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IEMはどのようにしてこの規模に成長したのか? IEMは日本に来るのか? 独占インタビュー

2018年5月4日〜5月6の期間中、esports大会“Intel Extreme Masters Sydney 2018(IEM Sydney 2018)”がオーストラリア・シドニーのQudos Bank Arenaにて開催された。

本イベントについては、先日リポートでお伝えした通りだが、とにかく規模の大きさ、観客の熱狂ぶりに驚かされた。さて、本稿では、IEM企画・運営に携わるIntel ゲーム&VR / ARセールスゼネラルマネージャーのLee Machen氏の独占インタビューをお届け。氏から見た日本esportsや、IEMが目指す未来像、IEM平昌につづき2020年の東京オリンピックに併せてIEMを開催するのか、伺ってきた。

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Lee Machen氏(文中はLee)。General Manager of Gaming and VR/AR Sales, Intel

――PCゲームでアピールしたい点は、PCゲームならではの体験ができる事であると仰っていましたね。具体的にどういった所なんでしょうか? グラフィックが4Kに対応し、コンシューマーよりも遥かに綺麗なビジュアルを体験できることなどが挙げられると思いますが。

Lee コンソールの内部を見てみると、基本的にPCと同じアーキテクチャーであるということが見てとれます。違いというのは、コンソールは同じようなレベルのパフォーマンスを数年間保持するということです。それに比べてPCは毎年新しい性能を提供する製品が出ています。つまり、新しいCPUが毎年入手可能であるということです。メモリーも更に速くなっています。毎年、前の年よりも速いPCを作ることができるのです。さらなるパフォーマンスを備え、さらに多くのことを行うことができます。ですので、コンソールとの本当の違いというのは、公開されたプラットフォームによって、開発者が毎年PCのアップデートを行えることなのです。

この開放性によって、ほぼすべてのイノベーションはまずPCから始まります。そしてそのイノベーションへの理解が深まった時にそれがコンソールに採用されることがあるのです。1番の例を挙げるならばストリーミングとesportsになります。過去数年におけるゲーミングPCの成長はesportsによって後押しされています。それは今回のような競技はPCから始まり、そして世界中の何億人もの人々に対して競技の様子を伝えるストリーミングやブロードキャストを行う能力はまずPCから始まっています。コンソールにおいてもストリーミングは可能ですが、主要なストリーミングサービス会社に話をすると、現在コンテンツの大半はPCからストリーミングが行われていると言うでしょう。

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――IEMについて、開催地やタイトルはコミュニティの意見を重要視しているとのことでしたね。ということは、ゲームユーザーが望んでいる地方に行くということですが、日本ではPCゲームが少ないです。 草の根運動というか、PCゲームをこれから始めようかな、と考えている人達に向けたイベントを開催する予定や計画、考えていることはありますか?

Lee 現在、さまざまなオプションについて検討している段階です。私たちは2年後のオリンピックのスポンサーです。もちろんPCが日本のゲーマーに何を提供できるのかについて知ってもらいたいです。確実な決定事項はまだありませんが、日本のゲーマーに向けて、PCの魅力を伝えるための数々のオプションを検討しています。

ーー将来を楽しみにしています。それでは、IEMの運営側として、心がけていることなどはありますか? 例えばトッププレイヤーの魅せかたや、色々なブースを出展して飽きない作りにしているなどはありますか?

Lee 当初より、IEMはIntelとESLによって共同運営されてきました。私たちはトーナメントの運営にあたり、ESLの専門性に信頼を寄せています。「トーナメントはどのような形式がよいのか?」、「どのチームを招待するべきか?」、「どのゲームを取り扱うべきか?」、「どのゲームをブロードキャストするべきか?」などです。esportsのファンに私たちを信頼してもらうこと、そしてファンにとって意味のあるトーナメントを作ることが非常に重要です。そして、そのトーナメントは彼らの人生の内の3日間を使ってぜひとも見たい、行きたいと思ってもらえるようなものでなければなりません。ですので、こういったイベントをファンに届けるためのベストな方法について、ESLと何度も話し合いを行います。話し合いをなくして物事を決めることはありません。

Intelとしての優先順位もあります。Intelとして、自分達の製品を見せたいとも思っています。お客様にぜひとも関わってもらいたいのです。今回、展示エリアでAcerがメジャースポンサーであるのをすでにご覧になったかもしれません。先ほどのESLとの話し合いには、カスタマーも含めています。IEMは私たちとESLの共同の努力の成果なのです。双方がベストを尽くし、私たちのエコシステムにできるだけ多くの人に参加してもらおうとしています。最終的に、1番大切なことは、自分の時間を費やすに値するいいものであるとファンに思ってもらうことです

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ーー今回のesportsの大会、オーストラリアの大会がすごく盛り上がっているのを見て、日本人でも楽しむことができたのですが、esportsを盛り上げるために一番重要なことは何だと考えていますか?

Lee 私の意見ですが、過去2~3年においてesportsの人気が非常に上がっています。私たちは今回のスタジアムのような場所からは始まったわけではありませんでした。視聴者もあまりいないような、とても小さな場所から始まりました。過去数年において起きているesportsの成長はTwitchのようなストリーミングのサービスによって世界中の人々が視聴することができるようになったことがその要因として挙げられます。ESLのような会社は世界のさまざまな場所においてトーナメントを行うことによってesportsにもっと興味を持ってもらい、イベントのブロードキャストを行うベストな方法を把握し、チームとファンを繋げることを実現しています。esportsの人気を更に上げるために行わなければならないことが、ほかにあるのかどうか分かりません。私たちが既に行っていることを越えて、世界においてできるだけ多くのファンにベストなプレイヤーを見てもらう。

ちょうどいま、アイデアを思いつきました。ローカライゼーションが非常に重要であると思います。どうしたらよいのか現時点で私は答えを持ち合わせていませんが、例えば日本語を話せるキャスターがブロードキャストを行うことにより、日本のオーディエンスも楽しめるようになります。複数の言語でブロードキャストが行われていることは知っているのですが、日本語がその言語に入っているのかどうかは残念ながら私は把握していません。私の意見では、ローカライゼーションはファンに何が起きているのかを理解してもらい、イベントを楽しんでもらうことができるベストな方法であると思います。

ーー日本語実況はぜひ欲しいです! では、現在日本ではesportsは一般的にあまり認知されていません。IEMは小さなトーナメントから、現在この規模になったということですが、その成長の過程で必要なものは何だったんでしょうか?

Lee ふたつあると思います。ひとつ目はゲームをプレイするにおいて、世界中の人とオンラインで対戦できる能力です。『CS:GO』をプレイしたいとすると、家にあるPCから世界中の人を対戦することができますよね。ほかの国にいる人や、同じ国の別の場所にいる人とチームを組んだりできます。これが最初のステップであると思います。どこの誰とでも対戦できる能力。しかし、それだけでは人々は視聴できません。ですので、必要であったふたつ目は、Twitchのようなサービスがどこにでもあり、プレイしている人が同時にブロードキャストもできる、そして誰もが視聴できることです。これら2つのことがesportsの成長に繋がりました。ただ、これはあくまで私の意見です。

――では、国外から見て、日本のesportsが発展するためには何が必要だと思いますか?

Lee う~ん。あなたは昨日IEMの『CS:GO』の大会を観ていて、楽しかったんですよね?

――Yes! 

Lee ということは、esportsは変わる必要はないと思うのです。日本のゲーマーが見たい時に視聴して楽しんでもらえるように、日本語に対応することを確実にする必要があると思います。日本においてもっと人気があるゲームタイトルもあるかもしれません。こういったことを競技にも取り入れて、そういったゲームタイトルでは何ができるのかをお見せするべきだと思います。

しかし、本当にそうなのかどうかは分かりません。日本では『CS:GO』はあまり人気ではないと思います。このゲームはPCのみですから。しかし、違うタイプのゲームが日本ではもっと人気があるのかもしれません。『CS:GO』の代わりに日本で人気があるゲームで競技を行えるよう、検討する必要があります。(ゲーム自体や視聴サービスへの)アクセス性と、適切な言語を選ぶことによって、ファンは楽しむことができます。

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――なるほど。貴重な意見ありがとうございます。さて、2020年には東京オリンピックが開催されるに合わせて、IEM平昌(※)のようなトーナメントが東京でも開催されると期待してもよろしいですか?

(※2018平昌冬季オリンピックに先駆けて開催された、インテル主催のe-Sports大会“Intel Extreme Masters (IEM)” 平昌大会)

Lee いいえ、期待はしないでください。韓国では非常にポジティブな経験をしました。私たちが行ったことについては、国際オリンピック委員会(IOC)もよろこんでいたと考えます。しかし、東京オリンピックにおいてesportsで何を行うかについてはまだ何も決定していません。何をするにしても、私たちはIOCと話し合いを行い、IOCによいと判断してもらわなければなりません。ただ現段階では、何を行いたいのか、そして何を提案するのかについて検討を始めている段階です。

――なるほど。では、IEMが今後目指す未来像を教えてください。理想の発展の仕方などを考えているのでしょうか? 例えば、IEMが国際オリンピック委員会と提携して、IEM平昌のようなトーナメントがスタンダードに開かれていくのか、それともIEMがもっと沢山の国で開かれるのかとか。あなたにとって、IEMがこう発展したらいいなと思う将来、イメージは何でしょうか?

Lee オリンピックについては、将来の計画について言えることはありません。しかし、韓国での経験を通して、伝統的なスポーツからesportsまで、多くの関心があることが分かりました。オリンピックだけではなく、全体として、今回のようなイベントをもっと多く行えたらいいなと思っています

現在IEMは1年間に4回行っています。このゲームのレベルをより多くのファンに届けるために、回数をもっと増やしたいです。ファンにもっとバラエティーに富んだ種類のゲームを見てもらいたいとも思っています。日本で何かを行うのであれば、中国の人々が見たいと思うようなゲームを見せたいです。さらに、下級リーグを育てるような仕組みも作りたいなと思います。今回集っているのは世界最高水準のプレイヤーです。しかし、そのつぎの世代を支援し、育てる必要があります。それをもっと理解できる道筋が必要です。

今回のようなレベルに達成するには、どのようなステップを踏む必要があるのか、という道筋です。『CS:GO』だけではありません。あらゆるトップレベルのesportsゲームにおいて、下級プレーヤーをトップレベルまで育てる必要があります

――IEM会場では、サイドトーナメントが行われていますが、これはその考えの一貫ということですか?

Lee サイドトーナメントを行っているのにはいくつかの理由があります。新作ゲームを試したい、けども大きなステージで行う段階ではないというときに、小さめのステージで行う時があります。ときにはだたファンにプレイしてもらいたいだけという場合もあります。これだけでは才能あるプレイヤーを育てるには十分ではありません。プレーヤーの育成は、伝統的なスポーツと同様、離れた別の場所においてプレイしてもらう必要があると思います。

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――分かりました。お時間になりますので、最後に『CS:GO』の応援しているチームと、優勝するであろうチームはどこと予想していますか?

Lee カウンター・ストライクでは、私は普段Ninjas in Pyjamasを応援しています。彼らは今回この会場にいません。ですので、本日私が応援するチームはFaZe Clanです。ここ2年ほど、複数のIEMにおいて彼らを観ています。彼らはつねにとてもいいチームですよね。

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FaZe ClanはIEM Sydney 2018で見事優勝を果たした。

 

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