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【CEDEC2018】日本大学生esport協会 山口勇氏が語る、関西におけるesportsの現状

2018年8月22日から24日にかけて行われる”CEDEC2018”。8月22日の初日に、元野良連合 esports teamの選手であった、山口勇氏が、関西のesportsの現状や、課題、自身の活動についてプレゼンテーションを行った。
本稿では、同氏が講演したesportsのコミュニティーの取り組み、IPホルダーに求めることを中心にお届けする。

CEDEC2018開催概要

■ 正式名称:コンピュータエンターテインメントデベロッパーズカンファレンス2018 (CEDEC 2018)
■ 開催日:2018年8月22日(水)~ 8月24日(金)
■ 会場:パシフィコ横浜 会議センター (横浜西区みなとみらい)

1999年から東京ゲームショウの併催イベントで、開発者向けの勉強会。本年で20回目を迎える。

山口勇氏の経歴

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本講演に登壇したのは、プロesportsチーム野良連合で活動していた山口勇氏(以下、山口氏)。
現在は、大阪電気通信大学の3回生で、PACkageの代表取締役、日本大学生eスポーツ協会・日本高校生eスポーツ協会の代表も務めている。

同氏が運営するPACkageは、esportsイベントの主催と受託運営、チームマネジメントを行っている。

関西地域のesportsの動き

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山口氏によると、現在行われているイベントは大きく4つに分けることができるとのこと。そのひとつが、関西を中心に活動するプロチームや地域に特化したが主催によるもので、それぞれの団体が高い頻度で行っている。
また、カフェやバーを会場として実施されることも多く、おもに社会人が参加している。

そしてコミュニティー主催になると、大学の文化祭や学生間の交流を目的としたものが散見されると語る。
ここで例に上がったのが、教室や会議室での大会のパブリックビューイング、ゲームサークル同士の交流試合、文化祭や新入生歓迎会でのesports大会の実施だ。

2018年度には、8月時点で確認されているだけで、近畿大学、大阪通信大学など5つの大学がオープンキャンパスでesportsをテーマにしたイベントを実施している、と山口氏は発表した。

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実際に行われたイベントの例

『リーグ オブ レジェンド』(以下、LoL)の学生サークルは、”OLEC(大阪電気通信大学LoLサークル)”で71名、神戸大学で約60名の学生が参加していると山口氏は述べており、その規模の大きさがうかがい知れる。

また、昨年度の『コール オブ デューティ インフィニットウォーフェア』全国大学対抗戦で優勝した龍谷大学『コール オブ デューティ』(以下、『COD』)サークル”Dragon”は、20名から30名のメンバーがいるとのこと。

ちなみに”Dragon”は、CYCLOPS athlete gamingに所属している(2018年8月22日現在)『COD』プロプレイヤーのHqBRa、元SCARZ所属(現在Rushマルチプレイヤー部門)のALIKExOVERなど、有名なプレイヤーを輩出している強豪。

上記の大学以外にも、さらに深堀していくと各大学にひとつはesportsサークルが存在する、と山口氏は言及した。
こうした学生のコミュニティーの成り立ちは、大学対抗戦などのesportsの大会の存在が支えとなっている場合や、SNSでのチーム募集、他大学に影響を受けて設立するケースがあるとも語った。

コミュニティーの役割と問題

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コミュニティーはボランティアで動いているとし、ファンが集っているため、積極的なイベントを開催、自主的なゲームの宣伝を行ってくれる重要な存在だと主張した。

しかし、地域のesportsを題材にしたイベント、コミュニティー活動は活性化しているが、一方で課題も生まれている。

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山口氏は「初めの数人しか集まらない状態をいかに耐えるか」をキーワードに、集客が最大の問題だと話した。初回のイベントは数人程度しか集まらず、成熟するまでに開催をやめてしまうケースが数多くあるというのが現状のようだ。

IPホルダーができること

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山口氏が提唱した3個の項目

こうした問題を解決すべくIPホルダーに求める3つのことを挙げた。そして第1に、ゲーム内にプライベートマッチと観戦モードの導入を求めた。

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数々の大会を運営した経験則から、各プレイヤーの視点と、いわゆる”神視点”といった俯瞰して試合を見ることのできるシステムの導入は必要不可欠だと力説する。
視聴者によりゲームを楽しんでもらえるように、さまざまな選手のプレイ画面、全体の動きを捉えられる目線の重要性を唱えた。

そして、各タイトルの公式がコミュニティーイベントを宣伝することで、観客の動員を図り集客の問題を解決する一助になる。
また、カスタマーサポートの設置や賞金とスポンサーの有無をライセンスに明記を行い、コミュニティーの不安要素を取り除くことも可能だとしている。

PACkageの取り組み

山口氏が代表取締役を務めるPACkageが主催し、『レインボーシックス シージ』を用いて実施された大会”PAC-CUP2018”についてもプレゼンテーションを行った。

このイベントを開催するにあたり心掛けたことを講演で明らかにしている。

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こちらは、視聴者を飽きさせない工夫のひとつとして、試合前のローディングスクリーンに代用したアニメーション。ゲームに設定されている通常の読み込み画面と異なるものを使用し、間をつないだと話していた。

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つぎに、オペレーションの選択時に実況者と解説者を表示し詳しい説明を行った、と山口氏は示した。プレイヤーの思考や、どういった戦術を練っているのかを予測し、ゲーム展開を盛り上げるための施策だと思われる。

上のふたつは、マッチ開始前の時間を有効活用する、視聴者を惹き付ける手立てだ。同氏の発言では、視聴者は何が起こっているのか、どういうことか理解できない場合、2分~3分で観るのをやめてしまうとのこと。そうした観戦者の集中を継続させるための策も講じている。

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また、前述の”神視点”を活用することで、ゲーム内でプレイヤーがどのような動きをしているのかをわかりやすくなるとのこと。

今回のCEDEC2018においてのプレゼンテーションを聴いて、同社はesportsの普及に尽力しており、これからの関西における発展の中心となっていくのではないかと感じた。

マッチ開始前のローディングスクリーンに対する配慮には驚いた。筆者は、海外の大会やイベントなどを視聴していたこともあり、その間にロゴやコマーシャルを挟み込むことが、当然のことのように思っていた節があった。
しかし、読み込みの待ち時間はプレイする側だけでなく、観戦者とっても手持ち無沙汰であるため、その点への気配りは盲点であった。

それぞれのコミュニティーが直面する課題を解決し、esportsシーンがさらに盛り上がることに期待すると同時に、メディアとしてできることは何か考えさせられる機会となった。

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