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【ストV AE】「古い価値観を捨てて、まだまだ勝ち続けたい」ウメハラインタビュー

人気対戦格闘ゲーム『ストリートファイターV アーケードエディション』(以下、『ストV AE』)を中心に活躍するプロゲーマー・ウメハラ。東京ゲームショウ2018でデジタルカードゲーム『シャドウバース』デビューを果たすなど、新たな可能性を見出しているウメハラにインタビューを実施。『シャドウバース』を始めたきっかけから、対戦感までをうかがった。

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ウメハラ
Twitter:@DaigotheBeast

所属チーム:@CygamesBeast
Twitchチャンネル:DaigotheBeasTV
格闘ゲーム界のレジェンドプレイヤー。Red Bull、HyperX、Twitch、Cygamesからスポンサードを受けながら、『ストV AE』を中心に活動。Twitchのグローバルアンバサダーであり、自身のTwitchチャンネルにてさまざまな企画番組を配信している。

シャドウバースを始めたきっかけ

――今回、東京ゲームショウのTwitchブースでデジタルカードゲーム『シャドウバース』をプレイされましたが、始めたきっかけはなんでしょう?

ウメハラ もともと海外遠征などで移動が多いので、何かしら移動中にできるゲームが欲しかったんですよ。サイゲームスさんにスポンサードしてもらっているわけだし、『シャドウバース』でもやってみようかなと。ちょうど、Twitchで配信するネタも探していましたし。

――スポンサーに頼まれたからプレイしているわけではないんですね。

ウメハラ スポンサーからはどちらかというと本業に専念ほしいと言われていました。だから、自分から自然にという感じですね。

――『シャドウバース』のプレイを初披露したステージでは、プロゲーマーに勝っていました。すでに相当プレイされているのでしょうか?

ウメハラ 期間としてはまだ短いですね。でも、飛行機に乗っている間はずっと遊んでいるくらいハマってるから、密度はかなり濃いですよ。チームメイトのふ~どからアドバイスをもらっているので、成長は早いかもしれません。

シャドウバースで発見した新しい自分

――カードゲームと格闘ゲームで違うと感じた部分はどこですか?

ウメハラ カードゲームは純粋な競技というよりも、作品の発表というか、クリエイティブよりの世界という印象があります。

――もう少し具体的にお聞かせていただいてもよろしいでしょうか。

ウメハラ 前提として、僕はミスしやすいゲームほどプレイで実力差が出ると思っています。格闘ゲームはスピーディーに展開する中で、その場その場で一瞬の判断を求められるから、試合中にミスするのは当たり前。でも、カードゲームは最初から最後までノーミスで終えることもあります。プレイでミスしないなら、流行りだったりデッキ構築だったり、事前の準備で差をつけるはずなんです。それって、自分の中では発表会に近い感覚なんですよね。だから、格闘ゲームとカードゲームの大会は、まったく別物という印象です。

――確かに。格闘ゲームとカードゲームでは必要なスキルも違いそうですね。格闘ゲームはミスしやすいということは、ふだんからミスをしないようにする練習をしているのでしょうか?

ウメハラ 「技が出せなかった。コンボができなかった。“対空”できなかった」という技術的なミスを減らそうと意識して練習するのは当然ですよね。また、格闘ゲームで“二択”、“三択”と言われるような“じゃんけん”をする場面で読み負けても、それはミスではなく受け入れなきゃいけないこと。

問題なのは、戦略的なミス。「何がミスなのか?」というのが視点によって変わるのでとてもわかりにくい部分です。たとえば、その当時は正しい選択に見えても、1年後に振り返るとミスだとわかることもある。

プロゲーマーと言われるようなトッププレイヤーたちは膨大な時間を費やしてやり込んでいるので、技術面での差はほぼなくなるから、そういったわかりにくい戦略的なミスに気づけるかが大きく試合に影響してきます。トップ層ではこの“認識の違い”で差をつけるしかない。いかにほかのプレイヤーと異なる視点を持てるかが大切ですね。

――スピーディーな格闘ゲームとじっくり考えながらプレイするカードゲーム。異なるゲームをプレイして何か新しい発見はありましたか?

ウメハラ じつは、小さいころから長時間頭を使って考えるというのが好きじゃなかったんですよ。でも、『シャドウバース』をプレイしてみて、頭の中でじっくり考えてシミュレーションすることも意外と得意だったんだと気づきました。めんどくさがりな性格だから、格闘ゲームの練習も頭で考えるより実際にプレイして経験することで覚えていったんですけど、自分に合わないやり方をしていたんだなと(笑)。だから、もしかしたらカードゲームのデッキ構築は自分に向いてるかもしれないですね。

Web配信をやり込んでみて

――以前、Twitchのグローバルアンバサダー就任時にお伺いしましたが、そのときはWeb配信などクリエイティブ方面もゲームと同じようにやり込んでいきたいとおっしゃっていましたが、この2年を振り返ってみていかがですか?

※Twitch COO Kevin Lin×プロゲーマー梅原大吾対談インタビュー! グローバルアンバサダーとしての取り組みとは?

ウメハラ 1年目はとにかくガムシャラに試行錯誤していましたね。つねに配信のことを考えていたから、その分本業に集中できないこともありましたし。いまは慣れてきたので、本業に影響が出ることはありませんけど。

――慣れてきたということは、手ごたえも十分?

ウメハラ そうですね。いまでは数字が取れる“鉄板”の企画が確立されてきました。仕事として考えると、その企画で配信をやっていればいいんですけど、新しいことが好きな性格だから“鉄板”の配信ばかりしたくないんですよね。カプコンカップ本選への出場は確定しているので、また1年目のようにいろいろ試行錯誤し始めたところです。

――鉄板の配信と言いますと?

ウメハラ ひとつは、いわゆる“個人配信”ですね。下手にゲストを呼ぶのではなく、ひとりでゲームをしながらしゃべって、コメントを拾ったりする配信が数字を取れるんですよ。だけど、個人配信は自分を見せているだけだから、まったくクリエイティブな要素がないんです。それって長い目で見るとマイナスになると思うから、仮に失敗したとしても新しいことはやっていきたいですね。

――人気の企画というと、10試合先取の対決を行うコンセプトマッチ“獣道”もありますよね。

ウメハラ 獣道は早く第3弾を見たいという声をたくさんもらっているし、ときどもまた僕に挑戦するために世界ランキング1位になると息巻いているし、僕自身も第3弾をやりたいと思ってはいます。でも、獣道をやってしまったことで、あれを超えられる企画が思い浮かばなくて、創作意欲が失われてしまったんです。

獣道以前は、どんな企画をやっても「これよりいい企画があるんじゃないか?」と試行錯誤していたのですが、いまでは新しい企画を考えるならつぎの獣道を考えたほうがいいよなあと。強いコンテンツが生まれたのはうれしい反面、燃え尽き症候群に陥っています(笑)。

――カラオケ大会など、ゲームとは直接関係ない企画もありますよね。

ウメハラ 昔のゲームセンターって、とにかくいろんな人が集まっていたから、ゲームがうまいこと以外にもその人の価値というか注目されることもあったと思うんだよね。でもいまは、ゲーム大会がすごく増えたおかげで、ゲームがうまいことの比重が増えてしまい、トッププレイヤーとそれ以外の人の差が大きくなってしまったのかなと。

僕は人間の価値はゲームのうまさだけで測られるべきじゃないと思うし、ゲームがうまくなくても注目されることがあったり、そういう人がいたほうがコミュニティーとしてはいいと考えているから、ふだんゲームプレイにしか焦点がいかなくなってしまっている空気を換えたいなと。だから、企画自体は新しくないけど、目的がちゃんとあるからやってみようと。

古い価値観を捨てて、若い世代に勝ちたい

――カプコンカップ本選に向けて、課題はありますか?

ウメハラ 出るからには優勝したいですよね。でも、プロになって9年目になりますし、若いころのように大会に対して、自動的に「よし、絶対勝つぞ!」という心の底から沸き立つような気持ちを感じることが難しくなってきたんです。獣道みたいに挑まれると勝手に“火がつく”んですけど……。

だから、具体的にどんな練習をするとかではなく、いまの課題は「大会で絶対に勝つ」と、自分で積極的に火をつけられるようにすることですね。

――大会に向けてやる気のスイッチを入れるのが難しい?

ウメハラ やっぱり“ゲーセン育ち”だから難しいんでしょうね。昔は大会が年に1回くらいしかなかったから、大会で勝つというより、ふだんの野試合で勝ったほうが価値が高かったんですよ。だって、野試合は2試合先取や3試合先取どころじゃなくて、1日中対戦してるでしょ? これでもかってくらい対戦して、それで相手に負けを認めさせる。そんな環境でやってきた僕ら世代はそこにプライドを感じてしまうんです。

――確かに。いまは注目される大会も多いですからね。

ウメハラ そう。いまの時代は世間から見たら野試合の結果なんてどうでもいいんだよね。でも、いまの時代で戦っているんだから、現在の環境に自分を適用させていく必要があるんですよ。そのためには、ゲーセン時代に長く親しんで来た価値観を変えていかなくちゃいけない。

――何十年やってきた自分の価値感を変えないといけないのはたいへんですよね。ゲームに限らず世の中のたいていの人ができないと思いますよ。

ウメハラ 自分としては、ゲーム以外のことで時代に取り残されるのはかまわないんだけど、ゲームは好きでやっていることだから、“古い”と思われるのがすごく嫌なんですよ。

それに、殺し合いは殺したら問答無用で勝ちだけど、ゲームの勝負は勝ったと思う人と負けたと思う人がいるから成立するわけじゃないですか。いまは大会で勝った人が勝ち。野試合の結果なんて知ったこっちゃない。そういう環境だから、ゲーセン時代の価値観では勝負の土俵にも上がれてないんですよね。だから、すごく意識して自分の価値観をいま風に変えるように努力しています。

――まずは同じ土俵に上がる必要があると?

ウメハラ 麻雀にたとえると、昔は強い人もオカルト的な考え方をしていたんだけど、現代は詳細なデータが取れるようになって、当時信じられていたオカルト的な考え方が崩されてしまったんですよね。そういう時代が訪れて、先入観を持っていない新しい若い世代が勝ち始めたんです。現代でも古い人間が生き残るには、自分がいままで信じていた古い価値観を捨てなくちゃいけない。それができた人はいまでも生き残っています。

逆に、「俺らはこの環境で育ったんだから、旧世代麻雀でいく」という人たちはほとんど姿を見なくなっちゃいましたよね。本人たちはそこにプライドを感じているから、僕や他人がとやかく言う権利はないですが、僕はまだ勝ちたいと思っているから、これからもどんどん変化を続けて、新しい世代には負けないようにしたいですね。

――若い世代も台頭してきましたからね。

ウメハラ そう。『ストV』しか知らない若い世代からすれば、大会があるのが当たり前。そして、野試合より大会で勝つことを重視している。そういった環境の中でも生き残りたいですね。

 

担当:編集部 豊泉

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