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【サヴァスロ】プロゲーマーネモの”兼業”に深く迫る!?

『シャドウバース』や『ストリートファイターV』をはじめとした、複数のゲームタイトルの賞金制大会を定期的に開催している、国内最大級の複合esportsイベント”RAGE”。2018年6月17日に行われた”RAGE 2018 Summer”では、スクウェア・エニックスのリアルタイムカードバトル『サーヴァント オブ スローンズ』(iOS/Andoroid)の全国大会決勝、”RAGE SERVANT of THRONES IMPERIAL”が開催された。

このイベントにはスクウェア・エニックスに社員として所属しながら、プロゲーマーとしても活躍しているネモ氏が解説者として登壇。そのうえで、イベントの運営にも関わっていたという。そこで今回は、『サヴァスロ』の全国大会決勝が終わった直後のネモ氏にインタビュー。大会の運営についてや、ネモ氏がふだんスクウェア・エニックスで行なっている業務についてなど、“社会人ネモ”に焦点を当ててお話を伺った。

※大会の結果はこちら

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大会実況・解説陣のひとりとして『サヴァスロ』の全国大会に参加したネモ氏。6月17日に行われた決勝大会だけでなく、オフラインで行なわれた予選ではすべて解説を務めている。

前職の経験を活かしつつ「ガッツリ働いてます」

――大会の解説お疲れ様でした。まずは今回『サヴァスロ』の全国大会の運営を任されることになった経緯と、おもに運営のどういった部分を担当したかを教えてください。

ネモ まず『サヴァスロ』というゲームがリアルタイムカードバトルというジャンルで、(対戦のルールや流れが)格闘ゲームに近かったってところが大きかったですね。最初はいま自分が所属しているスクウェア・エニックス第7ディビジョンのゲームで一番自分に合う、おもしろいゲームだなと思って遊んでただけだったんですよね。

そうしていると、上司の柴さん(柴貴正氏。『ロード オブ ヴァーミリオン』シリーズのプロデューサーで知られる)から「そんなに楽しんでるんだったら、このチームに入ってみない?」って言われて、『サヴァスロ』のチームに入れられたんですよ(笑)。ですので、このゲームの中で何ができる、できないかはまず置いておいて、まずはこのチームに入って仕事をやってみようっていうことになりました。

――ということは今回の大会運営だけではなく、ふだんから『サヴァスロ』の開発や運営に関わっているんですね。

ネモ はい。『サヴァスロ』に関しての業務はけっこう幅広くやっています。いまだと前の職場でもやっていたシステムエンジニアだった経験を活かすような内容が多いですね。たとえばDAU(※1)の数がこれだけある、ここのランク帯は離脱率が多い、みたいな数字の部分を分析して資料を作り、どういう運営をしていけばいいのか? みたいなことを開発に提案したりしています。あとは単純にバトルの調整だったりとか、そういう部分も担当しています。

自分みたいなある程度表に出る立場だと、カードについてユーザーが思っていることを直に聞ける。今回の大会では解説をやったりしたんですけど、ユーザーの人からけっこう話しかけてくれるんですよね。「あ、プロゲーマーのネモさんだ」みたいなところから入って。そこから「このゲームのこういうところを改修してほしいです」とか、「こういう使い魔を出してくれたらガチャ回しますよ!」みたいな意見をすごく聞けるんですよ。直に聞いた意見を開発に投げられるっていうのは、自分のような立ち位置ならではかなと。どうしても企業とユーザーとなると、そこにひとつ壁があると思うんですけど、その壁を自分がインターレース(透過)してうまく伝えることができているんじゃないかなと思いますね。

※1 DAUとは、SNSをはじめとするソーシャルメディアやソーシャルアプリなどにおいて、1日にサービスを利用したユーザー(アクティブユーザー)の数のことである。 ソーシャルメディアの利用状況を計る指標のひとつとして用いられる。

――ユーザーと直接話す場で「でも格闘ゲームのプロじゃん」みたいな反発というか、否定的なスタンスの人はいなかったんですか?

ネモ それはぜんぜん感じなかったですね。”格闘ゲームのプロ”ではなくて、”プロゲーマー”という括りで受け入れてもらえたように思えました。あと自分も『サヴァスロ』をけっこうプレイしていましたし。最初は「ストリートファイターのプレイヤーだ」としか思われていなかったかもしれないですけど(笑)。大会の解説とかをして自分が前に出るようになってからはふだんの対戦でも、(好意的な)エモートを鳴らしてくれたりだとか、よろしく! みたいなリアクションを取ってくれるようになりました。

――バトルの調整までしているのは意外ですね。取材前は「プロゲーマーのネモが大会の運営に関わっている」という情報しかなかったので、どちらかというとふだんは広報や営業寄りの業務をされているんだろうなと想像していました。

ネモ けっこうガッツリ仕事してますね。今回の大会、RAGEに関しては1ヶ月前から打ち合わせとかにも参加して、台本の読み合わせだったりもしました。バトルの調整とかに関わっているのは、やっぱり前職のシステムエンジニアの経験ですよね。こういった仕様を実装するなら、○日までにはこの処理は終わらせておかないとダメですよね、みたいなスケジュール管理をしている感じですね。

――それは本当にすごいですね。プロゲーマーっていう肩書き抜きにしても、スケジュール管理ができてゲームの方もがっつり理解していてプレイ回数も多いっていう人材は業界になかなかいないと思います(笑)

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『サヴァスロ』全国大会でこなした役割&大会全体の感想

――大会の運営はどちらかというと企画面から入った感じなんですね。台本とかキャスティング、ステージのレイアウトなどにも関わったりしましたか?

ネモ 企画面から入ったと言われれば確かにそうですね。いま例に挙がったようなことに関してはほかのスタッフにおまかせでした。大会にはプレイヤーの目線から意見を言って、こういうイベントにしていきましょうとか、そういう方向での関わり方です。

あとは解説でどう盛り上げるだとか、コラボの発表のPVをどう見せたらいいか、みたいな相談もしましたね。自分はEVOとか海外の大会で大きな発表があったとき、ユーザーの人がどういう反応が起こるのだとかを実際に見てるわけじゃないですか。だからPVのこの部分はもっと溜めを作った方がいいんじゃないかとか、そういう話もしましたね。

――大会に運営サイドから関わるっていうのはどういう経験でしたか? 大変だったんだろうなというのは想像できるんですけど。

ネモ うーん、そうですね……でもあんまり仕事って感じがしなかった部分もあって。(東日本、西日本)予選なんかは松田店長(ゲームセンターニュートンの店長。アーケードの格闘ゲームを中心に、数百人単位が参加する大会の運営をこなす)にお願いしたんですよ。

ゲームで長く付き合っていた人に「松田さん、『サヴァスロ』の予選をお願いします」と仕事を依頼しにいって「お、いいよ~」って感じで返事が返ってくると、これは仕事って感じではないよなってなりますよね(笑)。違和感はありましたけど、これは好きなことを仕事にしたからこそそういう感覚になっていると思うので、そこは面白いなって感じながらやりました。

――大会全体を通じての感想をお願いします。

ネモ まず言いたいのはようやく終わったなと(笑)。西日本と東日本の予選、そして今日の決勝大会と3週連続に渡って続いたので、体力的には消耗したなと感じましたね。ただこのゲームの初めての全国大会をやってみて、ユーザーが喜んでいる姿を見れたのは本当によかった。

あとは優勝したメイジさんがすごくうれしそうに「いままで一緒にやってきたプレイヤーに還元したい」とコメントされていて、自分もそういう気持ちを忘れちゃいけないなと思いました。それは自分がプレイヤーとしていまでも大会に参加しているからですけど、これからイベントを開催するにしても、その気持ちを忘れちゃいけない。いまの自分があるのは昔からいっしょにゲームをやってきた人がいるから、それがスクウェア・エニックスに入社したこにも繋がっていると思うので、これからもそういう気持ちで仕事に取り組んでいきたいと思います。

――今日の大会に出ていた人って格闘ゲームの大会で決勝まで勝ち上がるプレイヤーに比べると、けっこう若いですよね?

ネモ そうですね。決勝に残った4人は全員学生ですね。

――それで優勝してまず人に感謝の言葉を言えるのがすごいなって。昔の格闘ゲームの大会に参加したり見てきた側の人間としては思いました(笑)。

ネモ だからいいプレイヤーが残ったって思いましたもん。10何年前の自分ってけっこうクソガキだったと思うので(笑)。あんなコメントとかしてなかったですからね。「優勝して当然でしょ」って感じだった。

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“解説者”ネモとして心がけたポイント

――今回解説として大会に関わる中で、選手目線でここは気をつけようと思ったところはありますか?

ネモ やっぱり解説で適当なことは言えないなっていうのが一番最初に頭に浮かんだんですよね。見てくれている人にデッキの内容や勝負の決め手になったのは何なのかっていうのをちゃんと伝えたい。

それと参加しているプレイヤーは、自分のうまかったところを褒めてほしいっていうのがあると思うんですよ。ほかの人には気づけないんだけど、そこを解説としてちゃんと表現して視聴者に届けるということ。

ですので、全国大会の期間中は『サヴァスロ』をとにかく遊びましたね。トーナメントルールの闘技場バトルは毎日やりました。あとはいろんな人のデッキを参考にしたり、うまい人の動画を見て真似をする。そうすることで「こういう考えがあるんだ」っていうのがわかってくるんですよね

――やはり解説に回るなら知らないデッキや戦法があるとマズイと。

ネモ そうですね。でも予選で知らないデッキが出てきても何が狙いなのか即座に判断できるぐらいには仕上げられていたので、そこまで心配はしてなかったです。どういうメタデッキが流行っているか、みたいな情報も事前に取り入れておけたので、そのあたりの準備はうまくできたと思います。

――今日ベストバウトだと思った試合は?

ネモ ルーザーズのまーや選手対アルトリア選手の試合が印象深かったですね。西日本の予選ではアルトリア選手が負けちゃってるんですよ、しかもけっこう圧倒的な差で負けてしまっていた。でも今回はアルトリア選手がその負けを活かしたデッキを作ってまーや選手を研究して、ペルセポネというカードを通して勝った。

――ちょっと頭の悪い質問なんですけど(笑)、格闘ゲームプレイヤーとしてのネモさんといえばキャラの立ち回りやコンボの開発するのに定評があるというイメージがあります。そういった発想力が仕事に役立つと感じるような場面はありますか?

ネモ 自分が試合に出て広まったものが多いからだと思うんですけど、本来の自分は人から真似したものを取り入れて強くなっていく……っていう方が多いんですよ。

結果的に一番成績を残しているから開発者みたいに言われるようになっているんですけど、自分は決してそういうタイプではないです。人のいいところを真似して、そこからオリジナルにしていくっていうのが自分のいい特徴。

真似していく中でどういう使い方をしていくのか、こういう意図で使っているんだなというのを分析する力には長けていたので、解説もできたんだと思います。やる前はカードゲームの解説は初めてですし、「けっこうボロクソに言われるのかな……」と思ってたんですけど、そういう声はなくて。逆にユーザーから「解説よかったですよ」と直に言ってもらえましたし。そこは素直にうれしかったです。

――お客さんが全体的に優しいというか、リテラシーが高い感じがしましたよね。ゲームへの理解度も高いというか。試合の勝負どころがわかっていて、リアクションが早い。

ネモ ゲームがわかりやすいってところも大きいですよね。試合の状況で砦、本拠地を落としたら勝ちっていうルールなので、どっちが有利かは見ていてわかりやすい。

ほかのカードゲームやFPSなんかだと、そのゲームをやっている人しか分からない状況っていうのがあると思うんですけど、このゲームに関してはわかりやすさがウリになっている部分があるので。使い魔がいっぱい出ているからいまはヤバいとか、砦が破壊されそうとか、そういうことが瞬時にわかるところが盛り上がった要因じゃないかなと思います。

――今回のRAGEでの大会であったり、ネモさんが解説をしていることで『サヴァスロ』に興味を持った人もいると思うのですが、そういった人に改めてゲームの魅力を教えてもらえますか?

ネモ 『サヴァスロ』は、かなりの数が用意されている使い魔カードから8枚、あとロードを選んでデッキを作り、相手の砦を落としに行くっていうゲームです。レアリティよりもカードの相性を考えて戦うのが重要で、レジェンドカードであってもブロンズカードの中ににメタカードがあったりだとか、そういう戦略性というかやりこみ要素があるのが魅力ですね。

いまはこういう状況だから、出すべきカードはこれって判断すること、それに対するメタカードはなんだって考えるのが面白い。やっぱり試合をやるほど強くなる、時間をかけるほど自分のプレイヤースキルに返ってくるゲームはすごくいいものだと思うんですよね。そこは自分の好きな格闘ゲームにも通ずるところですし。

――対戦ゲームとして面白いと。

ネモ そうです。あとはコラボキャラがすごく多いのもあるので、そういった作品の世界観を楽しめるのも魅力かなと。今回発表された『コードギアス 反逆のルルーシュ』とのコラボもけっこう衝撃だと思うんですよね。ルルーシュが直接戦うとか、そういったところも楽しんでもらえればと。コラボはけっこう頻繁にやっていますけど、他社さんとは初めてだし、『コードギアス』がコラボという形でゲームに登場するのも初めてと聞いています。

兼業プロゲーマーとしてのこれから

――ここまでのお話を聞くと、ゲーム業界の仕事にはわりとすんなり入れて、楽しめていると?

ネモ そうですね。ただ前の会社は本当に一般企業で、ゲームと仕事は完全に分かれていたんですよ。プロゲーマーとしての仕事もゲームの方に入っていたんですけど、いまだとたとえば決勝大会の司会をやってもらった辻よしなりさんとは、スクウェア・エニックスの社員として打ち合わせや台本の読み合わせをさせていただきました。

明日の『ストリートファイターV』のオールスターリーグでは選手として会うんですよ。そうなると『ストリートファイターV』の方もゲームっていう感覚じゃなくなってくるんですよね。全部仕事に感じちゃう。そういった変化はありました。ただ好きなことをやっているので苦痛とかそういうのはないんですけど、感覚的には『ストリートファイター』も仕事って感覚になっています。

――好きだから苦ではないというのは自分たちもわかるというか、我々ゲームメディア側の人間にも通じるところはあるような気がします。

ネモ ただRAGEの前は体力的にキツいと感じることもありましたね。『サヴァスロ』の準備と『ストリートファイターV』のオールスターリーグがかぶっていたので。

――プロゲーマーとしての練習もしなくちゃいけない。

ネモ そこは裁量労働なところを活かして乗り切りました、明日早く帰って練習するために今日は遅くまで働くみたいな。今日は夜11時まで働くけど、明日は夕方の4時、5時に帰って練習する。ただこれもスクウェア・エニックスだからできていることで、社員のみんながプロゲーマーというものをわかってくれているおかげですよね。そこはすごい働きやすい。他の人の協力がなければできないことですし、他の人だってすごく忙しいですし。そんな中でやりくりさせてもらっています。

ただ仕事をおろそかにすると、そういう協力もなくなってきちゃうと思うんですよ。「なんでアイツ早く帰ってんだよ、ゲームやってるだけじゃん」って。そこはオンオフを切り替えて上手くやっていきたいですね。

――下半期に入るとゲームの比率が高まってきそうで大変ですよね。カプコンプロツアーやEVOもありますし。

ネモ カプコンプロツアーに関しては……ちょっと現時点でも出すぎてるなという部分もあるんですよね。自分は去年までは年に3回ぐらい出ればいいほう、そういうレベルだったんですけど。ただ今年はいい感じでポイントを取れてますし、ポイントが取れないと「やっぱ兼業って無理じゃん」って声も出てくると思うので……。だから積極的に海外を回って大会に出ているんですけど……やっぱキチイなって(笑)。

――キツいというのは仕事の方を圧迫しちゃうってところですか?

ネモ とにかく休みがないっていう状態ですね。最近は中国行って、次の週はアメリカ。帰ってきたら『サヴァスロ』の西日本予選、東日本、それで今日の決勝と、5週続けて(土日の休みなしで)働いている感じなので。

――それはかなりハードですね……

ネモ 好きだからできているっていう感じですね。6月末にもCEO(アメリカのフロリダ州で開催される大会)に行くんですけど、それに出たら7月はちょっと1ヶ月ぐらい休んで、EVOには向けての準備をしたいと思っています。

――今後スクウェア・エニックスの社員としてやりたい仕事、イベントはありますか?

ネモ いまはプランナーに近いことを一番やってる感じがするんですけど、これからは宣伝、マーケティング関連に力を入れていきたいかなと思っていますね。前の職場の経験を活かした仕事も面白いしいいんですけど、自分としてはプロゲーマーの経験を活かしたセカンドキャリアを示していく……っていうこともやっていきたい。あとは最近JeSUの動きなどもあるじゃないですか。だから今後日本の業界全体がe-sportsの方に力を入れていくのかなとは思っているので、それをチームの一員として一緒に盛り上げていけたらいいなと思います。

――格ゲーを作ってみたいというのはありませんか?

ネモ それは働いててちょっと感じましたね。格闘ゲームをやっているいちユーザーだったころは、ユーザーが開発に関わるのってどうなのかな? って思ってたんですけど。いまは自分の経験をもとにして仕事ができるものだし、今回の大会でも自分が携わったゲームでユーザーが盛り上がってくれればすごく楽しいなとは思ったので……プレイヤーを引退したら考えるんじゃないですか(笑)。

――(笑)。まだちょっと早いって感じですか?

ネモ そうですね。まずはプレイヤーとしていたいので、まだ先ですね。

サーヴァント オブ スローンズ

対応機種
iOS/Android
価格
無料(アプリ内課金あり)

※『サーヴァント オブ スローンズ』公式サイト

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