ファミ通AppVS イベントリポート

”TGS 2018” esportsはどう伝えるべき? ゲーム番組プロデューサーが激論を展開!

2018年9月20日(木)から9月23日(日)まで、千葉・幕張メッセにて開催中の東京ゲームショウ2018(20日・21日はビジネスデイ)。21日には、専門セッション“eスポーツを盛り上げる伝え方とは? ~テレビ局、配給会社によるeスポーツの魅せ方~”が行われた。その模様をお届けする。

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各メディアの代表者による講演会

平岩氏はesports専門キャスターに転身!

同セッションは、esportsをテーマにしたテレビ番組や配信番組が増えてきた昨今、その現状や課題点などを、プロデューサーなど現場に近い方々に語ってもらうといった内容だ。パネラーは、

  • 板川侑右氏(テレビ東京『勇者ああああ』プロデューサー)
  • 門澤清太氏(フジテレビesports専門番組『いいすぽ!』プロデューサー)
  • 佐々木まりな氏(日本テレビesports番組『eGG』プロデューサー)
  • 竹原康友氏(AbemaTVゲーム専門チャンネル『ウルトラゲームス』プロデューサー)
  • 平岩康佑氏(元朝日放送アナウンサー)
  • 目黒輔(ファミ通App、ファミ通AppVS編集長)

モデレーターは、日経BP総研マーケティング 戦略研究所 上席研究員の品田英雄氏が務めた。

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▲モデレータ―として進行を務めた品田氏。

セッション冒頭ではまず、朝日放送を退社してesports専門キャスターとなった平岩氏が、自己紹介を兼ねて活動を報告。
平岩氏はオデッセイという会社を立ち上げ、今後は自身のキャスターとしての仕事のほか、番組制作やコンサルティング事業も手掛けていくという。

ここではスクリーンで、実際のゲーム実況の様子などが紹介され、会社設立など近況がプレゼンテーションされた。

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▲esportsに特化したキャスターとなった平岩氏。
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各プロデューサーが語る番組のこだわり

続いては各パネラーが、手掛けている番組などのコンテンツを映像で流し、内容を説明した。

『勇者ああああ』

トップバッターは、テレビ東京の板川氏だ。手掛ける番組『勇者ああああ』は、“ゲーム知識ゼロでもなんとなく見られるゲーム番組”がコンセプトだという。
VTRでは、チームがリレー形式で同じコマンドを連続入力、マイナーゲームでプロへのチャレンジ、著名人によるゲーム実況など、ユニークな企画の数々がダイジェストで紹介された。

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▲ゲームもお笑いも大好きという板川氏。
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『いいすぽ!』

2番手となるフジテレビの門澤氏が手掛けるのは、esports専門番組『いいすぽ!』。

2016年から放映がスタートしており、プラットフォームに関わらず、取り上げたゲームは数多い。
内容としては、あくまでプレイヤーが主役という観点での番組作りを心掛けているという。

VTRでは、番組に加え、実施したリアルライブイベントの模様なども紹介。また最後には、10月4日より地上波でのレギュラー放映が決定というトピックスも公開された。

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▲プレイヤーをフォーカスした番組作りがモットーという門澤氏。
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『eGG』

3番手は、紅一点の日本テレビの佐々木氏。

手掛ける番組『eGG』は、“e-Sports Good Game”の略だ。esports関連の番組としては後発となり、VTRでは8月に放映された第2回の模様が流された。
MCは、DAIGOさんと生駒里奈さんが務め、毎回ひとつのジャンルを選んで掘り下げていくという構成になっている。

番組では、日本テレビ傘下のプロチーム・AXIZに関連した企画なども実施。

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▲佐々木氏は「アニメとゲームで育ったようなもの」とのこと。
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『ウルトラゲームス』

ここまではいわゆる、一般的なテレビ番組だが、AbemaTVはネット配信チャンネル。その強みを活かし、竹原氏が手掛ける『ウルトラゲームス』では、テーマに沿って数多くの番組が展開されている。

番組のアプローチは、“興奮を届ける”、“興奮を切り取る”、“選手を魅せる”の3つだ。

具体的には、“興奮を届ける”では大会配信の増加、“興奮を切り取る”つまり長時間に渡る大会の的確なダイジェスト構成、“選手を魅せる”においてはプレイヤーの魅力の効果的なアピールを、それぞれ目指しているという。

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▲多数の配信チャンネルを担当する竹原氏。
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ファミ通App&ファミ通AppVS

パネラーのラストとしてプレゼンテーションを行ったのは、ファミ通App&ファミ通AppVS編集長の目黒輔だ。

esportsに特化したメディアのファミ通AppVSでは、Web、YouTube、Twitterなどで幅広くesports情報を配信。特定のタイトルをキッチリ追いかけたコンテンツ構成を目指すが、タイトル選定はスタッフの好み、モチベーションによるところが大きい。内容は実況動画、教則系動画、大会リポートなどバリエーション豊かだ。

さまざまな企画をそろえてesportsの魅力に迫っている。

30▲esports専門のメディアを立ち上げた目黒
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後半戦はQ&Aスタイルで本質を激論!

各パネラーが手掛けるコンテンツの紹介がひととおり終わり、セッション後半はパネルディスカッションに。

ここでは品田氏と平岩氏が質問役となり、それにパネラー陣が答える形でセッションが展開した。以降はわかりやすく、Q&Aのインタビュ-スタイルで概要をリポートする。

パネルディスカッション

――2年前から『いいすぽ!』をやられていて、最近のesportsの盛り上がりはいかがですか?(平岩)

門澤 新聞などに、esportsという文字が躍ることが急に増えてきましたよね。おかげさまで会社の上層部にも認知され、動きやすくなった気はしています。

あとはウチの場合、『ゲームセンターCX』という人気番組があったので、それでつぎの一歩に踏み出しやすかったというのは事実ですね。

平岩 『勇者ああああ』は、esportsよりまずはゲームそのものを楽しもうというイメージですが、esportsについてはどうお考えですか?

板川 番組の立ち上げとしては、esportsに乗っかった部分もあります。“あと乗っかり”のメディアとしてできることは、興味がない人に注目してもらい、パイを広げることだと思うんですよ。だからゲームをプレイすることがおもしろいという大前提を見せたうえで、esports選手の魅力を出せたらというのが、僕の考えです。

――目黒さんは、いまのesportsの世間的な盛り上がりをどう見てますか?

目黒 新聞やテレビで取り上げられることで浸透しているのは間違いないと思ってますし、僕らはユーザー視点なので、取り上げられると「やった、やった!」と素直に喜んでいます。

大人だけの盛り上がりじゃなく、子供たちの「プロゲーマーになりたい!」という声を聞くと、僕らも環境を整えなければならいと思いますし、なによりそんな声が、盛り上がりを象徴しているのではないかと思っています。

――どちらかというと後発という立場の、日本テレビの佐々木さんはいかがですか?

佐々木 ウチは社内の新規企画募集で、esportsをやりたいといって手を上げたメンバーでやっています。みんな深いゲーマーで、後乗りに見えるかもしれませんが、シーンに寄り添ってやっていきたいという思いは強いです。

――昔は、ちょっと状況が違ったりもしますか?

門澤 ただ、あからさまに反対する人はいなかったですね。メディアは新しいことが好きな気風でもありますし、そこは楽しくやらせていただきました。地上波でできるようになったのも、他社の状況などをガンガン言って、ようやくたどり着いた感じです。

――新番組といえば、テレ東さんも今度、esportsの番組を新たに始めるんですよね。

板川 日曜の22時からです。もともと有吉さんがゲームファンで、esportsの番組をということで。ただ気になるのは、各テレビ局の番組が、木曜深夜に集中しているんですよね(笑)。完全に視聴者を食い合っているので。

――AbemaTVでは、チャンネルの広がりに関して、社内での反応などはいかがですか?

竹原 全体のなかでもゲーム関連のチャンネルはしっかりとした位置づけになってますし、大会の配信などの視聴も、伸びてきている感覚ですね。

――門澤さんは、そのあたりはどうでしょう?

門澤 始めたころは、数字が悪いとすぐに撤退しようと思っていたくらいですが、なぜかいいんですよ。スポーツメインのチャンネルでゲームを2時間やるのは相当なチャレンジだったんですけど、なぜかフィットしたんでしょうね。

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▲パネルディスカッションが展開したセッション後半。

メディアとしての役割もさらに重要に!

品田 ゲームを遊んでいる人には、もちろんおもしろさは伝わります。でもプレイしていない人にどう伝えるかという部分で、皆さんのお考えをうかがえればと思います。

板川 たとえばラグビーのルールなんて、しっかり知っている人は少ないと思うんですよ。でも五郎丸選手が出たら、「ああ、出てるわ」となりますよね。

誰かが出てるから見るとなれば、スポーツは無敵だと思っていますし、だからゲームでも“世界で活躍できる人材が日本にいる”ことを広めるのがメディアの仕事なのではと思います。

――タイトルの選定についてはいかがでしょう?

門澤 途中から見てもある程度わかってもらえることを重要視しています。理解できない=わからない=おもしろくない、とならないように気をつけていますね。だから主流であろう『LOL』あたりも、扱うにはもう少し先かなとは考えています。

佐々木 当社の『eGG』では、M1(若い男性層)の方が多く見てくださっていて、esportsというキーワードに引っかかっているのかなとも思っています。

間口を広げるのはもちろんなのですが、esportsのど真ん中を行こうというのが、私たちの目標です。やや難しめな『シャドウバース』の回などは、多くのプロを招いて座談会を行いました。

また選手にスポットを当てる手法も、ファンを増やすうえで大事なのではと思います。

――目黒さんは、タイトル選定についてはどうですか?

目黒 タイトルはさきほどのとおり、スタッフに委ねています。あと視聴者を広げるという点では、試合の駆け引きをどう見せるかが重要だと思っています。

大会の解説内容をさらにわかりやすく解説するような裏番組なども、ちょっとやってみたいですね。また、ゲーム大会は概して長いので、うまく見やすく整えるのもメディアの仕事なのかとは考えています。

――ライト層とコア層、両方を見据えての展開はどうですか?

板川 放送尺で言うと20数分、そこにルール説明をさけるかというと難しい。でもコアゲーマーとしては見たいし、あるとおもしろいんですよ。ただそこでライト層は離れていきますよね。だからWebで、尺を気にしないでできるという状況はうらやましいです。

門澤 もともと2時間のCS番組、そして地上波で30分番組も持てたので、ゲーム大会をスライスしたものと、最新情報を放送できればと考えています。

佐々木 『eGG』はひとつ大きなテーマがあり、世の中のゲーマーに対する認識をポジティブなものに変えたいと思っています。
ターゲットとしては、ゲームをする人の周りといいますか、「プロゲーマーになりたい!」と誰かが言ったときに、反対されない世界を作りたいと思っていますので。

――昔でいうと、玉川にアザラシのタマちゃんがいて話題になったりもしました。そうした一次的なトピックスというか、メディアでの取り上げられかたについてはどうですか?

門澤 最近で言うと、ときどさんみたいなわかりやすいスターがいれば伸びてくるのかと思います。僕らもそんな選手たちを追いかけているという状況ですね。

――これから先、どうesportsを盛り上げていきたいとお考えでしょうか?

板川 週末に家族でなにかを見にいくとして、大事な時間をそこに費やせるかという問題があります。音楽フェスなら、ライブのほかにおいしいものが食べられるとか、いろんなコラボでお客さんは広がるでしょうし、そうしたゲームとクロスオーバーしたイベントができないかとはずっと考えています。

佐々木 マーケティングうんぬん以前に、まずは顧客を増やしたいと思っています。とにかくユーザーがプレイに触れる機会を増やしたいですね。
続けていくために大切なのは、やはりファンがいること。いまは自分たちの番組ファンというより、シーン全体のファンを作っていきたいです。

竹原 選手層やファンを広げながら、トッププレイヤーの魅力を伝えることは重要だと思っています。先日に参加した大会で、お父さんとお子さんがいっしょにワイワイ楽しんでいるシーンを見て、すごく可能性も感じました。僕らができることは、精一杯やっていきたいです。

門澤 昨年にイベントを行ったとき、アイドルのライブなども入れ込んだんです。するとファンに重なる部分もあって、集客効果があったんですね。そうした演出も重要かと思います。

目黒 esportsの拡大・発展には、もちろんマスメディアの役割は重要だと思っていて、勝手なことを言わせてもらうと、既存のスポーツニュースでも取り上げてもらいたいくらいです。軽めに見られるゲーマーも、命をかけて戦っている部分があり、そこはしっかり伝えていきたい部分です。

――単なるブームで終わらず、しっかり定着してもらいたいところですよね。

板川 これはもう味がしないな、といって終わるものは見てきたので、それはやってはいけないことだと思います。始めたら5年10年やり続ける決意を、現場とともに、会社の偉い方々も決断してくれればうれしいです。

数字がとれないことで切り捨てることで、テレビはけっこういままでいろいろな文化を台無しにしてきたように思っていますから。そのためにも、現場が努力するしかないと思っています。

門澤 作り手は当然、誰もが続けたいと思っていますので、ぜひともよろしくお願いします。

目黒 メディアがタッグを組んで、きっちり情報を伝えていくことが大事だとは思います。「ゲームってスポーツなの?」という意見もあると思いますが、実際にプロゲーマーと接してみると、本当に命がけで臨んでいるんですよね。だから僕らが、地道にでも伝えていこうとは、日々思っていることです。

平岩 我々メディアも、eスポーツという言葉を通じて、もっとゲームの楽しを発信していければと思います。今日はありがとうございました!

ライター:佐々泉 編集:平井

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