2018年7月29日に、『鉄拳7』のプロライセンス選手9名が対決する大会“鉄拳プロチャンピオンシップ 3on3”が開催された。




本大会は、前大会で上位成績を残したノロマ、破壊王、ノビがチームリーダーとなり、加齢、AO、タケ。、ダブル、ペコス、ユウの6人からドラフトを行って、即席チームを結成して対決するリーグ戦。
対戦は1バトル2セット選手で勝利となり、バトルにどの選手を出すかはチームの選択に委ねられている。ただし、全選手1バトルのみ出場可。マッチ開始前に、事前にどのバトルに出るか申告。3バトルで勝敗が付かなかった場合は、延長戦へと突入し、最大2バトルを行う(こちらも全選手1バトルのみ出場可)。




まずは本大会のキモである、ドラフトからスタート。各選手の入場時には、それぞれ選手のPV(いわゆる、煽りV)も流され、そのなかでは各選手たちにゆかりのあるプロゲーマーや、強豪プレイヤーたちのコメントも披露された。








ドラフトでは、各チームリーダーが獲得したい選手を指名。指名が重複した場合は、家庭用『鉄拳7』で遊べる“Ultimate TEKKEN BOWL”という、ボウリングのミニゲームを使用して対決し、勝利したリーダーがその選手を獲得できるという、ユニークなルールとなっている。


1巡目は、破壊王がダブル、ノロマとノビがタケ。を指名。さっそくボウリング勝負となり、ノロマがノビに圧勝。ノロマがタケ。を獲得し、敗北したノビは加齢を選択した。
続く2巡目は、破壊王がぺコス、ノロマとノビはユウを選択し、またしてもボウリング勝負。やはりノロマが圧勝し、チームは以下の通りに。爆発力のあるチームノビ、攻めも守りも揃ったチーム破壊王、そして“チームTWT”と言っても過言ではない安定力を誇るチームノロマが、雌雄を決する。
結成されたチーム
チームノロマ:ノロマ タケ。 ユウ
チーム破壊王:破壊王 ダブル ペコス
チームノビ:ノビ 加齢 AO


使用キャラクターは、お互いのメインキャラクターを使用する。“Ultimate TEKKEN BOWL”は、キャラクターごとにステータスが設定されており、ノロマの使うジャック-7は、パワーがSランクと超強力だ。






チームが決定したところで、いよいよリーグ戦の開始。なお、この大会は“レイジ賞”として、レイジアーツまたはレイジドライブでフィニッシュ、“ファイナルラウンド賞”として、ファイナルラウンドまで持ち越しして勝利した場合、協賛のローソン、ゲオから各賞金1万円が贈呈される。やはりプロが集まっているということもあり、とくに“ファイナルラウンド賞”は毎試合飛び出すほどだった。
初戦はチームノロマVSチーム破壊王。怒涛の攻めでダブルがノロマを制すると、ユウも安定力で破壊王を下す。そしてタケ。VSペコスのカードでは、ギースの圧倒的な火力を見せつけてペコスが勝利。延長戦では、タケ。VSダブルの勝負になるが、ダブルはやりたいことをやらせてもらえず、タケ。が完封。最後までもつれ込んだ5バトル目では、ノロマがペコスを潰し、チームノロマの勝利となった。









続いては、チーム破壊王VSチームノビ。これで負ければ3位となるチーム破壊王だが、ダブルが加齢、破壊王がAOに負け、後がなくなってしまう。ここで登場するのが、逆境に立たされる展開に強いペコスと、ノビの対決に。しかし、キレキレの動きでペコスを追い詰めていくノビ。結果、チームノビは無敗の3連勝で、勝利を飾った。







そして決勝戦は、チームノビVSチームノロマ。このマッチ、とくに注目度が高かったのが黄金カードとも言えるノビVSユウと、東西最強の一美使いの対決である加齢VSタケ。の試合。取って取られての延長戦にも突入したが、どちらの試合もチームノロマ側が勝利したこともあって、優勝したのはチームノロマとなった。



初戦はAO対タケ。のバトル。1セット取られたAOだが、その後ノビがAOに何やら耳打ち。やはりノビとタケ。は、同じTeamYAMASAということもあり、弱点なども把握しているのだろう。

アドバイスが効いたのか、2セット目はAOの戦いかたがガラリと変わり、1セットを取り返す。しかし、そこへさらにタケ。が、立ち回りに変化を付け、タケ。の勝利となった。








勝負の分かれ目は、ダメージの差。一美のコンボ始動技であるカカト蹴り“踵颪”を主軸にダメージを取るタケ。に対し、加齢は下段捌きからのコンボをメインに立ち回り、ダメージレースに負けた、という印象。みごと勝利したのは、チームノロマとなった。
5時間に渡る試合もこれにて終了し、最後は表彰式へ。ラストには、バンダイナムコエンターテインメント・esportsプロデューサー・ヤスダ氏より、今年開催される“東京ゲームショウ 2018”内でも、“鉄拳プロチャンピオンシップ”を行うことが発表された。内容は、第1回大会のような、ガチンコトーナメントを予定しているそうだ。






なお、大会終了後には実況解説席に、『ソウルキャリバーVI』のバトルディレクター・おおさか氏が登場。同作の魅力や特徴を告知していた。


優勝したノロマチームにインタビュー
本記事の最後として、今回“鉄拳プロチャンピオンシップ 3on3”で優勝を果たした、チームノロマに、今回の勝因などについて詳しくうかがった、インタビューをお届けする。
――優勝おめでとうございます! 優勝した感想を、率直にお聞かせください。
ノロマ ボウリングで掴んだ優勝でした。“Ultimate TEKKEN BOWL”最高!(笑)
タケ。 ノロマの人選がよかったですね。このチームなら勝てると思ってました。
ユウ タケ。が1巡目で、僕が2巡目での指名だったのが心外でしたね! でもまあ、勝てたので良しとしましょう。
――ノロマさんは、なぜタケ。選手、ユウ選手を指名したのでしょうか?
ノロマ やはり、僕も含めて“TWT”をいっしょに回ってる人たちだから、その強さを十分に知っていますし、大会慣れもしています。1巡目でタケ。さんを選んだのは、使用しているキャラクターが、強くて安定力のある一美だからです。だから、ユウさんが2巡目になりました。すみません(笑)。
――ドラフトという制度で行われた特殊なイベントでしたが、そこについてはどうでしたか?
ノロマ 素直におもしろかったですね。
ユウ うん、おもしろかった。
タケ。 選ばれる側は、誰かに選ばれて戦うだけなんで、かなり気軽でしたよ。選ぶ側のノロマはどんな気持ちだった?
ノロマ リーダー全員で思ってたことですが、AOさん最後に残してごめんなさい! って感じでした(苦笑)。
ユウ あと、“Ultimate TEKKEN BOWL”が盛り上がったのはよかったですね(笑)。やる前は、イマイチ盛り上がらないんじゃないかと思ってたんですが、予想以上に楽しめました。
ノロマ いやーもう最高でしょ。
ユウ ジャックがMVPですね。
――ジャックのおかげで、おふたりを獲得できたと(笑)。チームとしては、TeamYAMASAのノビ選手が、ノロマ選手に変わったという感じのチームになりました。ノロマさんは、おふたりと組んでみていかがでしたか?
ノロマ タケ。さんとは、“ケロットカップ”という大会で組んだことがあったのですが、ユウさんはいつも“いっしょにチームを組もう”と定期的に言いつつも、1度も組む機会がなかったんですよ。それもあり今回、ユウさんを選んだ部分もあります。海外遠征中も、いっしょにおふたりと行動することが多いので、このチームで勝てたのは本当にうれしかったです。
ユウ たしかに。“TWT”で各地を巡りながら、いろいろと苦労している仲間が3人揃っていたので、ほかのチームには負けない一体感、信頼感はありました。やはり、ほかのチームよりも大会慣れしているぶん、メンタルの差は段違いだったと思います。
タケ。 “コイツらとなら、負けないでしょ”って感じでしたね。
――では、今回のバトルで、印象に残っている戦いはありますか?
ユウ 僕は最後の試合である、加齢VSタケ。ですね。東西の一美対決は、カードとしてもおもしろかったですし、内容も濃くて、見ていて楽しかったです。結果的には完封に近い形で、タケ。が勝利したのですが、『鉄拳』ファンの皆さんも注目していたカードだったと思います。
タケ。 一美の弱点は、もちろん使ってる身ですから、分かってますよ。
ユウ そう、一美対策の差で勝ってたよね。
ノロマ それこそ、JDCRの対決とか、海外を回った成果なんじゃないですか。
タケ。 自分がやられたらキツいことを、加齢にできたのかなと。
――いちばん食らっちゃいけない、“踵颪”がよくヒットしていた印象でした。
タケ。 食らっちゃいけないのに、ずっと下段捌きを仕込んでたりして、そこでダメージ効率の差が生まれたのかなと。結局自分からデカいコンボいかないと、ダメージの差で負けちゃうんですよ。加齢はずっと下段攻撃してましたが、そんなの無視してカカト蹴りをガンガン打ちました。
――実際、加齢さんと対戦してみて、タケ。さんはどんなお気持ちですか?
タケ。 加齢さんは僕と対戦したいと言っていたところ、僕は冷めてて申し訳ないのですが、正直同じ一美使いだからライバル、みたいな気持ちあまりなかったです。ですが、僕のことをライバル視してくれたのは、本当に光栄なことだなと思って、受けて立ってやろうと正面からブツかりました。
――ユウさんは、今回の大会でかなり調子がよかったように見えました。
ユウ といっても2戦しかやってませんけどね(苦笑)。ただ、破壊王戦は得意だったので、僕が絶対当たるようにしたかったんですよ。だから、対戦順を予想して、みごと的中したため、絶対勝てると思っていました。
ノロマ 今回、相手がどれを出してくるのかの読みも全部当たってたのが勝因のひとつです。
ユウ チーム戦としての戦術も、うまくハマったのがデカいですね。あと、ノビ戦なんですが、最近になってようやくノビの試合を研究したりして、ノビ対策をしていたんですよ。ノビとはイベントや海外大会でも当たる機会があるので、そろそろ研究しておかなければと思っていて。それがうまく刺さったのも良かったです。
――ノロマさんは、これで“プロチャンピオンシップ”2連覇となりましたが、いかがですか?
ノロマ 今回は個人戦績が終わってるので、あまり偉いことは言えないですね。シングルマッチなら、間違いなく優勝できてなかったと思います。同時に、ユウさん、タケ。さん、本当にありがとうございましたという気持ちでいっぱいです。つぎの大会はガチのトーナメントとのことで、ボウリングに頼らずに3連覇したいですね(笑)。
――それでは最後に、直近では“EVO 2018”が控えていますが、意気込みを教えてください。
ユウ 今回はチームで挑みましたが、“EVO”では敵どうしなんで。そこはしっかり気持ちを切り替えて、挑みます。あと、今回は50人近い日本人が参加しますし、プロも10人以上行きます。日本勢が檀上に上がれるように、ライバルではありますが、対戦外の部分などではみんなでサポートしながら戦いたいですね。
ノロマ 今回のイベントでは、僕はほとんど活躍できませんでした。これじゃ、予選1日目とかで負ける可能性大です。時間が迫ってますが、少しもより仕上げていこうと思います。2日目に残るというのが、最低限の目標になりますね。
タケ。 『鉄拳』に関して言えば、“EVO”過去最大の参加人数になります。そこでいかに結果を残せるのか、という部分はもちろんですし、ここ数年間毎年“EVO”に出させてもらっています。毎年前年よりもいい結果を残したいと思っていることは、僕の目標のひとつでもあります。前年の自分を越えられるように、努力します。
