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【ゲームキャスターリレーインタビュー】番外編:スイニャン 「esportsを愛する人には、好きなタイトルを守ってほしい」

ゲームキャスターひとりひとりに、キャリアの歩み、ゲームキャスターという仕事について、そしてesportsについての意見を聞く企画、ゲームキャスターリレーインタビュー。今回は番外編として、これまで何度かキャスターリレーインタビューの話題に出ていたesportsライター “スイニャン”にインタビューを行った。

esportsの本場「韓国」での体験や、氏が思うesportsとリアルスポーツの通ずる点、そしてesportsについての危機感をお話ししてくれた。‟観戦専門”の氏が思うespotrsの魅力は興味深い話が盛りだくさんなので、ぜひ最後まで読んでほしい。

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スイニャン
韓国在住経験5年。在韓中の2006年ごろesportsと出会い、『StarCraft: Brood War』プロゲーマーの追っかけとなる。帰国後2009年ごろからさまざまなWEBメディアで取材・執筆活動を行うほか、語学力を活かして韓国人プレイヤーのインタビュー通訳・翻訳や国際大会の日本代表団引率通訳などの活動も行っている。
みずからゲームをほとんどプレイせず、おもにプロゲーマーの試合を楽しむ観戦勢。

テレビ観戦をきっかけにesportsの世界へ

――まずは、スイニャンさんがesportsに関わるまでのお話をお聞きできればと思います。スイニャンさんがesportsと出会ったきっかけはなんですか? やはりご自身でゲームプレイを?

スイニャン じつは、私ゲームは全然やらないんです。esportsに出会ったのは韓国に住んでいたときで、韓国では当たり前のようにテレビでesports番組を放送してるんです。当時は『StarCraft』(ブリザード・エンターテイメント開発・発売のRTS)が多かったですね。

esportsの番組はケーブルテレビで放送されていました。韓国はものすごくケーブルテレビの普及率が高いので、ほとんどの家庭で見られるんです。(※1)ゲーム専用チャンネルでは24時間ずっとesports関連の番組が流れていて、私が韓国に住んでいたころはよく見ていました。もう10年以上前の話ですけどね。

※1:韓国では、インターネット回線とケーブルテレビ回線をセットで売る方式が主流で、月額料金もかなり安価。地上波のほかにドラマやバラエティー、音楽番組、スポーツ番組、esports番組など約100チャンネルが見放題で、追加料金を支払えば映画も視聴できる。そのため、韓国にはレンタルビデオショップがほぼない。

――十数年前からあるってすごいですね。

スイニャン 2000年にゲーム専門チャンネル(現在のOGN)が開局しましたが、私が見始めたのは2006年で、そのころ既にしっかりとした放送の枠組みもできあがってましたね。

――ゲームを遊ばないのに、なぜその番組を見るようになったのですか?

スイニャン うーん、なんとなくですね(笑)。実はゲームは子供のころから観戦専門だったんです。うちは父がゲームが好きで弟もよく遊んでいたので、私はそれをそばで見ているだけ。

――分かります。兄がいるとなかなかゲームをやらせてくれなくて、見るだけだったとか聞きますよね。

スイニャン 見るのは好きでした。ストーリーものだったら「続き見せて!」ってせがんだり、アクションゲームだったら「おー、すごい」ってなったり。だから、ゲームを見ることに対しては全然抵抗がなかったんですよね。そういうのもあって、韓国でも暇なときにはesports番組を見るようになりました。

見ているうちに、ゲームのプロ選手がいることが分かり、「お、かっこいい子もいるじゃん」って思うようになって、esportsの世界にハマっていったんですよね。韓国では、試合の会場に行けば私みたいな“ゲームをしない女性が選手を一生懸命応援してる”という光景が当たり前でした。

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――韓国ではゲームを遊ばない女性は多いのでしょうか?

スイニャン 当時はむしろ、ゲームをプレイしている女性のほうが少数派でしたね。「この子『StarCraft』できるんだよ」って聞いたら「えーすごい!」ってみんな驚く感じでした。

――esports強国の韓国でも、女性プレイヤーはまだまだ少ないのですね。

スイニャン いまは当時より増えていると思います。その後、2008年に韓国生活を終えて日本に帰国することになりました。それまでは、休みの日は欠かさず競技場に通い、夜中はテレビで観戦する毎日だったのに、日本に帰ったら追いかけるものがなくなったんですよ。

――たしかに、2008年頃の日本は韓国ほどesportsイベントを行っていませんよね。

スイニャン 帰国後、『Counter-Strike 1.6』の大会があるのを知り見に行ってみたんですけど、韓国とは全然違う雰囲気でした。男性ばかりなうえ、ファンが観戦できる感じでもなく、会場も狭くてすごくびっくりしたのを覚えています。そのとき初めて日本の実情を知って、esportsシーンを追うのは一旦あきらめたんです。

それで、私が楽しんでいた韓国のesportsを日本に紹介しようと思いブログをスタートさせました。あとは、Negitaku.orgさん(esportsの情報を中心としたニュースサイト)に韓国のesportsに関する情報や、韓国の記事を翻訳したものを投稿させていただいたり。そのときは、記事に関する悪口を書かれたこともありましたね(笑)。

※Negitaku.orgはこちら
https://www.negitaku.org/

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スイニャンさんが執筆した記事スクリーンショット
© 2018 Negitaku.org esports All rights reserved.

――それはどうしてでしょうか?

スイニャン 後から判明したのですが、当時の日本ではesportsが韓国みたいに商業的なものになってほしくないって思っている人たちが多かったらしいんですよ。だから、そういった方々から反発があったようです。

そういったこともあり、日本国内ではあまり受け入れられるような雰囲気ではなかったんですよ。その中で、どう思っていたか分かりませんが、Yossyさん(Negitaku.orgの運営者)は受け入れてくださりました。それがすごくうれしかったですね。

あと、記事を書いていたおかげで、日本国内の『StarCraft』が好きな人たちと出会えたことはとてもよかったです。StarCraft Times(『StarCraft』の総合情報サイト)を運営しているsugeoさんと知り合ったのもそのときで、そちらで記事を書くようになりました。

そんなこんなで数年経ったころ、個人的に続けていたブログとStarCraft Timesでの記事投稿の両方に転機がきたんです。まず、ブログのほうですが、松井さん(松井悠氏。現在は株式会社グルーブシンク代表取締役)が、「うちでメディア(GAMER’S EXPRESS)を立ち上げるんだけど、ブログに書いてある内容そのままでいいからこっちで書かない?」って声をかけてくださり、活動場所がそちらに移りました。そのおかげでesports業界の方など、いろいろな業界の方に見てもらえるようになりました。

StarCraft Timesについては、あるとき「勝手に翻訳しないでほしい」という通告がきてしまって。

――それは掲載元のサイトから?

スイニャン そうです。考えてみたら当たり前のことなんですけど、当時はそういうこともあまり分からなかったですし、情報も少なかったので……。

なんで通告がきたかというと、世界的に韓国のesportsの地位が向上した結果、私と同じように韓国のニュースを翻訳して載せていた中国や英語圏のメディアが掲載元にお金を払うようになったからなんです。

でも、StarCraft Timesはsugeoさんの個人ニュースサイトだからお金は払えないので、翻訳はやめることにしました。そうすると、やることがなくなるじゃないですか(笑)。だから今度は、「独自取材に行こう!」と思いついたわけです。

――すごい行動力ですね。

スイニャン 自腹で現地に行き取材をして記事にする、みたいなことをしていました。GAMER’S EXPRESSでの活動も合わさり、その頃からちょこちょことほかのメディアからも声がかかるようになったんです。

――気がついたらesportsライターになっていたみたいな。

スイニャン はい。フリーで活動していたので、制限もとくにありませんでした。

――ちなみに、そのときはどういったスタイルで生活をされていたんですか?

スイニャン いまもそうですが、パートタイムで仕事をするかたわらで執筆活動していました。韓国取材行くときはドカンと休みを取って、みたいな感じです。

 

ファンとして、記者としてLJLの躍進を手助け

――ライター活動が実を結んで、最近ではLJL(日本の公式『LoL』プロリーグLeague of Legends Japan Leagueの略)でお仕事をするようになったのでしょうか?

スイニャン はい。LJLを立ち上げるというときに、運営側から「公式サイトで記事を書いてほしい」と言ってくださったのが始まりです。2014年の開幕戦から記事は書いてましたし、オフライン大会は必ず取材で会場に行っていました。

――それまでの『LoL』シーンは追いかけていたんですか?

スイニャン いや、あまり見てなかったですね(笑)。

――ではLJLがきっかけで『LoL』シーンを見始めたわけと。

スイニャン 『LoL』を見始めたきっかけは、JCG(Japan Competitive Gaming)が主催していた大会ですね。あるとき、『StarCraft』と『LoL』を同じ会場でやっていたときがあったんです。そこで初めて「『LoL』もおもしろいな」って思いました。韓国でも『StarCraft』から『LoL』に転向した選手がけっこういたのもあって、分からないなりに『LoL』を見ていました。

――ということは、LJL開幕のときにはもう『LoL』の知識はあったわけですね。

スイニャン ゲーム知識はありましたが、ゲーム内容を記事に反映できるほどではなかったですね。「記事では会場の雰囲気を伝えてもらえれば」とリクエストをいただいていたので、「それならよろこんで」と引き受けました。

その後、2015年の夏からLJLに韓国人選手がたくさん参入してきましたよね。そのころは、AKIBA PC Hotline!さんでLJLの記事を担当していました。そんなとき、いつものように取材していた私に「韓国人選手から話を聞きたいんで通訳お願いできませんか?」と声がかかったんですよ。

――えっ、スイニャンさんがいなかったらどうしてたんですかね?

スイニャン わかりません(笑)。当時は、韓国人選手へのインタビューを載せるメディアも少なくて、私しかやってませんでした。当時のLJLはオンライン主導の大会だったので、会場にはeyesさん(実況者)、Revolさん(解説者)くらいしかいませんでしたね。Revolさんには、記事監修をしてもらっていました。

――eyesさんは、スイニャンさんからアドバイス(展開を先読みして話したほうがいい、という内容。詳細は下記で紹介しているインタビューで)をもらったのは、2015年の夏ごろっておっしゃってたので、たぶんそのときに何かしらの会話があったんでしょうね。

スイニャン たしかに言ったことは覚えてましたけど、時期までは覚えてませんでした(笑)。そのときはもう韓国の『LoL』もたくさん観戦していたので、実況、解説だけではなく、選手のプレイと大会の見せかたも含めて、日本と韓国の差をすごく感じていたんですよね。だから、そういった会話もあったのかもしれません。

――そういうのもありつつ、ずっと見てきたうえで、いま改めてLJLに思うことはありますか?

スイニャン 大会の見せかたとか、ファンの楽しみ方とか、‟私が好きな韓国のプロシーンのありかた”があるんですよ。日本でいまその形にいちばん近いのがLJLだなと感じるようになりました。

――やっぱり、観客が入るようになったのが大きいと思いましが、いかがでしょうか?

スイニャン そうでしょうね。観客が入って、勝ったチームがファンミーティングをするという、『StarCraft』時代から変わらない韓国のスタイルが『LoL』にも繋がっているということは、韓国の方々も‟この形がいちばんだ”と思っているからでしょう。

 

――それに今年は、Worlds 2018(リーグ・オブ・レジェンドWorld Championship 2018)の会場にDFMの応援ボードを持った日本人ファンがいたのを見て感動しました。

スイニャン ああいう子たちが出てきたっていうのも、LJLが観客を入れられるようにしたからだと思うんですよね。先ほども言いましたが、2008年ごろの日本の観客は選手の友達と思われる男性ばっかりで、女性ファンもいなかったわけですよ。でも、いまのLJLは私が応援ボードを持って「キャーキャー」言ってても、おかしくない雰囲気があるんです。10年前の私を連れてきたら、すぐに馴染めるはず!

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――たしかに。LJLも積極的なファンが増えたように感じました。

スイニャン 最初はいまのLJLの会場でも、掛け声を出したり、応援ボードを作ったり、みたいなことは少なかったんですよね。だから、いっしょに掛け声出すように観客の方たちにそそのかしたりしてました。

あとは、いまでこそ写真をアップされることも多くなりましたけど、最初は誰も撮ってなかったんです。それはもったいないから、個人的にカメラを持っていって、SNSにアップしたりもしてました。

――いまのLJLの応援スタイルはスイニャンさんが作り出したみたいなところがあるんですね。

スイニャン それはかなり大げさな表現ですが、こういうこともしていいんだよって積極的にアピールはしました。あと、今年のLJLは会場が大きくなかったこともあり、ファンどうしの交流が盛んで、自然と声出しも増えていたようでした。

――それはいいですね! では、LJLでもっとこうなるといいな、って思うことはありますか?

スイニャン LJLに関わらず、っていう話でもいいですか? ここでライターとしての顔が出てくるんですけど、取材環境があまりよくないっていうのが……。

――ああ(笑)。

スイニャン 韓国の取材環境ご覧になりましたよね?

――びっくりしました!

韓国でのインタビュールームの写真_R_R
韓国のプレスルームの様子_R
2018年Worldsのメディアルーム。電源やネット回線が確保されていることはもちろん、大会の様子がモニターで確認でき、メディアどうしの交流も盛んだった。
(筆者はここで初めてスイニャンさんとお会いし、いっしょに取材しました。)

スイニャン 韓国のレベルまで行くのは難しいのかもしれませんが、ちょっとでも近づくような流れにはなってほしいなって思います。

――ちなみに、『LoL』以外のタイトルに通訳で呼ばれることは増えましたか?

スイニャン 増えました。FPS系のタイトルはもちろん、このあいだは格闘ゲームでも呼ばれました。通訳だけじゃなくて、選手の引率をすることもあります。

――現状、『LoL』以外のタイトルのリーグで思うことはありますか?

スイニャン LJLのように、会場で観戦ができるようなリーグができたらいいな、とは思います。そうすれば、私も観戦に行ってハマれるかもしれません。最近いろいろな現場に呼ばれて、日本も強いタイトルがあることがわかりましたし、可能性をすごく感じます。

――それでは、現在のesportsブームについて思うことは?

スイニャン 韓国は、ゲームタイトルによって環境にすごく差があるんです。『StarCraft』や『LoL』のような人気タイトルは、すごくいい環境でプレイできるんですが、国内で人気がないとその逆で……。昼はアルバイトなどで働き、夜は練習する、といった選手も少なくないんです。ですが、日本はそういった差があまりなくて、平均的なんですよ。

――たしかに。日本では、人気に関わらず多くのタイトルでフルタイムのプロがいるイメージがあります。

スイニャン そうなんですよ。いろいろなタイトルの競技者が出てきやすい、というのは日本のいいところだと思います。がんばっている人たちがたくさんいるのは、素晴らしいことですね。私は、韓国のプロシーンに近い雰囲気を持つタイトルに興味を惹かれるので、『LoL』以外でもそういったタイトルが日本に出てきたら積極的に見たいなって気持ちもあります。

esportsは、知識ゼロでも楽しめる

――スイニャンさんが感じるesportsの魅力って何ですか?

スイニャン 私の中では、esportsもスポーツ観戦といっしょだったんですよ。小さなころから観戦が好きだったので。

――対象がゲームだったってだけですよね。

スイニャン そうですね。

――eyesさんはインタビューのときに「スポーツは授業とかで実際に体験しているから受け入れやすい。一方で、esportsはルールもわからないし受け入れられにくい」っておっしゃってたんですよ。でもスイニャンさんのお話だと、観戦に知識は不要だと感じる部分があります。

スイニャン eyesさんのおっしゃることもわかるんですが、男性的な意見だとも思います。女性は、野球やサッカーなんかもほとんどやったことないんですよね。私は、中学から高校くらいまでは野球、高校から大学くらいでサッカー、その後韓国に留学するまではF1のおっかけをしてたんですよ。

――F1ですか! 身近にはいないので驚いてしまいました。

スイニャン とにかく、スポーツ観戦が大好きだったんですよ。F1のフォーミュラーカーなんて、もちろん乗ったこともあるわけないじゃないですか(笑)。なんなら、運転免許を持ってないときから好きでしたからね。

それで、F1の後にesportsなんです。好きな選手がやめちゃうとかの理由で、つぎ、つぎ、つぎって感じでたどり着いたんですよね。

――ゲームを知らない初心者に対してのアプローチに関しては、ゲームメーカーだけでなくキャスターの方も気にされているのをよく目にしますが、そちらも違和感なかったですか?

スイニャン 韓国の実況解説は、初心者向けではなかったけれども、マニア向けでもないんですよ。要は、ふつうのスポーツといっしょだったんですね。実況は、目の前で起きていることを表現する。山場で盛り上げたりとか。解説は、これはこの理由でこうなりましたとか、いまこの状態だからこういう感じになっていきますよ、とか。それでも、たしかに分からないことはありました。そういったことはネットで調べたり、詳しい人に聞いたりはしました。

――ともかく、野球、サッカー、F1ときて、esportsも遜色なく見られた、ということですよね。

スイニャン そうですね。esportsの魅力、というお話でしたが、そのことがすべてなのかもしれません。

――どのジャンルでも、選手のおっかけになることが多かったんですか?

スイニャン 完全にそのタイプです。推しの選手ができて、そのおっかけになって、みたいな。F1はさすがにあまり追いかけられなかったですけど、大好きだったイギリスの選手が来日したときにプレゼントを渡して、サインももらえました。とにかくおっかけ体質なんです。ふなっしーも追いかけてますし(笑)。

――esportsで好きな選手を挙げるとすると?

スイニャン すごくいっぱいいて、なかなかひとりを選べないんですけど、ここはいちばん最初に好きになった選手のお話をしようと思います。

最初にお話したことにも繋がりますが、テレビで大会を見ていると、ゲームのことはわからなくてもずっと勝ってる選手が見えてくるんですよ。テレビをつけるたびに「あ、またこの人だ。また勝ってる!」って。それが、『StarCraft』のBisuっていう選手ですね。絶対的王者として君臨していた選手を破り、優勝するところをたまたま目撃したんですよ。

――それはテレビで?

スイニャン はい。当時は全然『StarCraft』の知識もありませんでしたが、まだそのころBisu選手は新人だったみたいで、そこから“革命家”というニックネームで呼ばれるようになったんです。

――かっこいい!

スイニャン 『StarCraft』には3つの種族(テラン、プロトス、ザーグ)があって、Bisu選手はプロトスを使っていたんです。そのころ、プロトス使いの選手がなかなか勝てない傾向がありつつ、説明が難しいのですが“彼しかできない神業のようなテクニックを披露しての勝利”だったので、それがすごくかっこよくてファンになりました。もちろん、顔もすごくかっこよくて……見ます?

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これがスイニャンさんが見せてくれた写真。ファンミーティングでスイニャンさん自身が撮ったという貴重な一枚。

――韓流イケメン! これで強かったらそりゃ人気出ますね!

スイニャン でしょ? 女の子たちに囲まれて、大人気でしたよ。そこからBisu選手にハマって、大会を見るために競技場に通うようになりました。

勝ったらファンミーティングをやってくれるんですよ。そこで、写真撮ってもらったり、サインをもらったりしました。彼はいま兵役に就いてるんですが、去年の11月にBisu選手の最後の試合を見に行きましたね。そこは記者として行きましたが、インタビュー後のBisu選手と少しだけ話せる機会があって「あなたは私の人生を変えた選手です」と伝えました。

――おお、それはすごい。Bisu選手は何っておっしゃってましたか?

スイニャン 「恥ずかしいけど、ありがとうございます」と返してくれました。実際、彼がきっかけでesportsが好きになって、こういう仕事もしているので……。だから、兵役が終わる2年後を待ってます。

 

いつ終わってしまうかわからないという危機感

――韓国や日本のesportsシーンを追いかけてきて、とくに印象に残っていることは何ですか?

スイニャン 思いつくことはいろいろありますね。そんな中でも、いちばん印象に残っているのは『StarCraft』の韓国プロリーグが終わってしまったことです。ちょっと悲しい話にはなってしまうんですけど……。

――それはいつごろのお話ですか?

スイニャン 2012年ですね。韓国に住んでいたころから、ずーっと好きだったものがなくなっちゃうっていう、想像もしなかったことが起きたんですよね。「esportsってこういうことが起きちゃうんだ」と実感しました。

――サッカーとか野球の世界じゃ想像もつかないですね。

スイニャン まさにそうですね。そのころには『StarCraft II』も出てましたし、両作品で別のプロリーグが存在していたんです。基本的には『StarCraft』と『StarCraft II』のリーグではプレイヤーも全然違いましたね。

言い方としては、『StarCraft II』に完全移行って感じでしたが、ものすごい人気があったし、ずっと続くものだって思ってた中でのことだったので、衝撃的でした。しかも、八百長騒ぎでスポンサーが離れた、っていう終わるまでの流れもあまりよくなかったので……。

――それは本当に八百長があったってことですか?

スイニャン 八百長問題は、刑事事件にもなり、逮捕者が出て韓国では社会問題になりました。そのときに思ったのが、さっきも例に挙がったサッカーとかとは違い「何か問題があったら最悪終わってしまう」ということですね。同時に、その作品を好きな人が「守っていかなきゃいけない」ってことにも気付かされたんです。

実際、形は変わりましたが、『StarCraft』が好きな人たちが新たなリーグを運営しています。そうやっていまも『StarCraft』を守っているわけです。その情熱は、本当にすごいなって思います。いま『LoL』とかもすごいじゃないですか。終わる気しないですよね?

――そうですね。まったく終わる気しないですね。

スイニャン そうですよね? でも、わからないんですよ。ある日突然終わるかもしれないんです。

――ゲームの場合、運営や開発が突然終了する可能性も、ゼロではないですもんね。

スイニャン そうなんですよ。いまの『LoL』の感じで『StarCraft』も大人気だったから、終わる気はしなかった。でも、終わったんですよ。esportsには、そういう怖さがありますよね。なので、いまはいろんなタイトルがありますけど、それらを愛する方々には守ってほしいという気持ちがあります。一般的なスポーツとは違って、そこを意識しなきゃいけないのがesportsなのかもしれないですね。

――F1からesportsに移行したように、『StarCraft』のリーグが終わったときに別のものに移るっていうことはなかったんですか?

スイニャン 『StarCraft』から『StarCraft2』に完全移行するってなったときに、『StarCraft2』を好きになれたんです。だから、そっちを見るようになったのですが、世界的に『LoL』が盛り上がり始めたときは、「もうesportsを観戦するのは終わりかも」って最初は思いました。

でも夫から「せっかくesportsでいろいろやってきたんだし、できるなら続けたほうがいいよ。これからどんどん盛り上がるだろうし」っていう助言もあって、追っていく決心が固まりました。そういう意味では、夫には感謝しています。

――最後に、ご自身の今後の展望をお聞かせください。

スイニャン キャスターの方々はインタビューで、後輩の育成にも触れてらっしゃったじゃないですか。私もたまにそういうことを言われたりするんです。でも、韓国語通訳の仕事ってそれほど多くないんですよ。後進に道を譲る=引退って感じになっちゃうし、この仕事だけじゃ絶対に食べていけないのでオススメもしにくいんですよね。

――なるほど……。

スイニャン だから、通訳をしたい人がいるなら、最初からどこかのチームに所属する、みたいなほうが現実的かもしれません。ライター業のほうは、もし後輩育成するなら女性かなとは思いますけどね。感性で書くタイプなので、教えられることがあるかどうかわかりませんが。

ただ、私はずっとひとりでやってきたので、誰かと組んで何かやるっていうことへの憧れはありますね。具体案はいまのところないんですが、将来的には人と何かをするってこともやれたらなって思います。

いまはライターと通訳のほかに、ゲームイベントのスタッフをやったり、呼ばれたらMCや配信をやったりもしているので、これからもそのスタンスでやっていけたらなって感じです。

自分が楽しめなかったら本末転倒なので、ただただ楽しいことをやりたいです。

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ライター:堤教授 編集:工藤エイム

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