「変なポーズを取っている女の子はかわいい！」。そう思ったことはありませんか？
……思ったことがない読者がほとんどかもしれません。
しかし、『立ち絵が変なポーズの恋愛アドベンチャー』をプレイしたあとのあなたは、きっと「変なポーズを取っている女の子はかわいい！」と感じる側の人間になっていることでしょう。
同人・インディーゲーム展示即売会“デジゲー博2023”ではそんなゲームの体験版をプレイできました。この『立ち絵が変なポーズの恋愛アドベンチャー』をご紹介します。
2024年の製品版発売を目指し、制作が進んでいる本作。制作しているのは自称“怪しいゲーム制作犯”である伏見のヒナタはん氏が主催するサークル“ななにのん”。おもに無料ゲーム配信サイト“Freem!”向けに無料ゲームを開発しており、最新作はミステリーノベルゲームの『えっ！俺以外みんな犯人！？ ～半人館の殺人～』となっています。
前述した最新作が好評を博していますが、ご本人の自認としては“バカゲー制作者”。むしろ直近のミステリーノベルよりも『立ち絵が変なポーズの恋愛アドベンチャー』のほうが本領を発揮したタイトルと言えそうです。
なお、記事タイトルにも書いた通り、本作でヒロインたちが変なポーズを取っていることが、ストーリー終盤に掛けて重要な伏線に……なっているといったことはないとのこと。ただポーズが変なだけ。意味はない。そんな彼女たちのかわいさ”を堪能する心構えでプレイしましょう。
お互いの奇行に突っ込み合うのに“変なポーズ”にはまったく触れない登場人物たち
プレイを始めると、さっそく“変なポーズの立ち絵”の洗礼を受けます。
主人公のクラス担任である観月橋小桃（みづきばし こもも）先生の上記の立ち絵は、デジゲー博2023用の体験版で初公開。冒頭からサービス満点です。
彼女とのやりとりで「笑顔が怖い……」とのたまう主人公。ほかに突っ込むべきところがある気がするのですが、本作の世界において“他人の変なポーズ”は認知されないものになっているようです。
そして立ち絵という出オチ部分だけが変なゲームなのかと問われれば、ほかの部分もちゃんと変（「ちゃんと変」ってなに？）。
本作には一般的なアドベンチャーゲーム同様、シナリオの分岐に影響する選択肢もありますが、とくに影響のない選択肢もあり、こちらは“Free Option”と表示されます。
選択肢のいくつかはクラスメイトとの会話でまず発言することなどないようなものだったり、状況によってはあり得ても「いや、このタイミングで掛ける言葉じゃねぇ！」と言いたくなるものなのですが、あえて選んでみるのも一興。
筆者は、意味不明な言葉に困惑する女の子を見てみたいという好奇心には勝てませんでした。意味不明な言葉に困惑している女の子の側も意味不明なポーズを取りながら困惑しているので、もうなにがなにやらという感じです。
主人公の両隣りの席には、羽撃きらり（はばたき きらり）と大阪言葉（おおさか ことは）というふたりのヒロインが。きらりは元気印といった感じで、主人公が奇妙な発言をするたび大きなリアクションで困惑してくれるのがうれしい。
言葉は内気な性格で、友だちを作ろうと四苦八苦しているようです。話を聞いていくと、印象的な“笑”マークのヘアアクセは友だち作りのために着けているようで、これには主人公も思わず突っ込みを入れます。
変なポーズは認知しないけど変なヘアアクセには反応するんだ……！
体験版の終盤では、言葉が校則違反であるキックスケーターでの登校をしようとしており、これを助けることに。変なポーズのまま言葉が「ツイーーーー」と横にスライドすることでキックスケーターによる滑走を表現していたのが地味におもしろかったところ。
校門で待ち構える体育教師をやり過ごす方法は、複数の選択肢から選びます。筆者はとある選択肢で無事やり過ごすことに成功。その過程ではそんなバカな！ と突っ込むことになりましたが、結果オーライ。
ほかの選択肢を選んだ結果も気になりつつ、この直後に体験版は終了。
『立ち絵が変なポーズの恋愛アドベンチャー』をプレイして、「ゲームって自由でいいんだ！」という気持ちを新たにさせられました。
「変なポーズを取っている女の子はかわいい」、「変な状況で困惑している女の子はかわいい」。そういったものが見たいというモチベーションで気軽に楽しめるゲームが世に出ることで、またひとつ同人・インディーゲームの世界は豊かになると思います。本当です。信じてください。
ななにのんでは、本作のお試し版を2023年内に配信予定とのこと。変なポーズに興味を持った方は、作者の情報発信をチェックしておくのがおすすめです。
