2018年12月7日から9日にかけて、ゲームを持ち込んで3日3晩遊び続けるイベント”C4 LAN 2018 Winter”が開催された。
さまざまなゲームがある中で、筆者も10年近くプレイしているミリタリーFPSシリーズ『コール オブ デューティ』(以下、『CoD』)のコミュニティーを取材した。
また、C4 LANの『CoD』コミュニティーリーダーである、りこった氏にインタビューを敢行したので、会場の雰囲気も交えつつ本稿にてお届けする。
※2018年12月19日 18:30 追記
Anotherの開催日程に変更があったため、該当部分を修正致しました。
※2019年1月16日 15:10 追記
Anotherの大会配信ページに変更があったため、該当部部のリンクを差し替えました。
ゲーマーのゲーマーによるゲーマーのためのイベント
3日間ぶっ通しで行われる本イベントは、好きなゲームやゲーム機、PCを参加者が持ち込んで行われる、LANパーティータイプのイベントである。
また、参加者が思い思いにお気に入りのアイテムを席に飾っていたりするので、会場は個性で溢れている。

2016年5月の初開催以降、今回で6度目となるC4 LANは、回数を追うごとに規模が大きくなっている。
今回用意された‟BYOC”400サイトは即完売となるほどの売れ行きで、イベントの人気が高まっていることをうかがわせる。
BYOCとは、「Bring Your Own Computer」の略であり、各自がPCなどを持ち寄る席のことである。
さて、この3日間の狂騒は、C4 LAN恒例(?)となったオープニングである、‟開幕の儀”からスタートする。
登場したのは、C4 LANではおなじみの‟LANNER”に扮した鈴木ノリアキ氏。


いよいよ3日間の狂乱が幕を開ける。
ちなみに、LANNERの出番は3日間あるうちのたった数分だけ。
鈴木ノリアキ氏は、東京ゲームショウで決勝戦が行われた‟『CoD: WWII』プロ対抗戦”で解説を務めるなど、キャスターとして活躍している。その彼をこんな風にはじけさせるのも、このイベントの‟魔力”だろう。
Sycomから300人分のピザの差し入れ
3日もイベントが続くとなると、食べ物や飲料の調達が死活問題となる。
しかし、そこは手厚いサポートが用意されている。スポンサーのSycomから、大量のピザの差し入れがあるのだ。
お腹を空かせたゲーマーたちが行列に並び、続々とピザを受け取り、仲間同士で笑顔で食事をしている姿にアットホームな雰囲気を感じ取った。胃袋を満たし各自の席に戻ると、早速ゲームを始めていく。
いつなんどきも好きなだけゲームをすることが許される空間は、ゲーマーにとっての‟楽園”とも呼ぶべき場所だ。


『CoD』プレイヤーの集い
『CoD』コミュニティーは、代表であるりこった氏を中心に16席を展開。5人対5人でesportsルールを用いたオフライン対戦や、個人での配信などを楽しんでいた。
ともに戦場を走っている仲間とゲーム外で交流を深める場というのが、オフラインイベントの醍醐味だ。次々と参加者同士で交流の輪が広がっていくき、いつしか一体感が生まれてゆく。
会場にて即席チームを作り、esportsモードをプレイしていると、昼夜問わず激しい声や‟コールアウト”(敵の居場所などの報告)が響き渡っていた。
楽しそうに『CoD』を遊び続ける彼らの姿に、筆者も取材を忘れ、試合を見入ってしまった。




「この大会で優勝したからプロになった」と認められる場を作りたい
今回は、C4 LANの『CoD』コミュニティーリーダーであり、幾人ものプロプレイヤーを輩出した大会‟Another”を運営する、りこった氏にインタビューを敢行。『CoD』のコミュニティーやesports、オフラインイベントについて語っていただいた。
『CoD』のesportsの未来を担う大会を運営する、りこった氏が‟『CoD』全国大学対抗戦”から得たモチベーションや、今後の活動の目標などを伺うことができた。
りこった氏:Twitter
『CoD』大会運営‟Another”:Twitter / 公式サイト

りこった氏インタビュー ※インタビュー内、敬称略
――りこったさんは、‟ブンブンハローTDU”の一員として『CoD』全国大学対抗戦にも出場されてました。esportsを始めるきっかけを教えてください。
りこった 『コール オブ デューティ ブラックオプス2』を購入した際、大会ルールにも興味を持ち始めました。
大学生になりプレイステーション4を買ったのを皮切りに、大会ルールをやってみようと思っていたところ、『コール オブ デューティ アドバンスドウォーフェア』が発売され、約1年間esportsルールをプレイしました。
それから、『CoD』全国大学対抗戦が発表されました。その時は、僕が所属していた‟ブンブンハローTDU”というチーム名はありませんでしたが、僕を除く初期メンバーがすでにチームを結成していたんです。
そこに僕が加入し、『コール オブ デューティ ブラックオプス3』から‟ブンブンハローTDU”の名前で大会に参加しました。
――2017年の全国大学対抗戦で準優勝もされるなど、ほかにも多くの大会へ出場されてますよね。そこでの経験が、いまの活動のモチベーションに繋がっていたりするのでしょうか。
りこった 緊張の中にあった、楽しさを伝えていきたい、という目標があります。
オフラインでのイベントは、対戦相手も味方も顔を突き合わせて試合したり、普段とは全く違う環境なので、とても緊張しましたね。
ただ終わってみると、すごく楽しかったという印象が強く残りました。
なので、C4 LANや運営を手伝っている‟Another”などのオフラインイベントを通じて、esportsの楽しさを広めていきたいです。
――C4 LANへ初めて参加されたのはいつでしょうか。
りこった 大学対抗戦のつながりから、2016年の第1回C4 LANの時ですね。Cyacさんに声を掛けてもらい、運営スタッフとしてですが、イベントに参加しました。
――というと、席を購入されたのは、第2回からですか。
りこった そうですね。C4 LAN自体が第2回目だったということもあり、人が集まるかどうか未知数だったので、第2回では7席のみ購入しました。その際、来てくれたのは、13人ほどでした。
でも、第3回から現在の16席を確保してからは、50~60人を超える人が集まっていて、いまではTwitterで当日券があるのか聞かれることも多くなっています。
――コミュニティーも年々大きくなっているんですね。
りこった オフラインで集まれる場があるのは、プレイヤーとしても嬉しいことではないでしょうか。
また、オフラインイベントが浸透し始めていると実感しています。そういった場に来ることへの抵抗が減っているのではないかと思っています。
実際、オフラインイベントの常連の人はずっと来てくれてますし、新しく参加してくれた人が、楽しかったと伝えてくれたりするので、本業がありながらでも、こうした取り組みをやっていて本当によかったです。
――C4 LANの『CoD』コミュニティーリーダーを務めていらっしゃいますが、どういった経緯があったのでしょうか。
りこった C4 LANの運営スタッフをしていた、ということもあるのですが、ゲーム内のカスタムマッチでプライベート対戦を開いていたので、そういった流れからいまに至っています。
『コール オブ デューティ ブラックオプス3』のころは、コミュニティーのesports大会自体があまりなく、Cyacさんが3か月に1度開いている大会しかありませんでした。
でも、3か月に1度だと少ないと感じていたので、自身で大会を開催したりしました。
そうやって、コミュニティに目を向けていく中でC4 LANと出合い、コミュニティ―リーダーに近い立場になったのかなと思います。
――コミュニティーを活性化させたい、もっと大会を開いてほしい、という思いで、C4 LANへの参加やコミュニティー大会‟Another”を開催されてるんですね。
りこった 自分がオフライン大会に出場して、感じた楽しさを形にしたいので、こうした各イベントを実施しています。
今後も、Anotherなどオフライン大会を開いていくつもりです。
このインタビューに答えてもらったのが12月7日で、ちょうど”Call of Duty World League Las Vegas Open 2019”のトーナメントが始まった直後であった。
――現在、‟CWL Vegas”が行われ、日本からもLibalent Vertex、Rush Gamingが参戦しています。
いまのプロシーンは、リコッタさんの目にはどう映っていますか。
りこった esports経験者としても、より海外のメジャーな大会、有名なチームを身近に感じます。
以前、OpTic Gaming(※)なんかは、架空の存在、雲の上の存在ようなチームでした。
でも、そのOpTic Gamingのメンバーと、日本の選手が現地でいっしょに戦っている姿を見て、同じゲーマーでありesportsプレイヤーなんだな、実在するんだ(笑)と思いました。
その反面、急激にプロシーンが進展しているので、びっくりしています。
公式がプロ対抗戦が開催し、優勝者を海外に連れて行く動きもあるので、今後も新たな展開に期待したいです。
※OpTic Gaming:北米のマルチゲーミングチーム。複数のゲームタイトルにおいて、世界大会優勝を果たしている強豪。
『CoD』部門においても、2017年のCWL Championshipを制覇。その他メジャーな大会で多くの優勝経験をもつ。
――『CoD』のesportsと言うと、Another優勝者が日本のプロチームになったりしていますよね。
りこった いまLibalent VertexにいるGengar選手たちが所属していた、第1回Anotherの優勝チーム”vAv”は、その功績が認められ、vAvのメンバーがそのまま‟DetonatioN Gaming”に加入しました。
また、Alicewonderland選手、Ponty選手、Axy選手といった、有名なプレイヤーもAnother優勝経験者です。
なので、Anotherがプロへの登竜門、プロへの道としての指標になればいいな、と考えています。
それに、現状「どうやったらプロになれるか」という問いに明確な答えがないんですよね。その答えになるような大会を作り上げたいです。
――なるほど……。確かに、プロプレイヤーになるためにはどうすればいいか、と聞かれると僕自身も回答に迷ってしまいます。
りこった 時折、「コネがあるからプロになれた」などという意見も耳にしますが、正直なところ、それだけでなれるものではありません。
そう思ってしまうのも無理はないんですが、実力でプロになったと思ってもらえるような指標を作りたいんですよ。
だからこそ、優勝した人たちが認められる大会、「Anotherで勝てばプロへの第1歩になる」と認識してもらえるレベルの大会を作っていきたいです。
――プロを目指す人、後継者を擁立するためには、そういった大会が必須だと実感しました。最後に、リコッタさんの次なる目標を教えてください。
りこった Anotherなどオフラインイベントに注力して、質を高めていきます。
言った通りではありますが、「実力でプロになった」、「この大会で優勝したからプロになった」と明確に示すことが出来る大会を目指しています。
『CoD』プレイヤーはもちろん、企業の人にも見てもらえる、そういった場を提供していきたいです。
Another開催概要
名称:ANOTHER TOURNAMENT in WINTER
開催期間:2019年1月18日(金)~2019年1月20日(日)
時間帯:18日(金)20日(日)21時開始 / 19日(土)20時開始予定
エントリー締め切り:2019年1月6日(日)23:59
開催目的:初心者及びアマチュアチーム向け大規模大会の開催により、コミュニティの活性、支援を目的とする。
大会ページ:OPENREC Arena
配信先
トーナメント発表:OPENREC
準決勝 / 決勝:OPENREC
個性豊かなセットアップが満載
会場を歩いてみると分かるのだが、参加者各位の席は、非常に個性豊かだ。最後に、筆者が個人的に気になったPCセットアップや席を写真でいくつか紹介する。



その発想はなかった。


