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【鉄拳7】日本王者タケ。の強さの秘密は? そのルーツについて迫る

山佐からスポンサードを受け、格闘ゲーム『鉄拳』のプロプレイヤーとして活躍する“タケ。”。大会ではつねに上位に食い込むほどの安定度を誇り、2018年1月には大規模な公式大会“日本王者決定戦”で、みごと王者に輝いたトップ選手のひとり。その防御を重視したバトルスタイルで、数々の勝利を築いてきた。本記事では、タケ。に『鉄拳』を始めたきっかけなどについてインタビュー。また、TWTへの意気込み、今後の目標についてもうかがった。

たけ調整1_500
YAMASAの守護神
「タケ。」
成績:日本王者決定戦1位、闘会議2018鉄拳7
おもな使用キャラクター:一美
堅実な守りを主体としたプレイスタイルが特徴。

タケ。と『鉄拳』

――まずは、タケ。さんが『鉄拳』を始めたきっかけを教えてください。

タケ。 最初に遊んだのは小学5年生のときで、当時住んでいた家の近くにゲームセンターがあったんですよ。親からお金をもらって床屋に行ったあと、そのお釣りでゲームを遊ぶのがお決まりだったんです。そのとき初めて触ったのが『鉄拳タッグトーナメント』でした。もう、髪を切るのが楽しみで仕方なかったですね。

――あるあるですね(笑)。ちなみに、数あるゲームの中からなぜ『鉄拳タッグトーナメント』を選ばれたのでしょうか?

タケ。 子ども心に、アーマーキングがメチャクチャカッコいいと思ったんです。デモ画面で、アーマーキングが甲冑を着て戦う姿に「強そう、使ってみよう」と思いまして。操作方法も何も知らないまま遊び始めました。

――そこから、ゲームセンターに通うようになったんですか?

タケ。 床屋からのゲームセンターの流れが、中学生くらいまで続きました。あるとき、僕の兄から「50円で遊べるゲームセンターがあるよ」と教えてもらって、当時三軒茶屋にあった“ゲームUFO三軒茶屋店”というゲームセンターに行ったんですよ。そしたら『鉄拳タッグトーナメント』が置いてあって“2倍遊べるじゃん!”と感激しました(笑)。そこから通い詰めて、ひとり用だけでなく対戦もするようになりましたね。

――そのゲームセンターで、対戦という文化に目覚めたと。

タケ。 当時、きちまっちょというプレイヤーがいたんですよ。まぁ、僕たちのあいだでは赤いジャンパーとヒゲを見て“マリオ”というあだ名だったんですが(笑)。

――ゲームセンターってそういう見た目とかであだ名がつけられますよね(笑)。

タケ。 マリオで大体のプレイヤーに通じるぐらい、とにかく強くて、有名だったんです。それがもう、当時の僕からはすごくカッコよく見えて。だから当時、絶対にきちまっちょを倒す! という目標ができてから、対戦をやり込み始めたんです。親からお小遣いをもらってはゲームセンターに行き、ちょうど家庭用『鉄拳タッグトーナメント』も発売されたので、家では家庭用でトレーニングをして、という生活を『鉄拳4』が出るまでずっとやってました。ゲームセンターでは従業員とは仲がよかったのですが、店長さんはルールにきびしい方だったので、夜になったら16歳未満だから帰されるんですよ。だから、従業員から店長が来るか聞いて、来ない日は夜も居座ったりするほど、熱心に対戦をしていました(笑)。

――その当時から、タケ。さんはとても強かったのでしょうか?

タケ。 そこまでは強くなかったと思いますよ。ただ、『鉄拳タッグトーナメント』のブームが終わり際のころ、きちまっちょを倒すという目標は果たせたんですよ。たぶん、きちまっちょはまったく覚えてないと思いますが、何度対戦してもほぼ確実に勝ち越せたんです。きちまっちょを倒してからは、そのころほかのプレイヤーにも負け越した記憶はないですね。そこからは、『鉄拳5』ぐらいまでずっと“UFO”で戦っていました。

――タケ。さんにとって、聖地的なゲームセンターだったんですね。

タケ。 僕にとってはもちろんですが、『鉄拳4』のころはとくに盛り上がっていました。いちばんの聖地は“プレイマックス新宿店”だったのですが、それでも“UFO”には、きちまっちょだけでなく、垂れ乳厳竜など、強いプレイヤーがたくさん集まっていたんです。50円で遊べて、とにかく対戦がやりたいヤツらにはうってつけだったわけですよ。といっても、ちなみに僕は『鉄拳4』時代は、ほぼ勝てませんでした。

――そこから『鉄拳5』シリーズに移っていったと。

タケ。 もちろん『鉄拳5』もやっていましたが、そこまで勝てませんでしたよ。きっと、『鉄拳タッグトーナメント』のころのように、強くなる目標がなかったので、ただ対戦するみたいな、楽しみのひとつとして遊んでいただけでした。

――なるほど。ですが、『鉄拳6』や『鉄拳タッグトーナメント2』から、タケ。さんがどんどん有名になっていきましたよね。そのきっかけは何だったのでしょうか?

タケ。 2回目の“MASTERCUP”(※5on5で戦う、『鉄拳』シリーズの大規模大会)への出場がきっかけですかね。その大会では、ペこス、ゆうゆう、といった現在ではプロゲーマーになった人たちのほか、垂れ乳巌竜、ばらもんといった強豪プレイヤーとチームを組めたんですよ。それで、大会を終えてみたら準優勝できまして。ただ、やはり優勝ではないですから、すごく悔しかったです。それまでは、技のフレームなども覚えずに、すべて感覚で戦っていたんですよ。その悔しさもあってか、知識の大事さにようやく気づき、いろいろな知識を身につけていくようになりました。そこから、僕が強豪プレイヤーのひとりとして、ほかの人たちからも認めてもらえるようになったのではないでしょうか。

――大会が、タケ。さんを変えたと。タケ。さんといえば、現在は一美使いとして有名ですが、その前はおもにどんなキャラクターを使っていたのでしょうか?

タケ。 『鉄拳6』ではボブを使っていました。そこから『鉄拳タッグトーナメント2』が出て、ボブの相方としてブライアンを選びました。そのつぎに『鉄拳7』が出たら、なんとボブがいなくて(笑)。仕方ないので、ブライアンを使っていたのですが、そこで活躍したせいもあって、若いプレイヤーにはブライアン使いみたいな印象を持たれています。ここはぜひ言いたいのですが、僕はもともとボブ使いであり、強いて言うなら“強キャラ”使いです!!

――なるほど(笑)。では、一美を使うようになったのはなぜですか?

タケ。 『鉄拳7FR』でボブが追加されましたが、かつてほど強くなくて興味がなくなってしまいました。ブライアンも、キャラクター相性が露骨に出てしまうので、辛かったんですよ。そこで、ふと一美でプレイしてみると、一美は守りも攻めも強くて、キャラクターの相性も出にくい。そして、ファジーガード(※連係の途中に、立ち&しゃがみを挟むことで、連係の派生をすべてガードするテクニック)も、『鉄拳タッグトーナメント2』時代のボブのように機能したんです。そう考えていたら、「あれ? 一美って、ボブじゃね?」となって(笑)。とにかく防御面がしっかりしていたので、一美を選ぶようになりました。

――一美に変えて、大会ではどうでしたか?

タケ。 結果がしっかりと付いてくるようになりましたね。……といっても、最近はちょっと辛くなってきました。新鮮味がないので大会をあまり楽しめないですし、対戦相手としても、対策しやすいですよね。“タケ。は必ず一美だから”と。もう何人かキャラクターを極めるのが、今後の課題ですかね。

プロゲーマーになるきっかけ

――そして、タケ。さんは山佐にスポンサードを受け、プロゲーマーになられたわけですが、そのきっかけは何だったのでしょうか?

タケ。 それはもう、完全にユウ&ノビの推薦ですね。ノビと仲よくなったのは『鉄拳タッグトーナメント2』のころでした。当時、『鉄拳タッグトーナメント2』で対戦するには、ノビが公式インストラクターを務めていたnamco巣鴨店に行くしかなくて、そこで知り合ったんですよ。それから、ノビからユウさんを紹介してもらって、それ以降は、ユウ、ノビ、そして僕の3人チームで大会に出る機会が増えていったんです。

――それがきっかけとなり、山佐につながるわけですね。

タケ。 すでにユウ&ノビは山佐に入っていて、ユニフォームを着て試合に出ていたわけですよ。その中で、僕だけ私服なのも気まずいということで、仮ユニフォーム的なものを着て試合に出るようになったんですね。そうしていくうちに、山佐からチームに入らないかと誘われまして。お話を聞くと、ユウ&ノビが僕を入れたがっていたみたいで、すごく推してくれたらしいんです。それが、山佐に入るきっかけになりました。

――山佐からのオファーは、即決でしたか?

タケ。 もちろんです。というのも、僕はそのころ『鉄拳』を引退しようと考えていました。結婚して、子どももできて、ちゃんと仕事をしなきゃいけないと考えて、『鉄拳』にのめり込むのはやめようと思っていたんです。ですが、本心では『鉄拳』は辞めたくありませんでした。だから、『鉄拳』が仕事になるならば、ぜひ続けたいと思っていたんです。

韓国で武者修行

――タケ。さんが、とくに思い出に残っている『鉄拳』でのエピソードはありますか?

タケ。 韓国まで武者修行しに行ったことですね。『鉄拳タッグトーナメント2』で伸び悩んでいたときに、対戦動画を研究してみると、やはり日本より韓国のほうが学ぶことが多かったんですよ。しかも、見ているだけですごく楽しい。「なぜこんなにも違いがあるのだろう?」と思って、それなら韓国に行ってみようかなと。

――行こうと思って、すぐに韓国には行けたのでしょうか?

タケ。 運が良くて、ちょうど韓国のグリーンアーケード(※knee、Saint、JDCRなど、韓国トップ選手が常連でもある、韓国『鉄拳』の聖地的ゲームセンター)で大会があって、日本からの選手も呼ぼうという話になっていたんですね。そこへ向けて、日本からの出場切符をかけた大会というのがあったんですよ。そこで僕がたまたま勝てて、行くことができたんです。

――実際に韓国に行ってみてどうでしたか?

タケ。 実際にプレイを見ると、つねに強い対戦相手がいて平均レベルも非常に高く、質のいい対戦がいつでもできる環境だったんです。ゲームに対する考えかたも違うし、日本と違ってゲームセンターも24時間営業なわけですよ。とにかく『鉄拳』漬けに浸れる国なんです。もうそこから、武者修行として3ヶ月に1回は韓国に行っていました。

――『鉄拳』をプレイするために、そんな頻度で行っていたんですか!?

タケ。 ええ。毎回行っては、1週間くらいは現地に滞在して毎日対戦しまくってましたね。

――韓国での修行で、タケ。さんはどんなところが成長したと思いますか?

タケ。 やはり考えかたですね。韓国の『鉄拳』は“守り”が主体なんですよ。その守りに対する考えかたが、自分にすごく合っていて。日本に戻って対戦すると、全員が弱く感じるほどの手応えもありました。伸び悩んでいたときに、攻めのスタイルにしようだとか、この人のプレイスタイルを真似ようとか、いろいろ試したんですけど、全部ダメだったんですよ。結局、自分のスタイルって、自分の強さなわけじゃないですか。そう考えるうちに、自分は守りの鉄拳なんだ、という考えかたに固定できたのが本当によかったです。

――格闘ゲームって、一定のレベルに到達すると、量より質を重視した練習になりますよね。だから、より質のいい対戦ができる環境に身を置くのが理にかなってると思うんですけど、だからって思い立って、定期的な韓国武者修行を実行するのはすごいですよ。

タケ。 やろうと思ったら、やれるうちにやっておきたいじゃないですか。だって、現在はネット対戦が主流なので、ゲームセンターにはほとんど人がいません。それは韓国も同じで、いま韓国に行っても当時のようなことはなかなかできませんし、勉強になる部分も減ったと思います。

――タケ。さんの思う、韓国プレイヤーの強さはどこだと思いますか?

タケ。 うーん、強さの源はわかりませんが、とにかく対戦が強いのに、魅せるプレイもしてくれるのが、カッコいいですね。あえて難しいコンボを使ったりとか、実戦向きじゃないコンボも披露してくれるんですよ。日本のプレイヤーって、やはり安定度を求めますが、やはり韓国では強いのが当たり前なので、いろいろなことをやりたくなるんでしょうね。

今後の目標は?

――ワールドツアーなどで対戦するにあたり、気を付けていることはありますか?

タケ。 どの大会でも当たるような人たちって、おのずと決まってくるじゃないですか。そういった人たちと対戦する場合は、以前の対戦経験を思い出して戦いに挑むようにしています。よく、皆さんは動画などを見ることが多いようですが、僕は動画は見ないで、自分の実戦経験だけを基に、戦術などを考えています。あと、確実に勝てるような相手だとしても、絶対にナメない。「アイツは余裕だよ」みたいな顔して挑んだら、負けるんですよ絶対。

――今後、取り入れたいこと、やってみたいなことなどはありますか?

タケ。 海外の大規模な大会って、1試合やって、そのあと待機4時間~6時間とかふつうなんです。だから、その待ち時間に“寝る”ということを試してみたいです。やはり、ずっと起きてると疲れますし、集中力も途切れてしまうんですよ。でも、それが僕はできなくて。絶対やったほうがいいとは思うのですが……。

――なぜ、寝ることができないのでしょうか?

タケ。 たとえば“EVO”などの大規模な大会は、いろいろなゲームがあるから、全部観戦したくなっちゃうんです(笑)。知らないゲームだろうと、盛り上がってるのが見たくて、寝るのがもったいないと思ってしまうんです。負けたときにそれを理由にしてるわけではないですが、今後はコンディション調整にもっと力を入れるべきかなと考えています。

――今後の大会への意気込みなどを教えてください。

タケ。 いままでも使えるキャラクターを増やしたい思いがありました。ですが、これまではプレイ時間を増やすことが難しくてできなかったです。しかし、最近引っ越した際に、ゲーム部屋を作りました。以前よりもやり込める環境を作れたので、今後は何キャラクターか使えるようにして、対戦での相性などを埋めたいですね。

――それでは最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いいたします!

タケ。 TWTは、必ずファイナルに残ることを目標にしています。それまでに、どれだけの修羅場を抜けられるのか分かりませんが、去年からツアーに参加しているおかげで、メンタルや戦略も鍛えられました。そこを意識しながら、大会に望んでいきたいです。また、今回お話した、大会中にやっていきたいことを、いろいろ試したいです。ぜひ、応援をよろしくお願いいたします。

記者の目

取材に際してタケ。さんは、質問にひとつひとつ丁寧に答えていただき、自分の考えをしっかり持っている方だという印象を受けました。また、床屋のエピソードを話してくれたときなどは、とても楽しそうに話してくれて、これまでタケ。さんには寡黙なイメージを持っていたので、意外な一面を見た気がしました。

今回の取材でもっとも印象に残ったのは韓国武者修行のエピソード。強くなりたいという一心で異国にまで足を運ぶ。確かに、質のいい対戦をするにはレベルの高い場所で練習するのが当然ですが、自費で定期的に韓国まで足を運ぶというのは並々ならぬやる気の現れだと思いました。以前、PONOSのゲーマー社員であるガリレオさんにインタビューした際も「対戦環境がなければ自分で作る」と話しており、誰かの助けを待つのではなく、自分で行動を起こす。こういった姿勢が、世界で活躍するほど選手に共通している点のひとつなのかもしれません。(豊泉)

記事担当 編集部 豊泉ライター 西川くん

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