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第18回アジア競技大会に挑む、eスポーツ日本代表が決定!

2018年8月18日~9月1日にジャカルタ・パレンバンで開催される、第18回アジア競技大会。そこではデモンストレーション競技として、eスポーツ6タイトルの試合が行われる予定となっている。日本ではそのうち5タイトルの代表選手を、日本eスポーツ連合(jeSU)が派遣。その日本代表選手選考会が、2018年5月27日、都内のLFS(ルフス)池袋にて行われた。 対象となる各タイトルと代表人数は、『ウイニングイレブン 2018』(2名/1チーム)、『クラッシュ・ロワイヤル』(1名)、『StarCraft Ⅱ:Legacy of the Void』(1名)、『ハースストーン』(1名)、『リーグ・オブ・レジェンド』(選手6名+コーチ1名)。各代表は以下の通り。

■日本代表選手一覧
『ウイニングイレブン 2018』 レバ、SOFIA
『StarCraft Ⅱ:Legacy of the Void』PSiArc
『クラッシュ・ロワイヤル』けんつめし
『ハースストーン』Tredsred
『リーグ・オブ・レジェンド』Evi、Astarore、YutoriMoyashi、Enty、apaMEN、Ceros、Lillebelt

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冒頭にあいさつを述べる、JeSU副会長の浜村氏。

当日の会場では、そのうちの『ウイニングイレブン 2018』と『StarCraft Ⅱ:Legacy of the Void』、2タイトルの代表選手決定戦を実施。本稿ではその模様をリポートする。

同会場で行われた2タイトル以外の3タイトルは、別途の選考会やオンラインでの協議、および推薦などで決定となった。代表選手は、まずは6月に開催される東アジア予選に挑み、勝ち抜けばジャカルタ・パレンバンの本選に出場することとなる。

選考会では冒頭、JeSU副会長の浜村弘一氏が、以下のように開会のあいさつを述べ、選手にエールを送った。
「今回の選考会はスケジュールも本当にタイトで、国際的な競技大会においてeスポーツが採用される、産みの苦しみを感じました。わずかな時間のなか、たくさんのご協力を得られたことに感謝しております。IPホルダーの方々や、場所を提供してくれたスタッフの方々、選手の登録や人選に携わった方々、そしてなにより選手の皆さんですね。急なスケジュールのなかでもいいパフォーマンスを見せてくださってますし、すばらしい選手が勝ち上がってくることに期待しています。アジア大会の本選になりますと、多くのメディアによりたくさんの方にご紹介いただけると思います。そこにはゲームがスポーツ化していることにまったく興味がなかった人もいるでしょうが、そういった方々にも、ゲームはeスポーツとして見ることができて、それはすごくカッコいいんだということを証明していただきたいという期待を持っています。選手は各競技の代表というよりも、すべてのゲームプレイヤーの代表として、ゲームプレイはカッコいいこと、その未来には夢があることを、最高のパフォーマンスを見せることで証明してほしいです。活躍を期待していますし、ぜひ頑張っていただければと思います」(浜村氏)。

白熱の『StarCraft Ⅱ』決勝戦!

続いてはさっそく、最初のタイトル『StarCraft Ⅱ:Legacy of the Void』の代表選手を決める大会が行われた。同タイトルでは事前に最大16名によるオンライン予選が実施され、2名の選手が決定。会場ではそのふたり、PSiArc(サイアーク)とVaisravana(ヴァイシュラヴァナ)が決勝に挑んだ。
試合形式は5本マッチで、3本先取したほうが勝利。なおこの決勝戦は、なぞめんさんが解説、スイニャンさんが実況を担当し、ダブルMCで戦いの模様をリポートしてくれた。

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MCを担当したなぞめんさん(左)とスイニャンさん(右)
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PSiArc
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Vaisravana

第1試合は、お互い様子見といった序盤に、PSiArcが意表を突いて一気に攻勢を仕掛け、そのまま勝利。第2試合は一転して、一進一退の長期戦となったが、ここもPSiArcがギリギリ勝ち切る展開に。続く第3試合もPSiArcの勢いは止まらず、終わってみれば3-0という、PSiArcが強さを見せつけた結果となった。

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試合のあとは表彰式に移り、プレゼンターのjeSU常務理事・鈴木文雄氏より、PSiArc選手に記念品などが贈呈された。表彰後に鈴木氏は、「『スタークラフト』は日本ではなじみが薄いのですが、海外ではeスポーツを代表するような、一世を風靡したタイトルです。選手のおふたり、MCのおふたりも、7、8年前からずっとこのタイトルに打ち込まれてきている方々で、今日は久しぶりにスポットが当たっていることは感慨深いです。この4名は、eスポーツの礎を築いてきた功労者だと思います。ここまで頑張ってきたPSiArc君をぜひ応援してほしいと思いますし、PSiArc君には東アジア予選を勝ち抜いて、本選で活躍してもらいたいです」とコメント。
それを受けてPSiArcは、「韓国という強敵のいる地域でもあり、中国・台湾のプレイヤーも侮れません。気持ちの上でも負けないように、東アジア予選まで時間もないので、1分1秒を惜しんで練習し、結果を残せるように頑張りたいです」と意気込みを語った。

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試合に続いて行われた表彰式では、記念パネルが手渡された。
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JeSU常務理事である鈴木氏の激励にこたえ、意気込みを語るPSiArc。

実力者の2名が『ウイイレ』覇者に!

選考会の2タイトル目は、『ウイニングイレブン 2018』。予選はまず、事前にオンライン予選とオフライン予選で各4名を選出。その8名にプロ選手12名を加えた20名による予選大会が、前日の5月26日に行われ、結果4名の選手が勝ち残った。当日の会場では、この4名がふた組に分かれて対戦し、それぞれの勝者が代表となる運び。最終決戦に残ったのは、レバ、かつぴーや、あると、SOFIA(ソフィア)の4名だ。

バトルのレギュレーションは、エキシビションマッチ、10分セット、延長・PKあり、コンディション通常、という内容で、チームはいくつかの指定チームから選択可能。だがふたを開けてみれば、4名全員が同じくアーセナルを選んで戦うこととなった。なおこの大会ではMEGURUさんが全体的な進行を、馬人さんが解説を担当。

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左からレバ、かつぴーや、あると、SOFIA。
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司会進行のMEGURU氏(左)と、解説担当の馬人氏(右)。

代表決定戦の第1試合のカードは、レバ VS かつぴーや。試合はなんとキックオフからそのままパスがつながり、レバが電光石火の先制点。さらに右コーナーキックからのヘディングシュート、ロングパスを受けたフォワードの巧みなループシュートもあり、前半を終えてレバが3-0とリードする展開に。一方的かとも思われたが、後半はかつぴーやが布陣を修正して攻撃的となり、2点を返す。だが同点とまではいかず、逆に薄くなったディフェンスを突かれて追加点を奪われて5-2。万事休すとなった。

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3-0の劣勢にフォーメーション変更で反撃したかつぴーやだが、最後はダメ押しを食らってしまった。

打ち合いとなった第1試合とうって変わり、第2試合のあると VS SOFIAは、1点をめぐるジリジリとした展開。そのなかでゴール前のちょっとしたミスを突き、SOFIAが先制ゴールを決めて前半は終了に。後半も五分の戦いだが、SOFIAの守りがとにかく固い。最後はSOFIAがダメ押しを決め、2-0で勝利した。

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ポゼッションも高く、手堅く勝利を収めたSOFIA。スキのない戦いを見せた。

試合後は、『StarCraft Ⅱ:Legacy of the Void』同様に表彰式となった。プレゼンターはJeSU専務理事・平方彰氏。平方氏は試合を振り返り、「今回は初めて、アジアのオリンピック関連団体が日本のゲームタイトルを認めてくれたわけで、我々も大いに期待をしております。これから東アジア大会も勝ち、がんばっていただきたいと思っております。健闘を祈ります」と選手を激励。
それに応えてレバは「優勝できてうれしいです。今日からはしっかり日本代表としての自覚を持って戦っていきたいと思います」と、またSOFIAは「僕たちが日本代表になるまでに、負けていった人たちもたくさんいます。その人たちのぶんまで頑張りたいです。応援よろしくお願いします」と、それぞれコメントを語った。

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表彰式では、JeSU専務理事の平方氏がプレゼンターを務めた。
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レバはまだ17歳という若さ。
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SOFIAは、世界大会での優勝経験もある実力者だ。
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表彰式の最後は、勝者を称える紙ふぶきが舞った。

選手一同がステージに集結

当日のイベント会場では、試合により2タイトルの代表選手が決まったが、実際には5タイトルすべての代表選手が当日までに確定。それを踏まえて、続いてはすべての代表選手がステージに登場し、ユニフォーム姿がお披露目された。ちなみに『ハースストーン』については、決定戦が同時刻に違う場所で行われていたため、選手は残念ながら同席できなかった。代表選手の詳細は以下のとおりとなる。

『ウイニングイレブン 2018』レバ、SOFIA
『StarCraft Ⅱ:Legacy of the Void』PSiArc
『クラッシュ・ロワイヤル』けんつめし
『ハースストーン』Tredsred
『リーグ・オブ・レジェンド』Evi、Astarore、YutoriMoyashi、Enty、apaMEN、Ceros、Lillebelt

代表選手たちには記念のプレートが、JeSU会長・岡村秀樹氏より贈呈。選手に向け、岡村氏は以下のコメントを語った。
「選手の皆さまには、ぜひ東アジア予選を勝ち抜いていただいて、本選の切符を獲得していただきたいですし、お祝いとともにエールを送ります。ユニホームもシンプルでいいですよね。今回は、4年後の大会におけるeスポーツの布石ともなりますので、非常に重要なファーストステップと位置づけています。無事に、5タイトルの優秀な選手を選考できたと思います。日本のeスポーツをいかに普及・発展させるかという点について、これからもアスリートを応援しつつ、活躍の場を整備していくことに注力していきます」(岡村氏)。

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記念のプレートが、代表選手たちに贈呈された。
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胸に日の丸があしらわれた、代表選手のユニフォーム。

イベントのラストは、選手たちとともに登壇者も合わせて、フォトセッションでフィナーレ。なおイベント終了後、『StarCraft Ⅱ:Legacy of the Void』の代表選手、『ウイニングイレブン 2018』の代表選手のコメントももらえたので、そちらも最後に紹介する。

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選手たちに熱いエールを送った、JeSU会長の岡村氏。
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最後は全員でフォトセッション。

『StarCraft Ⅱ:Legacy of the Void』日本代表 PSiArc

――見事に代表となりました。試合を振り返ってみて、いかがですか?

PSiArc 1本目はなにかしらぶちかまして、流れを呼び込もうと思い、自分のペースにしようと仕掛けて、それがうまくいきました。いい出だしでしたが、2本目はうまく対応されて、まずいなと思いつつも粘って……。最後に逆転できたので、2本目が終わったときに、心理的にラクになりましたね。

――オフラインでの大会でしたが、緊張などは?

PSiArc オリンピックにもつながるイベントということで、それなりにプレッシャーはあったのですが、前日にあまり眠れなかった眠気が相殺してくれたかなと(笑)。

――このゲームでのキャリアはどのくらいですか?

PSiArc 2010年のゲーム発売と同時にプレイを始めました。2013年くらいに、道のりの遠さを感じて1年ほど休止しましたが、そのあとは続けています。

――デモンストレーションとはいえ、アジア競技大会へのeスポーツ採用です。選手としてどう受け止めていますか?

PSiArc 権威ある大会の一部になれたということで、最初に知ったときは気持ちが高揚しましたし、それに恥じないプレイをすることでお返ししなければいけないと思っています。

――東アジア予選も、強豪がそろっています。注目している国などは?

PSiArc 台湾は同じリージョンで、見知ったライバルなども多いので、どういうプレイをしてくるのかは注目してます。

――国内では、『スタークラフト』の競技人口もそう多くないですよね。ふだんはどんな練習を?

PSiArc 地理的に近いので、韓国サーバーでよく対戦してます。練習相手が不足することはあまりないですね。戦術がばれてしまう部分もあるので、地域の違うオーストラリアの知り合いに声をかけたりすることもあります。

――つぎの戦いに向けて、意気込みをお願いします。

PSiArc 強敵の多い予選ですが、eスポーツをもっと盛り上げるためには、なんとしても勝ちをもぎ取って、突破したいと思います。

『ウイニングイレブン 2018』日本代表 レバ、SOFIA

――代表になった感想と、アジア大会への意気込みをお願いします。

SOFIA 『ウイニングイレブン 2018』はとくに日本でも人気なゲームなので、そういった意味では代表になれたことは価値があるのかなと思います。自分は世界王者ということもありますし、アジアはぜったい制したいと思っています。

レバ 僕は17歳とまだ若いのですが、この若さでも勝てるということを、今回の大会で見せられたと思うので、アジアでもしっかり戦い、笑顔で帰ってきたいと思います。

――毎日どのくらい練習しているのでしょうか?

SOFIA 僕は大学生ということもあって、平日も休日もだいたい2~3時間くらいです。重視しているのは時間ではなく、質にこだわっていて、たとえば勝った試合のビデオを何度も観て研究したりしています。

レバ 僕もうまい選手と戦った試合はしっかり録画しておいてます。自分の場合は、うまくいきすぎたときは、1試合でやめるときもあります。うまくいかなかったときは、3~4時間やる感じですね。

――『ウイニングイレブン 2018』を選んだのは、サッカーがもともとお好きだったこともあるのでしょうか? 遊んだきっかけなどがあれば教えてください。また、チームはアーセナルを選んでいますが、使いやすさとか、選んだ理由を教えてください。

SOFIA 僕には兄がいるんですけど、兄の影響で『ウイニングイレブン』シリーズを遊ぶようになり、『ウイニングイレブン』を通して、サッカーが好きになっていきました。『ウイニングイレブン』アーセナルを選んだことについては、僕はセンターフォワードのス歴は、10年くらいです。キルである「ラインブレイカー」を意識していて、アーセナルはとても足の速いフォワード、ラカゼットとオーバメヤンのふたりがいるので、そういった面で選択しました。

レバ 僕は小さいころに、父親がゲームを買ってきてくれて、それが『ウイニングイレブン』シリーズでした。アーケードを選んだ理由は、やっぱり足の速いフォワードが、どんどん裏に抜けてくれるので、自分の持ち味であるカウンターを活かしやすいと思ったからです。

――自分はこういったプレイヤーになりたいといった、目標はありますか?

SOFIA 僕はやっぱり、いつでも冷静沈着なプレイヤーを目指していきたいと思っています。たとえば海外に出ると、アウエーの雰囲気もあるので、そういった意味でも、メンタル的なところから動かされないように、頑張っていきたいと思っています。

レバ 僕はまだ海外に出たことがなく、そのあたりはわからないのですが、これからSOFIA選手のような世界王者になれるように、頑張っていきたいです。

――SOFIA選手は世界大会で優勝されてるわけですが、枠組みとしては「ゲーム大会」だったわけですよね。でもアジア大会での日本代表となると、本当のサッカーの日本代表と同じ立場になります。その点について、これまでと気持ちの変化があれば教えてください。

SOFIA 本当のアスリートの方々と肩を並べるというのは、僕にとっては夢でしたので、すごく嬉しいです。歴史ある大会なので、いつもとは違うプレッシャーも多少感じているのですが、動揺せずに頑張っていきたいと思っています。

レバ ゲームというジャンルなら、言ってしまえば誰にでもチャンスはあり、自分の場合はこの若さで日本代表という自覚が必要な立場になるわけで、しっかり結果を残していきたいと思います。

――アジア大会の競技種目に『ウイニングイレブン 2018』が選ばれたときの感想と、日の丸がついたユニフォーに袖を通した気持ちを教えてください。

SOFIA 『ウイニングイレブン 2018』が選ばれたことに関しては、率直にびっくりしました。最近の流れだと、EAの『FIFA』シリーズが人気だったりしますが、そんななかでKONAMIさんのゲームが世界に発信していくというのは、日本人としてもうれしく感じています。ユニフォームも、特別なユニフォーが用意されているわけで、本当に重みを感じますし、絶対に頑張らないとという気持ちになります。

レバ 自分としては、『ウイニングイレブン 2018』が選ばれたとき、「これはチャンスだな」と感じました。以前のシリーズ作では予選で負けていて、この『ウイニングイレブン 2018』の大会はラストチャンスのつもりで臨んだので、代表に選ばれてうれしいです。このユニフォームを着るだけで、代表になったんだなという実感がわきましたし、予選で闘った人のぶんまで勝たなきゃという気持ちが強いです。

――いままでに大会で得られた賞金はどのくらいでしょうか? また、将来的にプロゲーマーとして活躍したいと考えているのでしょうか?

SOFIA 『ウイニングイレブン 2017』では、それほど大会に出てませんでしたが、総額は120~130万円くらいだと思います。今後については、プロゲーマーの道は考えてなくて、仕事と両立させて趣味の一環として、やっていければと思っています。

レバ 自分は大会などはまだ出てなくて、賞金はゼロですね。将来については、まだ高校生ですので、いろいろな選択肢があるなかで、プロゲーマーもそのひとつとしてある、という感じです。

 

ライター:イズミロボ・ササ

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