたい。

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